スーパードンキーコング
発売日:1994年11月26日
機種:スーパーファミコン
発売元:任天堂
任天堂の人気キャラクター・ドンキーコングが相棒のディディーコングとともに冒険を繰り広げる横スクロールアクションです。開発を担当したのはイギリスのレア社で、この年一番のヒットとなる累計出荷本数300万本を記録。海外での人気も絶大で、世界累計出荷本数930万本という記録を打ち立てました。
圧巻だったのがグラフィックです。3Dモデリングされたドンキーたちの造形やリアルなアクション、緻密に描かれた背景やステージ。いずれもハイクオリティのひとことで、スーパーファミコンの枠を超えるものでした。
ドンキーとディディーを使い分けながら進む戦略性の高さ、冒険を手助けしてくれるかわいいアニマルフレンドたち、隠し要素満載の多彩なステージも魅力たっぷり。難易度も絶妙で、簡単ではないですが決して理不尽ではなく、ちゃんとコツをつかめばクリアできるようになっていました。それだけにハマり度は底なしで、今プレイしても十分に楽しめます。続編となる『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』、『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』とあわせて、ぜひ一度プレイしてみることをおすすめします。
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ファイナルファンタジーVI
発売日:1994年4月2日
機種:スーパーファミコン
発売元:スクウェア(現スクウェア・エニックス)
ご存知国民的人気RPGのシリーズ第6作目です。それぞれが複雑な背景を持つ個性的なプレイヤーキャラクターたち、スーファミの表現力を限界まで出し尽くした精緻なグラフィック、前半と後半でガラリと世界が変わる意外性に満ちたストーリーなどが受け、国内累計出荷本数255万本を記録しました。
特に驚かされたのがオープニングです。悲しげなサウンドとともに、魔導アーマーと呼ばれるマシンが雪原を進んでいく。この映画を思わせる幕開けは非常に印象的で、本作を代表する名場面のひとつになっています。かくいう筆者もこのシーンを初めて見たときは思わず「おお!」となりました。
『FF』シリーズの象徴である「クリスタル」が登場しないことも大きな話題となりました。代わって前面に押し出されたのが蒸気機関などの機械文明で、ファンタジーとスチームパンクが融合したような世界観は従来の剣と魔法の世界と一線を画すものでした。以降の『FF』がオーソドックスなファンタジーから離れる契機となった作品と言えるかもしれません。
敵役となるケフカの存在にも触れておくべきでしょう。登場時は典型的な小悪党で、支離滅裂なふざけた言動や下卑た笑い声はユニークでしたが、まさかこの小物が神のごとき超越者になろうとは思ってもみませんでした。多くのプレイヤーを唖然とさせた、このユーモラスな異形の敵は今も語り草となっています。
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MOTHER2 ギーグの逆襲
発売日:1994年8月27日
機種:スーパーファミコン
発売元:任天堂
1989年に発売されたRPG『MOTHER』(任天堂)に続くシリーズ第2作目です。ゲームデザインを手掛けたのは糸井重里氏で、「大人も子供も、おねーさんも。」というキャッチコピーや木村拓哉さんが出演したCMも話題になりました。
舞台は199X年の地球。プレイヤーはオネットという田舎町に住む少年・ネスとなって、仲間たちと冒険を繰り広げることになります。ネスは『スマブラ』のプレイヤーキャラクターとしても活躍しているので、若いゲームファンもよく知っていることでしょう。
基本フォーマットはオーソドックスなコマンドRPGである本作ですが、内容は非常に個性的で魅力に満ちたものでした。コピーライターである糸井氏ならではの独特かつ味のあるセリフの数々、子供たちが家族に支えられて冒険を繰り広げていくハートフルなストーリー、そして誰もが唸った衝撃的なラストバトル……いずれも非常に印象的で、そこにはワンアンドオンリーの面白さがありました。
現在、糸井氏が代表取締役社長を務める株式会社ほぼ日が、『MOTHER』シリーズの「すべてのことば」を収録した書籍を制作中で2020年末に発売予定となっています。そのほかにも『MOTHER』シリーズにまつわる、さまざまなコンテンツを展開予定とのことなので楽しみにしておきましょう。
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この年はスーパーファミコンがまだまだ人気で、上記3作品のほかにも数々の名作・人気作が登場しています。中でもサウンドノベルシリーズの第2弾となる『かまいたちの夜』(チュンソフト)は、本格ミステリならではの謎解きの楽しさやシルエットで描かれたキャラクターたち、恐怖をあおる演出の数々などが話題となり、多くの支持を集めました。
さらに人気2D格闘ゲーム『スーパーストリートファイターII』(カプコン)がミリオンヒットを記録。ファミコンで発売された『暗黒竜と光の剣』に新章を追加したシミュレーションRPG『ファイアーエムブレム 紋章の謎』(任天堂)、『真・女神転生』シリーズの2作目となる『真・女神転生II』(アトラス)もスマッシュヒットとなりました。
そのほか海外で絶大な人気を博した『スーパーメトロイド』(任天堂)、小学館の人気マンガ家たちがキャラクターデザインを手掛けたRPG『ライブ・ア・ライブ』(スクウェア)、女性向けゲームの草分けである『アンジェリーク』(光栄:現コーエーテクモゲームス)なども、この年に発売されています。
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アーケードでは2D対戦格闘ゲーム『THE KING OF FIGHTERS '94』(SNK)がヒット。『餓狼伝説』、『龍虎の拳』、『サイコソルジャー』などSNKのゲームキャラクターたちが作品の枠を超えて戦うというもので、さまざまなドリームマッチを楽しめることから人気シリーズとなりました。
落ちものパズルゲームの傑作『ぷよぷよ通』(セガ)の登場もこの年です。相手から送り込まれた「おじゃまぷよ」を連鎖で打ち消す相殺システムの導入により、対戦の面白さが倍増。メガドライブをはじめとするさまざまな家庭用ゲーム機にも移植され、多くの中毒者を生み出しました。また、現在に続く3D対戦格闘ゲームの記念すべきシリーズ第1作『鉄拳』(ナムコ)、フル3Dガンシューティング『バーチャコップ』(セガ)なども話題を呼びました。
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いかがだったでしょう。このようにハードの移行期は旧ハードから名作が生まれるということがよくあります。新ハードが登場しようとしている本年もPS4やXbox Oneから思わぬ傑作が出てくるもしれませんね。