『あつまれ どうぶつの森』黄金の魚は運動神経バツグン!「ドラド」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

『あつまれ どうぶつの森』に登場する生き物を、生物ライターが解説!第9回は「ドラド」です。

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『あつまれ どうぶつの森』黄金の魚は運動神経バツグン!「ドラド」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】
『あつまれ どうぶつの森』黄金の魚は運動神経バツグン!「ドラド」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】 全 10 枚 拡大写真
※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!

「黄金」という名の魚


『あつ森』でついに釣れましたよ…あの魚が!「黄金」が!



どうです!この不自然なまでの金ピカボディー!
この魚の名は「ドラド(Dorado)」。スペイン語でまんま「黄金」を意味します。エル・ドラド(黄金郷)のドラドですね。

もうこのネーミングだけでもいかに真っ金金な魚か察しがつきますよね。
だってブラックバスとかギンブナとか名前にその体色がつく魚は多いけれど、色自体が名前になっているってなかなかないですもの。
日本語だと「キン」とか「オウゴン」って名前の魚なわけですよ。半端な金色では名前負けしてしまうところです。


▲本物のドラド。…なんでこんな色に進化したんだろう?(アルゼンチン)

でもドラドは自分の「キラキラネーム」に決して負けていない!
なんかもう「……なんでそんなに?」と訊きたくなるくらいにキラキラ。いやむしろギラギラのビカビカに金色なのです。キンギョどころの騒ぎじゃあない!

サケっぽいけど実はピラニアに近縁


このドラドという魚は「カラシン科」という日本ではあまり聞きなれない分類群に属します。カラシンの仲間は南米やアフリカ大陸にのみ分布しており、有名どころにはピラニアや観賞魚として有名なネオンテトラ(『あつ森』にも登場しますね)などがいます。

▲実はあの小さくてかわいいネオンテトラとも近縁

ピラニアとネオンテトラ……と両極端な種がいることからも分かる通り、カラシンの仲間は非常に種が多く、体型もたいへんバリエーションに富んでいます。
南米ではこれらカラシン科の魚が、コイ科などアメリカ大陸に自然分布しない魚類に似た姿に進化し、生態系における彼らの地位(「ニッチ」と言います)を代わって埋めています。

そういえばドラドも体型や顔つきがマスやサケの仲間に似ています。学名の「salminus」もラテン語でサケを指す「salmo」に由来します。しかし分類学的には近縁でもなんでもない、いわゆる「他人の空似」なのですが。

ドラドは海に降りることこそありませんが、産卵の際には大河の流れに逆らって数百キロメートル(!)も遡上することが知られています。均整のとれた流線形のボディがもたらした遊泳力のなせる技と言えます。
また、サケと同様に肉食で小魚を追い回してその大きな口でパクリとやるのです。生態が近いと遠縁な生物同士でも姿形が似てくる「収斂進化」のいい例でしょう。
なお、体長も1メートル以上に成長し、体色も相まってたいへん見栄えする魚です。


ドラドは大河のスピードキング(味も良い)


大きくて遊泳力が強く、エサを獰猛に追う。さらに見目麗しいとなれば、『あつ森』に限らず現実世界でも釣り人が放っておきません。
ドラドは南米でも指折りのスポーツフィッシングターゲットとして人気を博してもいるのです。
僕もブラジルで小さなドラドを釣ったことがありますが、いいように翻弄されました。水中を縦横無尽に駆け回ったかと思えば花火のように水面を飛んで跳ねる…。まるで筋肉とエネルギーの塊のような魚なのです。
あちらの釣り人が夢中になるのもわかります。

▲漁師が仕留めたドラド(ブラジルにて)

さらにさらに、ドラドは肉がとても美味しくボリュームもあることから食用魚としても人気。漁師さんからも狙われます。味や肉質はどこかビンチョウ(ビンナガマグロ)を思わせ、まるで川魚ではないような美味さがあるのです。

▲ドラドの姿揚げ

また、その見栄えよさから観賞魚として日本へ輸入されることもしばしば。ただし巨大化する上によく泳ぐとあっては、飼育にはちょっとした水族館並みの水槽が必要……。なかなかご家庭で飼えるものではありません。



ちなみに僕は『あつ森』で自宅にドラド水槽を並べたり博物館に展示することで「ドラド飼ってみたい欲」を満たしています。壮観ですぜ。

『あつ森』博物誌バックナンバー


■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。


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《平坂寛》

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