そこで今回は、本作。スマートフォンの画面内を躍動するモンスターたちの姿に注目しながら、本作の楽しさを探っていきたいと思います。
かわいいモンスターたちのグラフィック
今も昔も序盤を支えるスライムナイト
ドラクエの仲間モンスターと言えば、まず一番に外せないのはスライムナイト。『ドラクエ5』では簡単に仲間なり、かつ高性能だったため多くの人がお世話になったことでしょう。本作でもチュートリアルで登場し、作品の導入でプレイヤーを手助けしてくれます。

スライムナイトのモーションといえば、『ドラクエ11』でスライムと横並びでテクテク歩く姿が非常に印象的でした。『ドラクエタクト』でもスライムに跨って、大はしゃぎするスライムナイトの姿を見ることができます。
思い出深いベビーパンサー
今作の最初のボスキャラクターとして登場するのは「ベビーパンサー」。そして、その成長した姿である「キラーパンサー」がイベント報酬モンスターとして登場します。こちらも『ドラクエ5』の序盤で主人公の仲間となるモンスターですね。
『ドラクエ5』ではいじめられているところを助けてあげるという印象的な出会いの後、いくつかの冒険を共にし、悲劇的な別れを経験。その後10年の時を経て涙腺も緩むドラマチックな再会を果たします。思い入れが強くなりすぎて、パーティーから外すに外せず、とりあえず馬車に入れたままラスダンに連れて行ったというプレイヤーも少なくないでしょう。

今作のベビーパンサーは特にモーションに気合が入っています。ぶるぶる体を震わせて威嚇するという動きはもちろんのこと、後ろ足で立って踊るように体を揺らしている様は愛らしさ満点。ベビーパンサーのファンならば一度は見ておいて損は無いでしょう。
盆踊りを得意とするホイミスライム
『ドラクエ』の歴史において、初めてプレイヤーの仲間になったのは「ホイミスライム」です。『ドラクエ4』の第一章で「ホイミン」と名乗るホイミスライムが、戦士ライアンに同行。殴り一辺倒のライアンを回復呪文でフォローしてくれました。
リメイクされたPS版以降では会話することも可能。敵として出てくるホイミスライムに対して容赦しないようにライアンに進言するなど、意外にドライな一面も垣間見え、プレイ当時はなんとも複雑な気持ちになったものでした。

今作のホイミスライムは、過去のシリーズでも見たようなモーションで登場。左右に触手を振る仕草は、もともとは『ドラクエ6』やSFC版の『ドラクエ3』で回復呪文を使用するときの動きだったと記憶していますが、今回はどう見ても盆踊りのよう。リザルト画面では、喜びの雰囲気が良く現れています。
目と唇が愛らしいリップス
リップスも非常に印象的なモンスターで、初登場は『ドラクエ6』。プレイヤーキャラクターが「まものつかい」の職についていると、戦闘後に一定確率で仲間にすることができます。カッコよくもかわいくもなく、それでいて敵らしいおどろおどろしさ無いけど、気味の悪さは抜群のモンスター。プレイ当時「こいつを育てるプレイヤーはいるんだろうか」と疑問に思ったものです。仲間になり、フィールドに姿を現したリップスの不気味な目と唇が今も忘れられません。

本作のグラフィックもかなり丁寧に作り込んであります。特徴的な唇と目、そしてなめくじのような体を存分にアピールしたモーションは、ただひたすら不気味です。なぜ数あるモンスターの中から、このリップスが確定入手の仲間モンスターとして採用されたのかは謎。ストーリー面でも「リンダ」という名前のリップスが重要な役回りを担っています。筆者が避けていただけで、意外と昔から根強い人気のあるモンスターなのかもしれません。

ちょっと胸元のふくらみが強調されているように見えるのは…気のせいですかね。
今後のシリーズをリードするマスコットのモーモン
『ドラクエ9』で初登場のモーモン。かわいい見た目でふわふわ浮いており、筆者もまたそのかわいさに魅了された一人。攻撃の際には恐ろしい形相で牙をむく、ギャップも特徴の一つです。
『ドラクエタクト』では、主人公をリードするピンクモーモンの「モナン」と、主人公を妨害するブラックモーモンの「アクモ」が登場。『ドラクエモンスターズ』のわたぼうとワルぼうに近いポジションだと言えます。

荒事になると牙をむき出しにして吠えるモンスターの鑑。
改めて見ても非常にかわいいモンスター。ストーリーに登場するモナンとアクモの両名ももちろん、仲間にできるモーモンも丁寧なグラフィックでもこもこした雰囲気がよく出ています。

低ランクモンスターたちの活躍
ここまで紹介したモンスターたちは『ドラクエタクト』における低ランクのものばかり。本作は高ランクのモンスターと低ランクのモンスターの差がかなり大きい作品であり、(「覚醒」などの育成要素もありますが、それでも)E~Fランクのモンスターたちが日の目を見るのはなかなか難しいものがあります。
そんな低ランクモンスターにスポットライトを当てるシステムが「バトルロード」。このシステムでは挑戦できるモンスターが一部のものに絞られています。
例えば「スライムナイトロード」では、必ずスライムナイトをリーダーに据えなければならず、パーティにはスライム系の一部のモンスターしか加えることができない、という仕様。つまり、メインシナリオや通常のイベントでは使わないようなモンスターたちにも活躍の場が与えられているということです。

バトルロード自体も上位のステージになるとしっかりと育成が必要な難易度となっています。本作『ドラクエタクト』をしっかりやり込むためには、すべてのモンスターを幅広く育成していく必要がある、ということですね。

所有モンスターを全体的に底上げしていくことが、攻略への力になります。
モンスターたちに名前を付けるのもドラクエの楽しみ
本作にはモンスターの名前を変更するシステムも実装されています。ドラクエのモンスターと言えば、ちょっと変わった名前の数々も魅力の一つ。
一緒に冒険するスライムナイトの名前は、やっぱり「ピエール」でしょう。リップスに「マリリン」という名前はさすが『ドラクエ』制作陣のセンスが光っています。どろにんぎょうが「ジミー」で、くさったしたいは「スミス」などなんだか変なおしゃれネーミングも素晴らしい。今回筆者も頑張ってリセマラして入手しキラーマシンは「ロビン」ですよね。もちろん従来のシリーズで登場した名前以外にも、自分のオリジナルの名前を付けるのも一興。

ビアンカと冒険した少年時代を思い出しますね。
タクティカルゲームとしての面白さはもちろん、モンスターを愛でるゲームとしても楽しさが詰まっている本作。昔ドラクエシリーズを楽しんだプレイヤーたちも、当時を思い出しながら楽しむことができるでしょう。