2006年に劇場版アニメになった『どうぶつの森』、改めて見るとかなり“奇妙”じゃない?【※ネタバレ注意】

2006年に上映された劇場版『どうぶつの森』。人気の作品ですが、いまになって見てみると……。【※ネタバレ注意】

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2006年に劇場版アニメになった『どうぶつの森』、改めて見るとかなり“奇妙”じゃない?【※ネタバレ注意】
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唯一の良心であるサリーも……?



このように劇場版『どうぶつの森』は奇妙なポイントが多いものの、そのなかでも良心的な存在が主人公の親友となるサリーです。彼女は礼儀正しくきちんと挨拶もしてくれますし、そのうちアイと「チェリーパイ」という隠語を共有するようになるほど仲良しになります。

しかし、秋になるとサリーが急に引っ越してしまうのです。それもアイにだけ引っ越しすることを告げずに。ほかのどうぶつたちはみんな知っているようでしたし、喫茶店のマスターですら伝えられていた模様。そりゃ雨のなかズブ濡れになって泣くよね……という展開になります。


とはいえ、これは誤解でした。あとからアイのもとにサリーの手紙が届き、「別れの挨拶をすると泣いてしまうので黙って行った」ということがわかります。

こっそり行くにしても、なぜアイにだけ黙っていたのでしょうか? いずれアイにバレて彼女がショックを受けるのは間違いないわけですから、むしろ真っ先に言うべき相手ではないでしょうか。

仮にアイにだけ言わないのが配慮だとするならば、別の友達であるブーケには別れを告げても問題なかったということになってしまいます。あるいは、どうぶつの考えることは人間とだいぶ違うのでしょうか……?

舞台は宇宙に広がる



ともあれ、ファッションデザイナーになるという夢を追って村を出たサリーにならい、アイも自分の夢を追いかけるようになります。それはいいのですが、実行することは海に流れ着いたメッセージボトルの手紙にあった「針葉樹を植えよ」という指示に従う、かなり不思議な行動です。

夢ってなんでしょう。お菓子屋さんになる、好きな仕事に就く、のんびり暮らすなどいろいろあると思うのですが、得体の知れない宇宙人の指示に従って針葉樹を植えるというのが夢になりうるのでしょうか。


しかも驚くべきことに、最終的に奇跡が起こって本当に地球外生命体が出てきます。もはや『どうぶつの森』ではなく『液体金属生命体の宇宙』にまでスケールアップし、劇場版『どうぶつの森』は終わりを迎えるのです。

この映画、いい話のようにまとめていますが、いろいろと無理がありかなり不思議な作品に仕上がっています。どうも、当時の児童向け劇場版アニメをベースに『どうぶつの森』の要素を加えて制作したという印象なんですよね。つまり、『どうぶつの森』をすごく大事にした映画かというと疑問なわけです。

最新作『あつまれ どうぶつの森』は世界で2,200万本以上も売れたビッグタイトルになっています。その現状を考えるとIPとして大事にするでしょうし、アニメ化も慎重にならざるをえず、こういった気軽な児童向けアニメになることは二度とないのかな、と切ないことを考えてしまいます。

いずれにせよ、劇場版『どうぶつの森』は見所のある作品です。ちょっと奇妙ですが出来が悪いわけではないので、児童向けアニメと考えれば悪くないはず。動画配信サービスなどでは見当たらず、DVDを買うかレンタルするのが基本になり見づらいのですが、シリーズファンであればぜひ目を通しておくべき作品といえるでしょう。


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《すしし》

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