「メガドライブ ミニ」1周年に未収録タイトルを語りたい! あなたが知らない(かもしれない)良作・個性作を掘り起こし

日の目を見て欲しいメガドラソフトは、「メガドライブ ミニ」1収録タイトルだけではありません! そこで今回は、筆者の独断で個性作を6本ご紹介。

その他 特集
「メガドライブ ミニ」1周年に未収録タイトルを語りたい! あなたが知らない(かもしれない)良作・個性作を掘り起こし
「メガドライブ ミニ」1周年に未収録タイトルを語りたい! あなたが知らない(かもしれない)良作・個性作を掘り起こし 全 57 枚 拡大写真

対戦アクションとしての完成度が高い『ボールジャックス』



今回、名作や知名度の高い作品以外から選んでいますが、グラフィックに定評のある『エクスランザー』、手堅い完成度の『エレメンタルマスター』、アーケード版から始まった『クラックダウン』に『ゲイングランド』と、いずれも一定の支持を集める作品ばかりでした。

ですが、ここで紹介する『ボールジャックス』は、今回選んだ6本の中でも最も知名度が低いことと思います。試しに「“ボールジャックス”」でGoogleで検索したところ、中古販売やオークションサイトばかり。もちろん、本作を紹介しているブログなどもありましたが、検索件数は約3,020件。他の5本と比べても、1桁少ない結果でした。


そんな『ボールジャックス』ですが、ユニークかつ珍しいゲーム性を持っており、完成度もかなり高いと感じています。ジャンルは、画面固定型の対戦アクション・・・ですが、相手を直接攻撃するのではなく、スポーツに近い競技型のゲームです。


自分も相手も、カニ型の機体を操作し、爪を射出して相手の陣地にあるボールを奪います。ボールは合わせて4つあり、その全てを奪って一定時間継続すると勝利。奪われた後も、制限時間内にボールを奪い返せば試合が続くので、最後まで油断できません。


射出する爪は視線で追える程度の速さなので、到達位置とボールの移動速度を予測して撃つ必要があります。この見極めが絶妙で、気持ちが焦ると早すぎたり遅かったりで掴めません。また、爪は両手にあるので、時間差でひとつのボールを狙うもよし、同時に2つのボールを奪うのもまたよしです。


そして、直接攻撃できないものの、間接的な攻撃手段が存在します。爪が掴んだボールは、引き寄せつつの上下移動が可能で、このボールを敵にぶつけるとダメージ発生。ダメージが累積すると爆発し、機体を修復しなければなりません。

修理中は無防備になるので、こちらはボールを奪い放題。ボールが全て揃っていれば、勝利にグッと近づきます。もちろん、自分の機体も攻撃を受ければダメージを負うので注意が必要です。ボールの奪取や攻撃に気を取られて連続ダメージ、といった展開も少なくありません。


形勢が不利でも覆しやすく、移動中のボールを奪い返すなどの小技もあり、独自ながら完成度の高いゲームルールを備えた『ボールジャックス』。対戦アクションとしていい出来なのは間違いありません──が、やることに代わり映えがないので、CPU相手にずっと戦っていると飽きが来るのも事実です。

対戦相手の友人がいれば、かなり盛り上がるタイプのゲームなだけに、知名度の低さは残念なところです。筆者の周囲にも、『ボールジャックス』を遊んでいる人がいて欲しかった・・・。

決して“美少女だけ”のSTGじゃない! 技術力の高さと絶妙なゲーム性が魅力の『グレイランサー』



今回紹介する最後のタイトルは、横スクロールSTG『グレイランサー』です。『エレメンタルマスター』も含め、当時はかなりの数のSTGがリリースされましたが、その中でも指折りに入るほど個人的に気に入っている作品です。


決して、主人公の「ルーシア」が美少女だから、という理由ではありません! 確かに可愛いけども!

当時は、美少女を全面に押し出してアピールする作品が少なからずあり、その中には“美少女推しでゲーム性は今ひとつ”といった作品も残念ながら存在しました。そうした影響から、美少女色が強いゲームを敬遠するユーザーもいたほどです。


しかし、『グレイランサー』はそもそもゲームとして素晴らしい、と声を大にして言いたい! 遊べばすぐに分かりますが、ステージ1から多重スクロールによる演出でプレイヤーを圧倒。舞台となる宇宙の壮大さを、プレイ直後から感じさせてくれます。流れる背景の雄大さが、画像では伝わらなくてもどかしいばかりです。


多重スクロールで流れる小惑星帯に目を奪われつつ先に進むと、更に惑星も徐々にフレームイン。一体いくつスクロールさせれば気が済むんだと、当時痺れたものです。



ステージ4では、仕切られた回廊の中を突き進む高速スクロール。また、画面内に収まらない戦艦とのバトルや惑星内を飛ぶステージもあるほか、下方向や上方向、時には後方へのスクロールもあり、ステージ構成のメリハリもたまりません。


機体性能としては、追従する2機のオプションが攻略上の鍵となります。このオプション(ガンナー)の操作方法もユニークで、レバー入力方向に放つ「ノーマル」や、入力と逆方向に放つ「リバース」、自動的に敵を狙う「サーチ」など7種類あります。オプションの操作をここまで選べるSTGはかなり珍しく、自分好みの操作を見つけやすいのも嬉しい点です。


ゲーム性で言うと、いわゆるパワーアップがないのも特徴でしょう。アイテムを取ることでオプションを付けられますが、一般的なSTGによくある、アイテムを重ねて取ることで“ショットが強力になる(与えるダメージが増える)”といった要素はありません。


一見するとプレイヤー側が不利のようですが、ショットのパワーが一定という前提でレベリングされているので、“一度やられた後の初期状態でも、立て直しがさほど難しくない”という利点に繋がります。


このバランス取りも相まって、ノーマルでクリアする分には難易度はあまり高くありません。しかし、決してヌルいわけでもなく、「先手先手を取ればサクサク進み、油断するとあっという間にやられる。でも、立て直しはしやすい」といったゲーム性を実現しており、緊張感と巻き返しの両立が本当に絶妙な作品なのです。


よくある美少女ゲーという誤解も招きがちな、しかし技術力の高い演出と絶妙なゲーム性に支えられた、見るべき価値のあるSTG『グレイランサー』。こちらも、時間の流れに埋もれて欲しくないタイトルのひとつです。


ちなみに、STGとして面白いのは確かですが、美少女要素もかなりしっかりしているので、その意味での完成度も高め。ルーシアの健気さも魅力的ですが、見た目は可愛らしいのに意外と血気盛んな「ティム」も見逃せませんね。・・・いや、STGとしての完成度が高いのも本当ですからね?


現在、『グレイランサー』を気軽に遊べる手段は残念ながらありません。実は、MD/MD互換機で遊べる『グレイランサー』が昨年リリースされたのですが、こちらは既に完売しており、Amazonでの中古価格は定価の2倍以上(記事執筆時点)。お勧めしかねる状況なのが残念です。

このMD/MD互換機版『グレイランサー』のPVが公開されているので、せめてそちらの映像で、本作の魅力に垣間見てください。多重スクロールをはじめ、今回紹介した様々な特徴を映像でご覧あれ!




【関連記事】
「PCエンジン mini」発売記念! “小型化・遊べるタイトル数・サプライズ性”の3点で「メガドライブ ミニ」と比較してみた
「『メガドライブミニ』の中で、あなたが一番嬉しかったタイトルは?」結果発表─読者の注目を集めたのは“幻のソフト”と“新規初移植”の2本!【アンケート】
  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3

《臥待 弦》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

特集

関連ニュース