冷たい川のぬし!『あつまれ どうぶつの森』で釣れる「パイク」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

『あつまれ どうぶつの森』に登場する生き物を、生物ライターが解説!第23回は「パイク」です。

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冷たい川のぬし!『あつまれ どうぶつの森』で釣れる「パイク」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】
冷たい川のぬし!『あつまれ どうぶつの森』で釣れる「パイク」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】 全 8 枚 拡大写真
※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!
いよいよ秋本番ですね。
『あつ森』でも野山からは虫たちが減って久しく、さらに海や川からも熱帯魚や南洋系の魚たちが姿を消してしまいました…。

もちろん、川ならコイやウグイ、海ならタイやヒラメといった温帯性の魚たちは相変わらず姿を見せてくれます。ですが、やはりドラドやらロウニンアジやらといったド派手でいかつい魚たちに会えなくなるのは寂しいものです。

しかし!寒さを好む魚にだってカッコいいもの、美しいものはいるのです!
その代表格が『あつ森』における北半球で9月から釣れるようになった「パイク」という魚です。



どうです!この妖しい魅力をたたえた大魚!
日本では聞き慣れないパイクという魚ですが(海産のカマス類を思わせるそのシャープな魚体と顔つきから「カワカマス」という和名で呼ばれることも)、現実世界ではやはり北半球の各地から数種の存在が知られています。

パッと見たところは熱帯魚のような雰囲気も感じられますが、その実は温帯~冷帯の涼しい気候、冷たい水を好むグループなのです。
なお『あつ森』に登場するのは体の模様を見るにその中でも特に分布が広く、比較的大型になる「ノーザンパイク」だと考えられます。

▲リアルのノーザンパイク。イギリスにて。

ノーザンパイクはユーラシア大陸、アメリカ大陸の高緯度地域に広く生息している魚です(※近年、分類が細分化されつつあるのでこの辺の情報は更新されていくかもしれません)。

大きなものでは体長1メートル以上、体重20キログラムに達する大型魚で、裂けた口を見てもわかるとおり食性はもっぱら肉食です。


ノーザンパイクは驚くほど貪食なことが知られており、魚やカエル、甲殻類などはもちろんのこと、時には水鳥や小型の哺乳類まで捕食すると言われています。

その悪食ぶりを支えているのが大きな口とそこに並ぶ無数の鋭い歯です。

▲絶対噛まれたくないですね……。

ゲームの画面ではわかりづらいですが、これこそがパイク最大のチャームポイントかもしれません。

また、美しい緑色の唐草模様は水中で水草の茂みへ溶け込むのに役立っていると考えられます。…いつどこからあの牙が襲いかかってくるかわからないわけですから、パイクと同じ水域に棲む小魚たちにしてみればとんでもない恐怖でしょう。なんだか気の毒になってきますね…。

▲陸で見ると派手な模様も……。

▲実は水中に溶け込む迷彩なのです。

たとえば10月から釣れるようになった「イエローパーチ」。
彼らは現実世界だとアメリカでノーザンパイクと同じ水域に生息しており、捕食の対象となっているようです。


まさかバーチャルの世界でもパイクの魔の手に追われることになるとはかわいそうに…。

ちなみに、かつてノーザンパイクは観賞魚として日本のペットショップなどでも見かける魚でした。
しかし、現在は野外に放流された場合に帰化、定着の恐れがあるとして環境省の定めるところの「特定外来生物」に指定されており、販売や飼育はできなくなりました。

というわけで、リアルのパイクを見てみたい人はどうぞ生息地を訪問すべしです。力強さと美しさ、それから少しのおっかなさを兼ね備えた素敵な魚ですよ~。

『あつ森』博物誌バックナンバー


■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。


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《平坂寛》

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