DMM GAMESから10月29日にリリースされた国内PS4版『セインツロウ:ザ・サード リマスタード』。『セインツロウ』シリーズの三作目であり、2011年にPC/PS3/Xbox360向けで登場した『セインツロウ:ザ・サード』のリマスター作品です。
本シリーズでプレイヤーは、ギャング団「サードストリートセインツ」の一員として様々な犯罪や抗争を経て、ストリートで成り上がっていきます。ゲームジャンルとしては『GTA』シリーズに代表される典型的なオープンワールドクライムアクションですが、派手なストーリー展開やアクション、過去作に登場したお金を払い一瞬で手配度を帳消しにしてくれる“ドライブスルーの懺悔室”といったユーモアによって、独特な魅力と存在感を放っています。
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察してください。
しかし、抗争による仲間との死別や裏切り、復讐といったハードでシリアスな展開も見せた過去作に対し、本作からは一転して(もちろんシリアスを挟みつつも)ド派手でお気楽な作風へと転換。そのノリと勢いを引き継いで、アメリカ合衆国大統領となったプレイヤーたちとエイリアンによる戦いを描いた続編『セインツロウIV』や、地獄を舞台にした同作のスタンドアロンDLC「ギャット・アウト・オブ・ヘル」が登場するなど、その後のシリーズの方向性を決定づけた作品でもあります。
今回は、そんな『セインツロウ:ザ・サード リマスタード』のプレイレポートをお届けします。本作の内容や魅力のほか、オリジナル版からどういった変化があったのかという点にもフォーカスしてご紹介していきます。
暴れた分だけ強くなる、“抗争”に焦点を当てたクライムアクション
本作の舞台は、過去作に登場した「スティルウォーター」から、新たな都市「スティールポート」へと変更。巨大犯罪組織「シンジケート」が取り仕切るこの街は、組織を構成する「モーニングスター」「ルチャドールズ」「デッカーズ」という三つのギャングによって支配されており、プレイヤー率いる「サードストリートセインツ」はこの勢力図を塗り替えるために様々な犯罪を行なっていきます。
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ゲームは、「複数のギャングが群雄割拠する街を、様々な犯罪やミッションをこなしながら支配していく」というシリーズおなじみの流れを踏襲しています。街中に点在するアクティビティのクリアや不動産買収などで区画を支配して収入を増やせるほか、リスペクトという経験値に相当するゲージを溜めればレベルが上がり、アンロックできるスキルも増えていきます。
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リスペクトはミッションやアクティビティのクリアだけでなく、数十種類に及ぶチャレンジの達成でも獲得が可能です。チャレンジは車両・ヘリ・船舶の破壊や道路を逆走した距離、カージャックの回数など多岐に渡るうえ、普通にプレイしていく中で回数を重ねていけるものも数多く存在。また、服を購入したり車をカスタマイズするだけでも獲得できるので、いつの間にかそこそこのリスペクトを稼いでレベルアップしていた、なんてことも珍しくありません。
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一方で、スキルのアンロック自体にはリスペクトではなくお金が必要です。もちろんアイテムや不動産の購入などにも使用するので、ある程度収入や獲得スキルに余裕が出てくるまでは常に枯渇しがち。スキルは、体力やスタミナの増加、耐久力の上昇、所持弾薬の増加など一般的な能力強化から、味方の能力を強化したり、警察や敵対ギャングからの悪評度の低下速度を速めたりといった補助的な物も存在します。
さらに強化していくと、最終的にスタミナ無限、銃弾や爆発ダメージの無効化、武器の弾薬無限、リロード不要化など、ゲームバランスを崩壊させるようなスキルも獲得できるようになります。
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『GTA』シリーズなどとは一線を画す要素として、ギャング同士の抗争にフォーカスしている点が挙げられます。これは単にストーリー上で抗争が描かれるというだけでなく、街中に「抗争スポット」と呼ばれる敵対ギャングとの戦闘エリアが点在していたり、警察とは別にギャングからの悪評度も存在するといった点で強調されています。さらに、セインツの勢力下では味方のギャングメンバーが出歩くようになるため、場合によっては、セインツVS敵対ギャングVS警察といった三つ巴の銃撃戦になることも……。
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また、シリーズおなじみの保険金詐欺や、とにかく戦車で暴れまくるタンクメイヘムなど、お金・リスペクト稼ぎの要となるアクティビティはユニークで多彩な内容。このアクティビティのクリアや街中に点在する不動産の購入で、街の区画を支配していきます。
不動産は収入を増やすだけの物から服屋や武器屋といったショップも存在し、購入すればアイテムの割引を受けられたり、警察やギャング追われている際は逃げ込めば悪評度が帳消しになるという恩恵も受けられるため、どんどん購入したいところです。なお、区画の支配率を100%にすると敵ギャングが出現しなくなるので、敵を残しておきたい場合は一つは物件の購入を控える必要があります。
光の表現やテクスチャの改善はもちろん、キャラクターモデルまでもが作り直された新たな『セインツロウ:ザ・サード』
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今回のリマスターでは、2011年リリースの本作を現世代機向けに改良。全面的なグラフィック強化により、武器や車両は0からモデリングを再構築して、オリジナル版からさらに洗練された仕上がりとなっています。また街中のテクスチャもパワーアップし、路面や外壁のひび割れや汚れ、高層ビルの窓ガラスのきらめきなどがよりリアルに表現されています。
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特に筆者が驚いたのはライティングです。昼間の日光の自然な明るさはもちろんですが、特に夜間の陰影のリアルさはまさに進化と呼ぶべきもので、車に反射する街頭の光や闇夜を照らすヘッドライトの表現は、全く別のゲームをしているかのような新鮮さを味わえます。遠景描写も目に見えて変化しており、オリジナル版では距離にかかわらず同じように見えた高層ビルの明かりも、リマスター版では距離に応じて見え方に違いが生まれています。
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総じて、オリジナル版では夜間の陰影が乏しくあまり暗さが分かりませんが、リマスター版では明暗がはっきりと区別され、夜の闇をリアルに感じられます。特にビル街を貫く夜の高架道路などを走ると、なかなかの雰囲気が味わえました。その一方で影の部分は本当に暗く見えづらいため、夜間の視認性という面では、オリジナル版の方がいくらか見やすいように感じました。
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キャラモデルだけでなく、肌や服の質感にかなりの変化が見て取れます。ちなみに表情も変わっているようです。
さらに、本作ではキャラクターモデルも一新されています。オリジナル版のキャラクターたちは、いくらかデフォルメされたいかにも洋ゲー然としたモデルでしたが、リマスターによってリアリティのあるデザインへと変更。この変更については好みが分かれるところではありそうですが(オリジナル版クリア済みの筆者は最初少し困惑)、肌や服の質感の向上も含めて、いい意味でかなりの変貌を遂げています。
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9年もあれば人ってだいぶ変わるね……。ちなみに後ろのモブくんは9年かけてグラサンを掛けました。
主要キャラであるジョニー・ギャット、ショーンディ、ピアース・ワシントンだけでも「IMAGE AS DESIGNED(ゲーム内でキャラメイクをやり直せる美容外科)でも行ってきた?」と言いたくなる様な変わりようなので、未プレイヤーはもちろん、オリジナルをクリア済みの方も新鮮な気持ちでプレイできるのではないかなと思います。
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そのほか、リマスター版ではこれまでに登場した3つの拡張ミッションパックに加え、30を超える服やアクセサリー、ビークルといったカスタマイズアイテムなどのDLCが付属。かなり強力な武器のほか、戦車や、レーザーなどを搭載したVTOL機も最初から使用できるため、ゲーム開始直後から『セインツロウ』らしくハチャメチャに暴れまくれます。
さらにトロフィーの解除はできなくなるものの、DLC購入で追加される無敵や無限弾薬といったチートも最初から使えるので、ただひたすら破壊の限りを尽くしたいというプレイヤーのニーズにもプレイ開始後即対応、というストレスフルな仕様になっています。
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今から9年前にリリースされた『セインツロウ:ザ・サード』。ストーリーの長さやコンテンツの厚さなどは正直物足りない部分があり、アクションTPSとして見たときのゲームプレイの奥深さなどもあまり感じられないとは思います。あくまでもリマスター作品であり、こうしたプレイ内容そのものに変化はありません。
しかし、好き放題に暴れるという一点にフォーカスして、そのために用意された破天荒なシチュエーションやアクションはどれも他では味わえない魅力を感じますし、現在の水準に引き上げられた美麗なグラフィックはそれらを大いに盛り上げます。
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未プレイヤーはバカバカしくもダイナミックなゲームプレイが楽しめますし、クリア済みの方も別人じみた整形?を経たサードストリートセインツの皆さんと新鮮な気持ちでドンパチできる『セインツロウ:ザ・サード リマスタード』。年末に向けて重厚な世界観を持った大作が次々とリリースされていきますが、たまには頭を空っぽにして、本作でお気楽に大暴れするのも良いのではないでしょうか?
『セインツロウ:ザ・サード リマスタード』は、PS4向けに4,800円(税抜)で発売中です。