川に棲む虹色の…イワシ!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れる「レインボーフィッシュ」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

『あつまれ どうぶつの森』に登場する生き物を、生物ライターが解説!第58回は「レインボーフィッシュ」です。

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川に棲む虹色の…イワシ!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れる「レインボーフィッシュ」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】
川に棲む虹色の…イワシ!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れる「レインボーフィッシュ」ってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】 全 7 枚 拡大写真

※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!

梅雨ですね~。いやですね~。
……と言いつつ、僕の暮らしている今年の沖縄はやや空梅雨気味で、早くも梅雨明けの気配が漂い始めております。
昨日などは雨後の晴れ間に小さな虹を見かけました。

で、虹といえば!!
『あつまれどうぶつの森(以下、あつ森)』で「レインボーフィッシュ」なる魚が釣れるのはご存知でしょうか?

…はい。かなり強引な導入でしたが、今回はそのレインボーフィッシュについてのお話です。
かわいくて、キレイで、さらには進化の歴史までおもしろい素敵な魚なんですよ。

奥の深い小型美魚!

レインボーフィッシュはオセアニアからインドネシアを中心に分布する小型淡水魚の一群を指す総称です。
レインボーと名につく通り、色鮮やかな種が多いのが特徴です。その美しさから観賞魚としても人気が高く、日本でも大きめの熱帯魚屋さんなどへ行くと数種のレインボーフィッシュたちを見ることができます。

▲身体の前半分が水色、後ろ半分がオレンジ色のハーフオレンジレインボーフィッシュ(ボーズマンレインボーフィッシュとも)。

しかし、レインボーフィッシュの仲間はなかなかの大所帯。何十という種が各地に分布しているとされています。
お店に並ぶレインボーフィッシュはそのうちのほんの一部でしかないのです。養殖が難しかったり、地域によっては海外への輸出が規制されていたりする種が多いこともその要因です。

▲全身が空のように青く染まるブルーレインボーフィッシュ。

あとは日本の水質が飼育に適さなかったり、色合いがレインボーフィッシュにしては地味だとかいう点で敬遠されているものもあるとか……。
とにもかくにも奥が深い魚なんですよ。
と、こんな具合に語っている僕もほんの入り口しか知らないんですけどね。

▲真紅のボディーにメタリックシルバーのスパンコールが眩しいコームスケールレインボーフィッシュ(レッドレインボーフィッシュとも)。日本の観賞魚店でもわりとよく見かける種。

もともとは海水魚!

ところで、『あつ森』におけるレインボーフィッシュは川で釣れます。たしかに、彼らの多くは河川の純淡水域や湖に生息します。しかし、中には汽水域や海に暮らす種もいます。
えっ!わざわざ塩水に進出するなんて根性ある~。進化しまくりじゃ~ん。
と、思いそうなものですが、実はそういうわけでもなかったりします。
そもそもレインボーフィッシュは「トウゴロウイワシ目」に分類される魚なのです。

▲日本産のトウゴロウイワシ。これがあのド派手なレインボーフィッシュの親戚(?)だとは…。

イワシと名のつくとおり、トウゴロウイワシ目にはバリバリの海水魚も含まれます(といっても、マイワシやカタクチイワシとは縁の遠い魚たちなのですが)。
遠い昔、もともと海で暮らしていたトウゴロウイワシ一族の中から淡水域に進出するものが現れ、気の遠くなるような時間をかけて真水へ適応した結果がレインボーフィッシュたちなのです。
だから、海や汽水域で暮らしているレインボーフィッシュがいても不思議ではないわけです。
なが~い進化の歴史を考えれば、そこは故郷のようなものなわけですから。

『あつ森』に登場するのは「ダイヤモンドレインボーフィッシュ」?

ところでさきほど、レインボーフィッシュにはたくさんの種類があると書きました。では『あつ森』に登場するあのレインボーフィッシュの正体とは?

▲日本で鑑賞用に多数流通する“超メジャーレインボー”ではなさそうなんですよ。

体型や体色からの個人的な推測でしかありませんが、あれはおそらくダイヤモンドレインボーフィッシュ(オーネイトレインボーフィッシュとも)という種ではないかと考えられます。
かなり変異に富む魚のようですが、学名で画像検索すると「あつ森レインボー」と特徴がおよそ一致する個体も表示されます。
レインボーフィッシュの中でも小型で美しさとかわいらしさを兼ね備えた種です。

しかし、ダイヤモンドレインボーはややマイナーな部類ですし、ほかにも美魚ぞろいのレインボー一族の中でなぜ本種が抜擢されたのか…。
…きっとマニアがいるんですよ、魚マニアが。開発に。
いやー、ちょいちょいコアな魚が出てくるから怪しいと思ってたんですよ。
ホンマ『あつ森』開発チームは魔境ですわ~。

『あつ森』博物誌バックナンバー


■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。


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《平坂寛》

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