『スマブラSP』“カズヤ参戦”の難題に挑んだ桜井政博氏、両シリーズの違いなどを語る─「『鉄拳』は間合い、『スマブラ』は座標のゲーム」

『スマブラSP』へのカズヤ参戦について、桜井氏が意外な秘話やこだわりなどを明かしています。実装されたばかりの新ファイターに触れる前に、こちらの記事をどうぞ。

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『スマブラSP』“カズヤ参戦”の難題に挑んだ桜井政博氏、両シリーズの違いなどを語る─「『鉄拳』は間合い、『スマブラ』は座標のゲーム」
『スマブラSP』“カズヤ参戦”の難題に挑んだ桜井政博氏、両シリーズの違いなどを語る─「『鉄拳』は間合い、『スマブラ』は座標のゲーム」 全 11 枚 拡大写真

ニンテンドースイッチソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)に参戦する新ファイター「カズヤ」が、本日6月30日に実装されました。

カズヤは、3D格闘ゲーム『鉄拳』シリーズに登場するキャラクター。メーカーの垣根を超えて『大乱闘スマッシュブラザーズ』(以下、スマブラ)シリーズに参戦するケースも多く、このような新たな刺激が加わると対戦意欲が更にヒートアップします。

シリーズの生みの親であり、最新作はもちろん作品全般に深く関わってきた桜井政博氏は、6月28日に実施した配信番組「【スマブラSP】カズヤのつかいかた」にて、この新ファイター参戦に関する裏話や秘話などをお披露目。その内容が話題となりました。

この番組内で、桜井氏はまず、任天堂サイドから『鉄拳』シリーズからの参戦を打診されたと説明。『鉄拳』シリーズと『スマブラ』シリーズは、どちらも“相手を倒す”という共通点を持ちますが、この両シリーズについて桜井氏は「3D格闘ゲームとスマブラはまったく異なる」「ジャンルは別物」と言及します。

「スマブラは格闘ゲームなのか?」といった議論は、インターネット上を含め、以前から様々な場所で語られれてきました。ですが、今回桜井氏が切り出したのは、この論点についての話ではありません。

桜井氏の分析によれば、『鉄拳』は、間合いと技のヒット位置が重要なファクターとなり、上中下段の属性などで構成されている「間合いのゲーム」とのこと。一方『スマブラ』は、高度や距離で互いに有利な状況を奪い合い、安全と危険が位置取りで変化する「座標のゲーム」とし、その違いを分かりやすく表現しました。

本質が異なるため、キャラクターの動作にも大きな違いが。その一例として、「スタンダードなファイターにおける最も早い技の出だし」を比べ、そのスピードに5倍もの差があるとの実証も提示します。

こうした本質に目を向けず、『鉄拳』における技やモーションを当てはめたファイターをそのまま『スマブラ』のフォーマットに落とし込むことは可能としつつも、「だけど、それでは形だけ」「真に作品を体現することにはならない」と、桜井氏による厳しい言葉が続きます。また、「普通に作っては、残念なものになることでしょう」といった予測も口にしました。

ですが、実際のところカズヤは、『スマブラSP』に実装されています。果たして桜井氏は、どのような手腕を持って“真に作品を体現”したのでしょうか。その答えもまた、本番組にて語られています。

「無茶をとんちでなんとかするのが『スマブラ』」と述べた桜井氏は、『鉄拳』シリーズに存在する「デビル因子」という設定に注目。通常ワザについては極力『鉄拳』へと近づけ、カズヤらしさを存分に表現しました。なお、カズヤが繰り出す通常ワザの数は、『スマブラSP』全体の中でもNo.1。こだわりの再現ぶりが窺えます。

そして、「空中ジャンプやスマッシュ攻撃、必殺ワザなどを「デビル因子」の力に置き換えることで、『スマブラ』でもうまくまとまるのではないか」と桜井氏は考え、この発想を実現させました。その成果が、『スマブラSP』におけるカズヤとなります。

桜井氏と開発陣のこだわりがたっぷり詰まった新ファイター・カズヤ。『スマブラSP』に訪れた新風は、激戦にどのような彩りを添えてくれるのでしょうか。遠慮なく、その興奮をお楽しみください。

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《臥待 弦》

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