いよいよ始まったTOKYO 2020オリンピック。早速話題をさらったのは入場行進で使用された数々のゲーム音楽でした。誰もが知る有名曲から意外なチョイスまで、全19曲がリストアップされています。選曲のリストには選んだ人間の密かな願いや思いが少なからず隠されているもの。ゲームをプレイしたことがある人には伝わる何かがあるかもしれない、ということで、ゲーマー目線から選曲の意図や意味を読み解きます。
すると、昨今の情勢と照らし合わせ、ゲームを遊んだことのある人ならピンとくる共通点がありました。それは「オープニング」「勇者・英雄」「災厄を祓う」というテーマ。マンガ風のデザインに彩られたステージに迎えられた選手達は物語の主人公であり、疫病によって混乱に陥ったこの世界に希望を灯す「勇者」になる。そんな演出になっていたというわけです。
『ドラゴンクエスト』「序章:ロトのテーマ」(すぎやまこういち)
『ファイナルファンタジー』「勝利のファンファーレ」「MAIN THEME」(植松伸夫)
最早説明不要のゲーム音楽を代表する名旋律です。選手達を戦いに赴く勇者になぞらえ、JRPGのツートップが背中を押してくれる粋な演出ですね。
ちなみに、1964年の東京オリンピックの入場行進曲「オリンピックマーチ」を作曲した古関裕而氏とすぎやまこういち氏は、かつては同じ時代の歌謡曲で肩を並べていたヒットメーカー同士。同じポジションで「序曲」が使われるとは、驚きと共に感慨深いものがあります。
『テイルズ オブ』シリーズ「スレイのテーマ~導師~」(桜庭統)「王都-威風堂々」(青山響)
『テイルズ』シリーズから『ゼスティリア』『グレイセス』より2曲。『ゼスティリア』の世界は人の心が生み出す「穢れ」という負のエネルギーに冒されており、主人公スレイはそれを祓える「導師」となるべく旅に出ます。
『モンスターハンター』「英雄の証」(甲田雅人) 「旅立ちの風」(鈴木まり香)
金管が鳴れば誰もが血潮漲るおなじみのテーマ曲が登場です。『モンスターハンター4』では、狂竜ウイルスによるモンスターの異常化が発生しており、ハンターは村人やギルドの協力を得て謎を解き明かします。疫病との戦いが今の世相と重なりますね。
『キングダムハーツ』「Olympus Coliseum」「Hero's Fanfare」(下村陽子)
「ヘラクレス」の世界「オリンポス」に登場する闘技場「オリンポスコロシアム」より。オリンピックは古代ギリシャが起源なので、まさにギリシャ神に捧げる戦いの場面であるこの曲ほど相応しいものはないでしょう。
『クロノ・トリガー』「カエルのテーマ」「ロボのテーマ」(光田康典)
中世のステージで出会う「カエル」は魔王に敗れてカエルの姿にされてしまった元騎士。共に戦った友を失い、逃げ延びて隠遁していたものの、クロノ達の出会いによって再び戦う意志を取り戻します。度重なるロックダウンに心折られたアスリートも多く、彼らにも再び勇気を奮って立ち上がって欲しいという応援です。
『エースコンバット』「First Flight」(小林啓樹)
『エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー』より。ブルーインパルスのイメージもあるでしょうが、副題の「ジ・アンサング・ウォー」にも注目。医療崩壊やロックダウンの中で懸命に働く医療従事者達、エッセンシャルワーカー達を「名も無き英雄」に例えることがあります。終わりなき「謳われない戦い」の最前線を想像しました。
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』「Star Light Zone」(DREAMS COME TRUE中村正人)
第5ステージ「STAR LIGHT ZONE」より。都会の夜がモチーフのステージで、ライトがきらめく東京をイメージした選曲です。
『ウイニングイレブン』「eFootball walk-on theme」
日本を代表するスポーツゲーム『ウイニングイレブン』より。IOCは本大会に先駆けてeスポーツ5種目を主体とした「オリンピック・バーチャルシリーズ」を開催しており、これからのオリンピックの形をイメージして「e」を冠したこの曲が選ばれたのかもしれません。
『ファンタシースターユニバース』「Guardians」(小林秀聡)
謎の生命体「SEED」の侵略を受けるグラール太陽系、その脅威から人々を守る為に結成されたのが表題の「ガーディアンズ」です。ストーリーモードの主人公イーサンはSEEDの「浄化」を巡る戦いのため、このガーディアンに参加することになります。