出会い、旅立ち、成長、憧れ、未来―「胡桃のあ」のフットプリント【バーチャルタレント名鑑】

今回紹介するのは、キュートな振る舞いとゴリゴリなFPSプレイングというギャップで魅了してくれる胡桃のあさんです

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出会い、旅立ち、成長、憧れ、未来―「胡桃のあ」のフットプリント【バーチャルタレント名鑑】
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様々なバーチャルタレント事務所が次々に発足し、着実にその裾野を広げ続けているバーチャルタレント(VTuber)シーン。牽引する二大事務所に注目が集まるなかにあって、数年来に渡って活躍を続けるタレントも非常に多い。この連載コラム「バーチャルタレント名鑑」では、様々なカルチャーシーンで奮闘を続けるバーチャルタレント(VTuber)一人一人にスポットライトを当て、これまでの軌跡とこれからの望見について書いていきます。今回紹介するのはキュートな振る舞いとゴリゴリなFPSプレイングというギャップで魅了してくれる胡桃のあさんです。

花芽すみれさん・なずなさん姉妹、一ノ瀬うるはさん、小雀ととさんの4人は、2019年から2020年の春頃まで「Lupinus Virtual Games(以下LVG)」として活動を続けていました。2020年2月1日にはアニメ『0.2秒の物語』が発表され、それに続くように新たなメンバーとしてデビューしたのが、今回紹介する胡桃のあさんです。

2020年3月14日に初配信をすると、彼女は「Iris Black Games」として活動することが発表されました。LVGのライバルチームとして位置していたこのチーム、彼女はその中心人物という恰好でした。

そういった話とは別にして、デビュー前にLVGメンバーやスタッフに配信設定を教えてもらっていたところ、たまたま画面に乗っかっていたおすすめ動画が「一ノ瀬うるはさん」ばかりでご本人にバレてしまうというエピソードがあるほど。実際の彼女は先輩へのリスペクトをしっかりと持ち、その姿を追いかけていたいちリスナーであり、ゲームプレイヤーでした。

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その後に「Iris Black Games」「Cattleya Regina Games」と、後のぶいすぽっ!メンバーらが続々とデビューしていくことになりますが、彼女が見せつけたのは先輩たちをも上回るほどのゲームスキルでした。シューティングゲーム『スプラトゥーン2』では最高ランクのウデマエXのスキルで実力をみせつけ、『Apex Legends』ではデビューから約半年後の2020年9月25日にマスターランクへと昇格。デビューしてからマスターランクへと到達するのは、ぶいすぽっ!メンバーでも初めての出来事となりました。

もちろんこういった目に分かりやすいゲームランクだけではなく、実際のプレイングを見ていた先輩らやストリーマーにもその実力はハッキリと伝わり、デビューしてすぐから様々なカジュアル大会に声がかかっていくことになります。

『スプラトゥーン2』のオンラインイベント『シューティングフェスティバル』では花芽なずなさんや小雀ととさんらと共に出場して優勝を果たし、『Vtuber最協決定戦 APEX LEGENDS』『第1回CRカップ』に出場し上位入賞を果たしました。

バーチャルタレントが出場できる超大型カジュアル大会として有名な両大会ですが、『Vtuber最協決定戦 APEX LEGENDS』『CRカップ』の歴代大会にすべて出場しているバーチャルタレントは、じつは一ノ瀬うるはさんと胡桃のあさんのみ。

個々人の活動状況によって出場する・しないを決める権利はありますが、ここまで数多くの大会に出場しつづけているのは、人気・実力を兼ね備えたストリーマーの証明だと言っても過言ではないでしょう。

azatoi Vtuber

金髪ショートカットで後ろに結った髪型、明るい黄緑の瞳、笑ったときにチラっと見える八重歯や両耳のピアス、どこか小悪魔めいたイメージを与えてくれる衣装に、声色は高めの声でキュート。その外見を意識してか可愛らしく振る舞ってみることも配信中にあるなど、どこか抜け目がなく、どこかズル賢く、どこかあざとい、それは小悪魔な外見にピッタリ。

そんな可愛らしい外見と裏腹に、関西弁を含めた方言がまざった独特の言葉遣いと、オンラインFPSゲームで育ったきたことが伺える口汚い言葉遣いとが混ざり合い、意外なまでに強面でオラつくことが多いことから「ヤンキー」「狂犬」とも言われたこともありました。特にお酒が入ってしまうと、ノリも言葉遣いもより悪くなるのが分かります。

もちろんこれらは配信上で笑いを起こそうと狙ったトークや振る舞い。配信上では「ボク」と自分をよぶボクっ娘、普段は内気で人見知り、自分のことを話すのが苦手な彼女。代わりにせっかちな性格がゆえに周りに気を回しつつ、ところどころでボケッとしてしまい「なんの話だっけ?」とすぐに忘れてしまうこともある茶目っ気もあります。

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そんな彼女もリスナーに向けてしっかりと言葉にして気持ちを伝える場を設けたり、なによりゲームプレイからみても「芯の強さ」を感じさせてくれる場面が多々あります。

先述したように、『Apex Legends』にまつわる大小さまざまなカジュアル大会に引っ張りだことなっていった彼女。2021年に入ってからは女性VTuberとして上位に入る実力と経験値を活かし、チームを指揮するIGL(IN GAME LEADER)役を務めることも増えていきます。

前衛と中衛を行き来しながら攻勢に出つつ、目の前の相手の状況や全体の動きを考えながらチームメイトに指揮をしていくこの役割は、状況によってさまざまなアイディアを発想して指示を飛ばしていくのが主になります。

対面での撃ち合いが得意な彼女にとっては初めてのことも多く、失敗を重ねながらも少しずつ「盤面理解力」「状況把握力」を高めていった彼女の経験は、Crazy Raccoon所属のストリーマーであるCptさん、ホロライブの常闇トワさんとともに「CANDY POP」として出場した『第7回CRカップ』優勝に活かされることになりました。

第1回からCRカップ全大会に出場してきたなかで念願の優勝をつかんだ彼女、持ち味の攻撃力を全面に活かしつつ、チームメイトへのケアを忘れず、折を見て積極的に声をかける彼女の姿には成長の跡が見られました。

第6回CRカップで共闘した韓国人プレイヤーのZederさんと2人きりになったときには、「韓国語で話しかけよう」と思いたち、その場でGoogle翻訳をつかってて拙いながらも声をかけたり、にじさんじKRに所属していたヌン・ボラさんらを中心に韓国人プレイヤーとの関わりも深くなったことで韓国語を少しずつ学び始めました。内気かつ口下手だと自己評価する彼女ですが、徐々に彼女自身の変化としても目に見えるようになっていきました。

1人のFPSプレイヤーとしての成長も強く意識しており、カジュアル大会中にも個人コーチを招くなど自己研鑽に余念がない彼女は、ぶいすぽっ!随一の負けず嫌いでもあります。『第7回CRカップ』優勝後には「うるはちゃんもすみれちゃんもApexでの大会で優勝していたけど、ぼくは優勝できてなかった。ようやく並べることができた」と口にするほど、「友達であり、ライバル」という意識をもって活動しているのが分かります。2022年1月上旬から「ぶいすぽっ!マスター企画」と称し、神成きゅぴさん、紫宮るなさんとともにフルパーティを揃えて挑戦。ここでも彼女はIGL役をこなしながら、3人同時でのマスターランク到達に向けて邁進中です。

キューティーなビジュアルを描いたのは2代目ママであるmagakoさん、モーションはLive2Dデザイナーの白沢飾音さんによるもの。

そんな胡桃のあさんには憧れの人がいます。かつて日本のFPS/サバイバルゲーム界で伝説的な狙撃手として名を馳せたSHAKAさんです。『Alliance of Valiant Arms』『Overwatch』のプロプレイヤーとして、その後はストリーマーとして2010年代を駆け抜けた偉大なる先達に魅了され、彼女はFPSゲームやサバイバルゲームに触れるようになったと語ったことがあります。

2020年12月8日『第2回CRカップ』を目前に控えて3チームで『Among Us』をプレイした際に初めて邂逅し、「初めていっしょにコラボ配信したときは手が震えるほど緊張したし、ちょっと泣いちゃった」というほどファンガールになってしまった彼女ですが、その後にも様々な大会を通じて対戦相手として相まみえつづけ、2021年6月5日~6日に開催されたVALORANT版『CRカップ』では釈迦さんとチームメイトとなり、大会準優勝をもぎ取りました。

「女性がFPSゲーム/サバイバルゲームをするだけで、口汚く罵られることがあった」そのように振り返るストリーマーやバーチャルタレントは少なくありません。この2年間の盛り上がりは、そういったイメージや内情を少しずつ払拭していく時期であったようにも捉えることができます。

ぶいすぽっ!というグループに留まらず、男女関わらず仲良いメンバーらとのコラボ配信も熱心にこなす彼女。2月6日にはテレビ朝日で放送されるeスポーツ情報番組『ReAL eSports News』にもゲスト出演が発表されるなど、今後多くのカジュアル大会や企画にも参加していく彼女。バーチャルタレントシーンを飛び越え、FPSシーンにも彼女のファンが増えていきそうな予感がします。

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《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

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