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2022年1月1日に一ノ瀬うるはさんからスタートし、本連載「バーチャルタレント名鑑」では次世代Virtual eSportsプロジェクト「ぶいすぽっ!」に所属する方々に焦点を当てて筆を取ってきました。
現在所属する14人を時系列順になるべく沿いながら紹介してきました。前回・前々回と紹介した兎咲ミミさん、空澄セナさんが続けざまにデビューしていった2020年7月、このタイミングはぶいすぽっ!というプロジェクトとしても重要な転換点でもあります。
2020年7月7日、それまで「Lupinus Virtual Games」として活動していたプロジェクト名が、次世代Virtual eSportsプロジェクト「ぶいすぽっ!」へ変わったのです。
現在では「ぶいすぽっ!」という枠組に全員が所属しているという恰好ですが、ぶいすぽっ!へと変更したあとも公式サイトには一時期までグループ名を残していたり、たびたびメンバーらやリスナーからも言及があったりなど、彼女ら3人をトリオとするCattleya Regina Gamesを始めとし、Lupinus Virtual Games、Iris Black Gamesというグループの名残や絆は強く残っているとも言えます。
2020年7月5日に兎咲ミミさん、7月19日に空澄セナさんがそれぞれデビューするなか、今回紹介する英リサ(はなぶさ・りさ)さんは2020年8月15日に初配信し、デビューを果たしました。彼女の初配信は、事あるごとに水を飲みつづけ、リスナーからみても明らかに緊張しているのが目に見えた配信でした。
彼女の存在をつよく知らしめることになったのは、仲の良いVTuberやストリーマーらによって繋がった「芸人旅団」によるところが大きいでしょう。
2021年2月2日にアーリーリリースされたサバイバルゲーム『Valheim』を大人数でプレイしたかったリサさんは、ぶいすぽっ!に所属する橘ひなのさんに声をかけ、直前にコラボ配信していたUUUMに所属するYouTuberのカイトさん(トナカイトさん)も誘い、トナカイトさんがバーチャルゴリラさんに声をかけ…と雪だるま式に友人が友人を呼ぶように増え、8名のメンバーが集まることになります。
集まったのはリサさん、胡桃のあさん、橘ひなのさん、バーチャルゴリラさん、白雪レイドさん、ギルさん、kamitoさん、ヘンディーさん。ちょうど約1年前の2021年2月25日、この8人が『Valheim』配信で一堂に会することになりました。
マンガ『HUNTER×HUNTER』に登場する幻影旅団をもじり、「芸人のように面白いメンバー」という意味合いでつけられた「芸人旅団」。ブイアパの小森めとさん、にじさんじKRに所属していたヌン・ボラさん、にじさんじの叶さんもこの輪に加わるなどしていますが、メンバーが固定化されたキッチリとしたグループという以上に、あくまで「友人の輪」として受け取るべきでしょう。
その後に全員が一堂に顔を揃えて配信する機会は少なくなりますが、2人~4人コラボで顔をそろえることが非常に多くなり、8人全員がその後様々なカジュアル大会に出場したり、多くのストリーマー/配信者とコラボ配信するなどして注目を集めていくことになります。
それはまるで「この8人のうち、数人が集まれば必ず面白い配信になる」というファンやリスナーの期待に応えていくかのよう。まさに「芸人旅団」の名にピッタリなエンターテイナーぶりを発揮したともいえます。
特に発起人であるリサさんは、「お嬢様」の身でありながらもぶいすぽっ!でも一・ニを争うほどに活気に溢れたムードを武器にして、「おてんば娘」としてぶいすぽっ!ファンのみならず、その他リスナーへと徐々に知られていくようになります。デビュー時にガチガチになっていた姿からは、見違えるような成長でしょう。
常にだれかに話しかけ、ボケ・ツッコミの掛け合いを思い切ってこなし、少々のデリカシーない言葉でも笑って返していくノリの良さ。「恥じらいがないのか?」と思えるほどに相手を振り回していくトークとワードチョイス。何より声がクリアでよく通るので存在感がありつつ、笑ったときには濁音が常についたような笑い方でリスナーやコラボ相手をも驚かしてしまうことも。
多人数が入り乱れるコラボ配信では、ボケにボケを重ねていく天然っぽさなどで相手を困らしつつも、言葉遣いやゲームプレイに気を遣い、コラボ相手の些細なことにも敏感に反応する瞬間がいくつもあります。
それほどにトークや相手に集中力を割きながらも、初見のゲームでもあまりミスなく進められる勘の良さを持ち合わせているのがミソでしょう。「お嬢様」な風貌とはおもえない、しかし強烈なインパクトを残すタレントとして受け入れられていきます。
特にヘンディーさんとのコラボ配信は、ボケとツッコミを互いにこなしながらゲームプレイしていくという流れがしっかりとしており、2~3時間どころか6時間を超えそうなほどの生配信でも笑いが絶えない内容となっています。
雑談配信を覗いてみると、コラボ配信でのテンションぶりからはグッと落ち着いたトーンでありつつ、集まったリスナーのコメントを読みながら談笑していきます。
時にリスナーに「なにそれ知らない、教えてよ!」と詳しく聞きだしたり、時に下品な言葉遣いでリスナーから注意されるなど、どこかフワフワと浮つきがちな彼女を見ているファンとの交流で垣間見えるのは、VTuber・ストリーマー同士での配信で見せる「英リサ」とは違った姿です。
「FPSは得意というわけじゃないんですけど、強いてどんなゲームが得意かと言われれば、『お絵描きの森』ですね。」と自身の初配信で語ったように、彼女はイラストが得意。
とある配信中にリスナーから「明日髪切るからいい感じのかっこいい男性の髪型教えてくれ」「絵描きながら似合いそうな髪型考えよう」というコメントを拾ったところから始まり、「これから英美容室、開店するから!」と男性の髪型について話し始め、ぶいすぽっ!メンバーの髪型を好みの髪型に次々と描きなおしていく配信へと発展。ペンタブを使ってササっと描いていき、そのセンスの良さや画力も相まって多くのファンの想像を引き立てる配信へとなりました。
「これは100回くらい言ってるけど、ゲーマー女子がこれだけ集まって、デカイ揉め事がひとつも起こらないのはスゴイと思う」
このようにリサさんが語るように、ぶいすぽっ!メンバー同士での仲の良さは配信を見ていても伝わってきます。ぶいすぽっ!一部のメンバーは配信外でも外で遊ぶこともあり、英さんは特に1日違いでデビューした橘ひなのさんとはもっとも仲が良く、その親密さは配信内でも伝わってきます。
彼女ら2人の関係性をまとめるのは非常に難しいですが、橘ひなのさんがボカロプロデューサーのみきとPが手掛けた名曲「少女レイ」をカバーした際には、自身とリサさんを描かれた絵を大々的につかい、英リサさんに向けてSpecial Thanksを捧げています。
その明るい性格や周りを巻き込んでいけるキャラクターを持った彼女、周りの人間に大きな影響を与えてきたのは間違いないでしょう。先に述べた芸人旅団のメンバーは、2021年中頃からスタートしたぶいすぽっ!公式番組にも出演を果たすようになり、もはやファンにとっては「いつメン」「準レギュラー」といってもいい存在として受け入れられています。
こういった変化・進展を生み出せたのは、英リサさんをきっかけにした繋がりであり、友人という繋がりが今後にも続いていく功績へとなったと言えるでしょう。先日にはYouTubeチャンネル登録者数が13万人を超えましたが、その存在感は数字では表せないともいえます。2022年、彼女がどんな配信を見せてくれるのか、目が離せなくなりそうです。
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