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「ねぇ、ビュウ…。大人になるって、哀しいことなの……」
スクウェア(現 スクウェア・エニックス)が1996年にスーパーファミコンで発売した『バハムート ラグーン』は、空に浮かぶ多くのラグーン(島)で人々が暮らしを営む世界・オレルスを舞台に描かれる戦記モノファンタジーです。
今回紹介するヒロインのヨヨは、聖国カーナの王女。同国戦竜隊の隊長である主人公ビュウとは幼なじみ以上恋人未満という雰囲気の甘ずっぱい関係で、周囲からも温かい目で見守られています。
しかし、グランベロス帝国の武力侵攻で平和な日常は一変。カーナは陥落し、ヨヨは拉致されてしまいます。ビュウたちは体勢を立て直して反帝国軍を結成。ヨヨの救出を目指してさらなる戦いに身を投じます。
ヨヨは帝国で幽閉されて失意と孤独感にまみれた日々を過ごしますが、そんな彼女の一抹の救いとなったのが、不器用ながら親身に接してくれる若き将軍・パルパレオスです。
そうして月日が流れるうち、彼女はいつしかビュウよりパルパレオスに心惹かれるようになっていくのでした。
パルパレオスが騎乗する竜・レンダーバッフェでヨヨが彼とタンデムした際のセリフ「サラマンダー(※ビュウの相棒である竜の名前)より、ずっとはやい!!」は、本作を遊んだゲーム少年全員の心をかなり深くエグったのではないでしょうか。
その後、物語が進むとビュウたちはヨヨの救出に成功しますが、紆余曲折あってパルパレオスも行動を共にすることになり、ビュウ(とプレイヤー)は2人のイチャイチャ(婉曲的表現)をこれでもかと見せつけられてしまいます。
その挙句に彼女の口から発せられるのが、冒頭のセリフ「大人になるって哀しいことなの…」です。昨今の表現でいうならNTR(ネトラレ)というのが近いでしょうか? もっとも、ビュウとヨヨは恋人同士というよりその一歩手前という感じもあり、この表現も正確ではないかもしれませんが…。
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そんなヨヨは、本作を知るゲーマーたちから「スクウェア(作品)三大悪女」の一角に数えられることもあるのですが、そう言いたくなる気持ちも分からないではありません。
ただ、筆者個人はヨヨにそこまでの悪感情はありません。その理由は二つあり、一つは美樹本晴彦氏のイラストにつられて買ったノベライズが秀逸で、ヨヨの心情や自責の念が丁寧に描かれていたこと。
そしてもう一つは、ゲーム中でのフレデリカの存在です。フレデリカはビュウたち反帝国軍に所属するプリーストの1人で、ビュウに思いを寄せていると取れる発言や態度をチラリチラリと見せてくれます。ささくれだった心が救われる…これがプリーストの癒しの力…!
体が弱くて薬を手放せないのはしょうがないとしても、薬を飲んでいるのかクスリをキメているのかよく分からない発言も見られるのは気にかかりますが、些細なことでしょう。
ビュウは仲間たちのみならず竜からも深く信頼される青年で、エンディングでは神竜バハムートにも認められオレルスの平和を守る存在となっていきます。平和になった世界でも多忙な日々を送るのかもしれませんが、たまの余暇にはフレデリカとのんびり過ごしてくれていたらいいな、と願うばかりです。
シミュレーションRPG『バハムート ラグーン』はWii U向けバーチャルコンソールで配信中です。同サービスは2023年3月下旬頃に終了予定ですので、なんらかの思い出がある方は購入を検討されてみてはいかがでしょうか。
筆者はこのゲームの「シリアスにギャグをやっている」のか、「ギャグでシリアスをやっている」のかの判別に困るほどに濃いキャラクターたちがどうにも忘れられません…。