■本作の2部構成は、かつての生徒同士が刃を向け合う過酷な展開に
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修道院での日常が第1部ならば、第2部には何が訪れるのか。斬新な幕開けを迎えたとはいえ本作も『FE』なので、やはり戦争が始まります。ネタバレ回避のため、ストーリーや詳しい経緯には触れませんが、他のシリーズ作に負けないほど過酷で厳しい状況です。
2部構成という点だけ見ると、『FE』には数多くの2部作があります。初代『暗黒竜と光の剣』は後に出た『紋章の謎』で2部構成になり、そのリメイク版も2部構成を引き継ぎました。『封印の剣』の過去を描いた『烈火の剣』も2部構成と言えますし、『蒼炎の軌跡』と『暁の女神』はハードの壁を越えて2部構成を展開しました。
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ですが、こうした2部構成と本作が異なる点のひとつは、同じ学び舎で育った者同士が刃を交えること。親しかった個々人が陣営を違えて対立することはありましたが、クラス単位の人数がそれぞれ対立する規模は、本作が初となります。
かつて同じ場所で短くない時間を過ごし、言葉を交わした思い出を持つ者同士が、戦場で対峙するという理不尽。好感や尊敬をも塗りつぶす「戦争」という行為の非情さが、これ以上ないほど明確な形で描かれています。
非情な2部作といえば、親世代から子世代に受け継がれる『聖戦の系譜』もかなりのインパクトがありましたが、方向性がまた異なるため、『FE 風花雪月』の厳しさも決して負けておりません。
■どのルートを選んでも、先に待つのは凄惨な戦い……!
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学び舎の教師として始まる『FE 風花雪月』は、最初に担当する学級を選びます。出身によって分けられた「黒鷲の学級(アドラークラッセ)」、「青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)」、「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」の3つから選択可能。
この選択は、導く生徒=第2部で共に戦う仲間を誰にするか、といった意味もありますが、「展開する物語の変化」も意味します。つまり、選んだ学級によって物語が変わり、たどり着く結末も異なります。いわゆる「ルート分岐」が、本作には用意されているのです。
『FE』シリーズのルート分岐といえば、『if』を思い出す方が多いでしょう。あちらも、物語やエンディングが異なるルートが複数ありました。そのため、ルート分岐そのものは本作独自の要素とは言えません。
しかしその内容について、『if』とは大きく異なる点があります。それは、協力し合うルートがないこと。『if』の場合、白夜王国側で戦うか、暗夜王国側で戦うかといった選択のほかに、透魔王国と戦うルートがDLCで追加(限定版には内包)されました。
透魔王国との戦いでは、暗夜と白夜、それぞれの陣営にいた面々が仲間に加わり、同じ目的のために手を取り合います。他のルートでは戦場で戦うしかなかった相手同士が力を合わせる展開は、プレイヤーにとって胸が熱くなるばかり。
一方、『FE 風花雪月』のルート分岐はどれも、それぞれの道を歩く姿を描くもの。どれを選んでも、帝国、王国、諸侯同盟の戦いは避けられません。プレイヤーの選択次第で仲間になる相手と、どうあがいても戦わなければなわない現実。この厳しさを突きつける点も、『FE 風花雪月』の特徴と言えるでしょう。
ちなみに、本作でも新たなルートはDLCで登場しましたが、『if』のDLCとは方向性がやはり異なっています。