
赤い悪魔は白骨死体量産機!
1985年にアーケードゲームが稼働したカプコンの名作アクション『魔界村』シリーズに登場するレッドアリーマーは、いわゆるボス敵ではありません。ステージの道中に登場し、クリアまでに何度も戦うことになる敵のうちの一体です。
しかし、目を引く全身が赤い体と、高い機動力から放たれる急降下攻撃、1発や2発では倒せない高い耐久力は、「厄介な中ボス」というにはふさわしいものだったともいえます。少なくとも、筆者にとってはそういう存在でした。
レッドアリーマーは、主人公のアーサーがある程度まで接近したり、攻撃をしかけたりするまでは、地面にどっしりとあぐらをかいて座っており、完全に強者のたたずまい。「コイツはただものじゃないな…」と思わせるオーラに満ちています。


そして攻撃をしかけると空高く飛翔。まるで獲物を狙う鷹のように、アーサーを大きく上回る機動力で上空から襲いかかってきます。
その体当たりを避けるには、常に動き続けるしかありません。そして急降下攻撃をなんとかかわしても、まだ攻撃のチャンスにはなりません。レッドアリーマーとの距離感次第では、しゃがんで上半身の当たり判定を低くしないと弧を描いて再び空へと戻るアリーマーの体当たりに引っかかってしまったりします。なんとイヤらしい……。

攻略法としては、「遠ざかるようにバックジャンプしつつ、空中でアリーマーの方を向いて急降下狙いの攻撃を出しておく」、「アリーマーが着地したら攻撃をせずにらみ合いを続け、業を煮やして走って突進してきたら攻撃を連打して倒す」などがありますが、足場が平たんではなかったり、他の敵と同時に襲いかかってきたりと、常に苦戦を強いられます。

全国のアーサーたちは、何度も何度もこの赤い悪魔によって白骨死体にさせられたことでしょう。もちろん、筆者もその一人です。
人気が出すぎてスピンオフ作品の主人公に!
レッドアリーマーはその存在感や強さで一気にキャラクターが立ち、1990年にはゲームボーイの『レッドアリーマー 魔界村外伝』でついに主人公となりました。そして1992年にはファミコンに進出して『レッドアリーマーII』が、そして1994年にはスーパーファミコンで『デモンズブレイゾン 魔界村 紋章編』がリリースされました。

『デモンズブレイゾン』はSFCのスペックを活かして頭身がやや高めになっており、本家『魔界村』シリーズよりもダークさが前面に押し出されていたのが印象的です。コウモリと悪魔を彷彿とさせるタイトル画面の演出がかっこよく、そういえばカプコンはこの年に格闘ゲームの『ヴァンパイア』もリリースしていたなぁ…としみじみします。今あらためて見ると、『ヴァンパイア』の吸血鬼・デミトリにも通ずるものがあるようにも思えます。

そんなレッドアリーマーは、2021年に発売されたシリーズ最新作『帰ってきた 魔界村』にももちろん登場。令和の世となっても、彼(?)に苦しめられる日々はまだまだ続きそうです。
筆者は、昔初めてレッドアリーマーを見たときに、漠然と「なにかの神話や伝説に出てくる悪魔がモチーフなのかな?」と思っていたのですが、その名前の由来は、なんと開発スタッフの1人だった「有馬」氏なのだとか。オリジナルでここまで長年愛される悪魔を作り上げるスタッフの手腕に脱帽ですね(『超魔界村』でまた白骨死体になりながら)。