20戦に1回!?『スプラトゥーン3』が抱えるトリカラバトルの難しい問題…

『スプラトゥーン3』の目玉要素の1つ、フェスで遊べるトリカラバトル!今まで1対1だったバトルが、なんと3チーム入り乱れて戦います。しかし、せっかくの新システムにもかかわらず不満の声が多いようです。いったい、何が起こっているのでしょうか?

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20戦に1回!?『スプラトゥーン3』が抱えるトリカラバトルの難しい問題…
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先日、発売後初となるフェスが開催されて盛り上がった『スプラトゥーン3』。任天堂の発表によると、発売日から3日間の国内販売本数が345万本を突破したということで、その人気ぶりがうかがえます。そんな絶好調の本作ですが、1つ大きな問題を抱えています。

それが、フェスで発生するトリカラバトルです。筆者も体験してみて、これはなかなか難しいことをしようとしているな、という印象を受けました。一体『スプラトゥーン3』で何が起きているのか、解説してみたいと思います。そもそもフェスやトリカラバトルが良くわからないという人は、先にこちらの記事をご覧ください。

ヨビ祭りでホラガイ?マトイってなに?『スプラトゥーン3』はフェスでも新要素が盛りだくさん!(インサイド)

■中間発表1位が受ける不利なバトル

『スプラトゥーン』シリーズ初となる、3チーム入り乱れてトリカラバトル。問題となっているのは中央に配置される中間発表1位の不利な状況です。2位と3位のチームから挟撃されるうえに、スーパーシグナルを1度でも確保されれば、マトイの効果で一気に不利になってしまいます。

発売前に開催された『スプラトゥーン3 前夜祭』の時点で、中間発表1位だったチームから大きな不満が漏れていました。いくら途中までポイントが優勢だったといっても、後半毎回不利な状況でゲームをさせられたのでは、やっぱり楽しくないという人もたくさんいるでしょう。

■発売後はトリカラバトルができなくて不満の声!?

ユーザーの不満を受けて、運営は緊急措置をとることになります。トリカラバトルは、2位や3位のチームが「トリカラアタック」モードを選択する時に発生するという仕組みになっていますが、実は必ず遊べるわけではありません。マッチングによって、通常のナワバリバトルになることもあります。そこで『スプラトゥーン3』発売後の初フェスでは、トリカラバトルの発生率を下げる調整が行われました。根本的なバランス調整には時間がかかるため、暫定の措置ではないかと思われます。

しかし、今度はこのせいで別の問題が発生します。今回のフェスは 「無人島に持っていくなら? 道具 vs 食料 vs ヒマつぶし」というお題でしたが、「道具」陣営に多くの人が集まりました。フェスの結果発表によると、食料とヒマつぶしがそれぞれ約20%に対して道具が約60%。「道具」が他陣営の3倍も票を集めてしまったのです。

さらに言えば中間発表1位はヒマつぶし陣営だったため、道具陣営の人数が圧倒的に多いにもかかわらず1試合のトリカラバトルにマッチングされる人数は、道具陣営2人に対してヒマつぶし陣営は倍の4人になります。こうなれば、トリカラバトルが成立しにくくなることは想像に難くありません。

その上、トリカラバトルの発生率そのものを下げる調整もしているのです。フェスの期間中、トリカラバトルが遊べないという不満が多数あがります。筆者は「道具」陣営で参加していましたが、実際20回に1度くらいしかトリカラバトルは発生しませんでした。

トリカラバトルは不評だったんだからやれなくてもいいじゃないか、と思うかもしれませんが、それは1位陣営の話です。2位と3位陣営は当然、トリカラバトルをやりたい人もいるでしょう。なんなら、前回中央で挟み撃ちにされて酷い目に遭った人は「こんにゃろう今度はこっちがやる番だ」と思っていても無理はありません。そうでなくても事情を知らなければ、目玉のはずの新要素が全然遊べないというだけで不満に感じる人はいるでしょう。

■細かな問題も山積み

トリカラバトルは他にも、中間発表の差が僅かな場合は後半の不利が非常に重く、前半に頑張る意味が失われてしまう問題が指摘されています。またトリカラバトルと普通のナワバリバトルのどちらが発生するか分からず、この2つはルールもステージも違うため、ブキやギアの構成を決めにくいといった不満も出ています。

ちなみにフェスでは、自分の実力を試すことができる「チャレンジ」とフレンドとも一緒に遊ぶことができる気軽な「オープン」の2つの参加方法がありまして、トリカラバトルは「チャレンジ」では発生しないことになっています。このため、トリカラバトルが嫌な人は「チャレンジ」を選んで回避する方法もあります。

ただし、その場合もフレンドと一緒に遊べないという不満を持つ人は出るでしょうし、1位陣営の多くがチャレンジに逃げればトリカラバトルの発生率はますます下がるかもしれません。そもそも、目玉の新要素が嫌われて回避されること自体が開発運営からすれば由々しき問題であるはずです。

■運営は難しい調整をどう解決するのか

トリカラバトルの発生率が低く試行回数が多くないため確かなことは言えませんが、筆者の体感では、発売後のトリカラバトルは、前夜祭の時よりは1位の不利がマイルドだったような気がします。というのも、前夜祭ではステージが狭く、いくら倒されても2位と3位のチームがすぐ中央に詰めてこれたのが、発売後初フェスでは縦に長いステージで2位と3位チームの足並みが揃わないと、1位チームが各個撃破しやすくなる場面が増えた印象です。

しかしこれは、トリカラバトルの調整の難しさを物語ってもいます。なぜなら、ステージによって中央の不利の度合いが変わってしまうことを示唆しているからです。通常ならステージに対する要望や不満はあったとしても、敵味方どちらも条件は同じだという前提があります。しかしトリカラバトルでは、1位だけが一方的に不利で、しかもそれが酷かったり、そうでもなかったりということがステージごとに起こるわけです。

つまり、例えばマトイが強いから弱体化すればいいという単純な話ではなく、各マップごとに繊細な調整が必要とされる可能性が高いのです。しかも、そのバランスは新しいブキの追加や、プレイヤーのゲームへの理解が進むことでも変化していくような代物です。なので筆者は冒頭申し上げた通り、かなり難しいことに挑戦しているなという印象を受けました。

勘違いしてほしくないのは『スプラトゥーン3』自体が面白くない、という話ではありません。トリカラバトルに不満は多く出ているものの、それでゲーム全体が否定されることはなく、発売から毎日バトルにサーモンラン、ヒーローモードと、たくさんの人が夢中でインクを飛ばしています。

だからこそ、トリカラバトルが楽しく遊べるような調整がされることを望む声も尽きません。この難しい非対称の対戦のバランスを何とかとっていくのか。あるいは、中間発表で1位だったチームだけがずっと不利を背負い続ける形を改めて、中央で戦うチームがある程度交代されるような形にするのか。はたまた、まったく別の解決方法が模索されるのか。開発運営チームの手腕が問われることになりそうです。


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《田下広夢》

毎週金曜ゲームイベントしてます 田下広夢

1984年5月、埼玉県生まれ。2006年からゲームを専門とするライターに。毎週金曜、ゲームを持ち寄って遊ぶイベント「ゲームルーム」開催、2022年で10周年を迎える。メギド72攻略ブログ「メギド部!」運営。イシイジロウ氏主催のゲームクリエイター人狼会所属。たまにゲーム業界解説でテレビやラジオなどに出演したり、YouTubeなどの人狼ゲーム配信にも登場。2021年からインサイドで執筆。

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