グラフィックは大幅進化、コンセプトは普遍―リメイク版『スーパーマリオRPG』は、時を超えて子供たちを魅了する!

今から30年後の子供たちも、もしかしたら時代に即してグラフィックが進化した『スーパーマリオRPG』をプレイしているかも。

ゲーム Nintendo Switch
グラフィックは大幅進化、コンセプトは普遍―リメイク版『スーパーマリオRPG』は、時を超えて子供たちを魅了する!
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2023年11月17日に発売されたニンテンドースイッチ向けタイトル『スーパーマリオRPG』。本作は、1996年3月にスーパーファミコンソフトとして発売された同名タイトルのリメイク版です。

「剣と鎧と恐ろしいモンスター」がRPGの王道だった時代、「マリオ」シリーズの雰囲気そのままにRPGとして作品を仕上げたことには大きな意義がありました。それは「暴力表現が殆どないRPGを確立した」という点です。流血や生々しい怪我の描写も一切ないRPGは、ジャンルに対して大きなインパクトを与えました。

今回はそんな名作のスーファミ版とリメイク版を比較し、「具体的にどう変わったのか」を観察していきたいと思います。

◆スーファミ版のグラフィックは、“時代の最先端”だった!

数年前に筆者が何となく購入した『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』。この当時はまだインサイドで執筆してはいませんでしたが、まさかこんなところで役に立つとは……。

このミニスーファミには、オリジナルとなるスーファミ版の『スーパーマリオRPG』が収録されています。これをキャプチャーボードにつなぎ、さらにキャプボからゲーミングノートPCにつないでプレイ画面を撮影するという手段を用いました。ちゃんと撮影できてよかった!

さて『スーパーマリオRPG』ではマリオたちの前に、武器世界の王カジオーが立ちはだかります。なお今回はクッパもマリオ側について一緒に戦ってくれます。クッパ城はカジオーに乗っ取られてしまったので、「敵の敵は味方」という公式が成立したわけですね。

そんな『スーパーマリオRPG』、リメイク版はやはりグラフィックが進化しています。現代の技術でリメイクされたから当たり前なのですが、シナリオ部分が別個のアニメーションになっているあたりはついつい感動してしまいます!

ただしそれは、スーファミ版のグラフィックが決してチープということではありません。むしろスーファミ版発売当時は「スーファミでこれだけの3Dグラフィックができるのか!?」と誰しもが驚愕したほどでした。3軸移動がちゃんと再現され、空中に浮かぶブロックと地上のマリオとの位置関係も矛盾なく合っています。

筆者は今回リメイク版をプレイしたからこそ、改めてオリジナルであったスーファミ版の先進性が理解できたような気がします。

◆ボタン操作を現代風に

リメイク版には「オートセーブ」という現代ならではの機能があります。このあたりはシナリオの最序盤でキノピオが、

「なんと こんかいのぼうけんはマップを出入りすると『オートセーブ』されるんです!」

と説明してくれます。一方、スーファミ版にあったセーブブロックはリメイク版でも健在。

「むかしからある コレの上にのって、むかしながらのセーブもできます」

などと、キノピオがメタ発言する場面も。む、昔ながらってアンタ……。

操作方法も、リメイク版は若干ながら現代チックになっています。

例えば戦闘中の操作はAボタンで攻撃、Yボタンでスペシャル技。スーファミ版はYボタンを1回押してスペシャル技の種類を選択、そしてそれを決定するためにもう一度Yボタンを押す必要があります。しかし現代のボタン操作は「Aで決定、Bでキャンセル」という概念が根付いているため、リメイク版ではスペシャル技の種類を決定するためにAボタンを押します。

ただし、リメイク版はこの操作方法を自分の好きなものへ切り替えることができます。

◆「変わらない部分」の大事さ

そうした進化を取り込みつつも、基本的なゲーム進行やシナリオは新旧で大きな違いはありません。「変わった部分」だけでなく「変わらない部分」にも注目する必要があります。

人々の価値観というのは10年もあれば大きく変わってしまうもの。あれだけ人気のあったゲームが見向きもされなくなり、逆に「クソゲー」と言われてきたゲームが再評価されてしまったということもあります。しかし『スーパーマリオRPG』のコンセプトやシナリオは、現代の子供たちにも難なく受け入れられる盤石の普遍性があります。

これはすごいことだ!

1996年3月、筆者は小学5年生でした。来月は6年生へ進級するという頃合いです。その当時は法務省の管理する官舎に住んでいて(父が刑務官だったため)、同じ棟には筆者と同い年の男の子が3人いました。どの家庭も親父は絶対に法務省関連の国家公務員ですから、官舎の中で貧富の格差はありません(みんな貧乏でした!)。その中で筆者を含めた友達全員がファミコンとスーパーファミコンを持っていたというのは、任天堂の影響力を測るための絶好のエピソードです。

そんな男の子が身体だけ成長して、フリーライターというカタギとはかけ離れた道に走ってゲームメディアで記事を書く段になった時、出会ったのがリメイク版『スーパーマリオRPG』でした。

あの頃とはだいぶ変わっているけど、実はまったく変わっていないゲーム。

今から30年後の子供たちも、もしかしたら時代に即してグラフィックが進化した『スーパーマリオRPG』をプレイしているかもしれません。


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《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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