『聖剣伝説 VISIONS of MANA』に覚えた“違和感”から見えた「異世界ファンタジー」とは─美しい情景にある相違と、そこから生まれる興味【プレイレポ】

『聖剣伝説 VISIONS of MANA』の魅力や本質に向き合い、筆者なりの印象と言葉でまとめてみました。これも視点のひとつだと感じてもらえれば幸いです。

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『聖剣伝説 VISIONS of MANA』に覚えた“違和感”から見えた「異世界ファンタジー」とは─美しい情景にある相違と、そこから生まれる興味【プレイレポ】
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』に覚えた“違和感”から見えた「異世界ファンタジー」とは─美しい情景にある相違と、そこから生まれる興味【プレイレポ】 全 18 枚 拡大写真

1991年に発売された1作目以降、ナンバリングや派生作を重ね、今日まで愛され続けてきた『聖剣伝説』シリーズ。しかし近年は、リメイクやスマホ向けの展開が続き、家庭用ゲーム機向けの新作はしばらく音沙汰がありませんでした。

ですが2024年8月29日に、ファン待望の『聖剣伝説 VISIONS of MANA』が満を持して登場。久々の完全新作に、大きな関心と注目が集まります。筆者個人も『聖剣伝説』には少なからず思い入れがあり、『聖剣伝説 VISIONS of MANA』に期待を寄せていました。

この『聖剣伝説 VISIONS of MANA』を実際にプレイし、本作に対してどのような手ごたえを覚えたのか。その体験と実感を赤裸々にお伝えします。なお、未プレイの人を考慮し、物語的なネタバレは極力控えています。

■心地よいアクションと、組み合わせが楽しいバトル

ゲームシステムについては、発売前から情報が出ており、また体験版を通して直接触れた人も少なくないでしょう。そのため今回はゲームシステムの詳しい解説は省きますが、プレイ感は手軽でレスポンスも良く、全体的に良好なアクション性でした。

スピーディで軽やかな分、敵を攻撃した時の「重み」や「手応え」は控えめですが、ゲームのテンポや操作キャラを切り替えて戦うバトルシステムを考慮すると、軽くて軽快という現在のバランスもひとつの正解なのでしょう。

体験版だけプレイし、製品版を遊んでいない人もいると思いますが、あの体験版で味わえる『聖剣伝説 VISIONS of MANA』のバトルに関する醍醐味は、ほんの一部でした。製品版を通して遊んだ今、あのパートだけで判断してしまうのは非常にもったいないと考えています。

本作のバトルは、“組み合わせの楽しさ”が大きく占めていると個人的に感じました。クラスごとの特性とアビリティシード(特殊な効果を得られる装備)の組み合わせが戦力に大きく影響するので、この模索がやり甲斐と手応えに繋がります。

また、アビリティシードの装備数や、クラスチェンジの幅を広げるには、ゲームの進行が必須です。最序盤のアビリティシード装備数は2枠なので、この状態では正直物足りず、効果の実感も薄め。この枠が、4枠、6枠と増えていくと、同種効果の重ね装備や、状態異常を抑え込むといった組み合わせが目に見えて効果を発揮し、バトルの楽しさを後押ししてくれます。

しかも、クラスチェンジ×アビリティシードに加え、パーティ編成の組み合わせも考慮すると、その選択肢は一気に広がります。多彩な組み合わせの中から最適解を目指すもよし、自分が好きな戦い方を極めるもよし。クリティカルに特化した組み合わせを模索するのも、個人的に楽しい遊び方のひとつでした。

「かつてない、独特で斬新なバトルシステム」というほど壮大なものはありませんが(そして、そんなシステムは滅多にありませんが)、クラスチェンジとアビリティシードで単体の戦力を組み上げ、3人パーティの編成で噛み合わせを考える楽しさは、選択肢の多さもあって終盤まで冒険の醍醐味を感じさせてくれる広がりでした。



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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