『勝利の女神:NIKKE』×『Stellar Blade』コラボは“実現しない可能性”もあった!?ユ・ヒョンソク氏「えっ、あるんだ」と吃驚【インタビュー】

『勝利の女神:NIKKE』×『Stellar Blade』の双方向コラボが、6月12日にスタートします。その幕開けに備え、キム・ヒョンテ氏、ユ・ヒョンソク氏、YOSP代表の吉田修平氏へのインタビューをご覧ください。

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『勝利の女神:NIKKE』×『Stellar Blade』コラボは“実現しない可能性”もあった!?ユ・ヒョンソク氏「えっ、あるんだ」と吃驚【インタビュー】
『勝利の女神:NIKKE』×『Stellar Blade』コラボは“実現しない可能性”もあった!?ユ・ヒョンソク氏「えっ、あるんだ」と吃驚【インタビュー】 全 13 枚 拡大写真

■吉田修平氏、『Stellar Blade』初体験に「これはすごい」と即答

──吉田さんは、今回のイベントに参加されてみていかがでしたか?

吉田氏:私は『デスチャ』以来、SHIFT UPさんのファンなので、今回お声がけいただいた際は、「ぜひやらせてください」と即答しました。ただ、その後テンセントさんからスケジュールを見せてもらったところ、丸1日かかる内容だと分かって、「これは大変だ」と思いましたが、それでも「ぜひやらせてください」と(笑)。

実際、とても楽しかったです。いろいろなお話が聞けましたし。また、ヨコオさんと斎藤さんは、相変わらずふざけた回答を交えつつも、真面目で深い話もされていて、とても充実した時間でした。

──吉田さんは、実際にSHIFT UPにも伺っていたとのことですが、スタジオの印象はどのようなものだったかお聞かせください。

吉田氏:最初にSHIFT UPさんを訪れたのは、確かコロナ前の2019年だったと思います。実はその前から、私はプレイヤーとして『デスティニーチャイルド』を遊んでいて、キムさんの描くキャラクターがとても可愛く、Live2Dの表現も素晴らしかったので、個人的にずっと楽しんでいました。

そんな折、SIEのメンバーから「今度韓国へ行くから一緒に行かないか」と声をかけられて、同行したのがきっかけです。正直、何を見せてもらえるのかも分からないまま行ったのですが、そこで『Project EVE』(後の『Stellar Blade』)のプロトタイプを見せてもらいました。実際にプレイもできて、「これはすごい!」と素直に感動しました。

同行していた同僚も含め、当時から「韓国には開発力のあるスタジオが多いけれど、MMORPGやモバイル中心なので、ぜひコンソールゲームを作ってほしい」と話していました。そんな中で、いきなり『Stellar Blade』のようなタイトルが出てきたのは驚きでした。

キムさんに話を聞いたところ、「普段はモバイルゲームを作っているけれど、子供のころからPlayStationで遊んでいて、いつかはPlayStationのゲームを作るのが夢だった」と言っていて、それを聞いて本当に感動しました。

プロトタイプの時点でもアクションの手応えがしっかりしていて、遊んでいてとても楽しかったんです。実は私を同行させたメンバーは、PlayStation内部でSHIFT UPさんと仕事がしたいと考えていて、会社のマネジメントにPRする時に「吉田もすごくいいと言っていた」と言わせたかったようです(笑)。

オフィスも印象的で、最初に案内されたフロアはとても綺麗で、バーまであったんです(笑)。そして『Stellar Blade』の敵キャラの原型がズラッと並んでいて、それがすごく魅力的でした。映画『グエムル』の怪獣デザインを担当された方が、ひとつひとつ手作りでモデルを作り、それをスキャンしてゲームに落とし込んでいたんです。工房のような雰囲気で、まさにアトリエという感じでした。

一方で、別のフロアでは開発者がぎっしり詰まっていて、ものすごい熱気に包まれていました。若い開発者も多く、情熱的な雰囲気に圧倒されましたね。

──吉田さんは『Stellar Blade』の開発を最も初期から見守って来られたと伺っています。結果的にこの作品は大成功を収めたわけですが、その理由はなんだと思われますか?

吉田氏:いろいろな魅力がありますが、私が一番感じたのは「バトルの手触り」ですね。プレイヤーが操作に慣れていくことで乗り越えられるような難易度設計や、パリィのタイミングも、色のフラッシュで感覚的に覚えられるようになっていて、遊びやすく、それでいて奥深いバトルシステムに仕上がっていました。

ただ、その完成度に至るために、SHIFT UPさんが自分たちだけで作るのではなく、SIEのプロデューサーやマーケティングチームと密に連携し、フィードバックのキャッチボールを繰り返す道を選んだ結果なのかなと私は思っています。あの密なコラボレーションこそが、成功の原動力だったのかなと。

──吉田さんは、SHIFT UPさんが開発した『NIKKE』と『Stellar Blade』についてどのような印象をお持ちですか?

吉田氏:まず『NIKKE』については、日本でのローンチ時のマーケティング展開がとにかく印象的でした。街全体をジャックしたかのようなスケールで、新宿の巨大ビジョンでも映像を見かけました。

ゲームとしては、「キャラクターの背中を見せる」というのがすごくユニークで、SHIFT UPさんならではのゲームデザインだなと感じました。あれを見た瞬間、「このゲーム、勝ったな」と思いました(笑)。

『Stellar Blade』は、私自身が大好きなジャンルである難易度高めの三人称視点アクションゲームです。プロトタイプの頃からプレイさせていただいていて、当初は非常に難しかったのですが、テストを重ねてパリィも入りやすくなるなど、どんどん洗練されていきました。

発売直前にもパッチでレスポンスが改善されていて、そういった改善に取り組む姿勢も素晴らしいと思います。完成したゲームは非常に満足度の高い作品に仕上がっていました。

──では最後に、吉田さんとSIEについて、キムさんはどのような印象を感じておられますか?

キム氏:まず、この場をお借りして、改めてお礼を述べさせてください。この取材の前に行われた映像の撮影にご協力いただいた上に、このメディア取材にまで一緒に出ていただいている吉田修平さんに、改めて感謝の言葉をお伝えしたいと思います。本当にありがとうございます。

吉田さんにこの場へ来ていただいたことは、非常に大きな意味があると思っています。この『Stellar Blade』を発掘し、世界中に届けられるきっかけを作ってくださったのが、ほかならぬ吉田さんでした。『Stellar Blade』のPC版バージョンや『NIKKE』とのコラボコンテンツについても本当に応援していただいていており、“『Stellar Blade』の母親”のような存在だと思います。

皆さんご存知のように、吉田さんはPlayStationの誕生からPS4まで関わってこられました。PlayStationの誕生と、コンソールゲームの全盛期を作られた人で、それについてひとりのゲーマーとしても感謝の気持ちでいっぱいです。

PS3からPS4にかけての『アンチャーテッド』や『ゴッド・オブ・ウォー』などのタイトルを発掘していただいて、ファーストパーティとしてもゲームを支えてくださったおかげで、私は豊かなゲーム体験ができたと思っています。ゲームを作るものとしても、ゲームを楽しむひとりのゲーマーとしても、そのような時代を作ってくださったことを本当に感謝しております。

もし機会があれば、今力を入れておられるインディーズゲームへの応援や、今後のゲームの未来のあり方などについて、少し突っ込んだお話ができるチャンスがあればいいなと思っています。

吉田氏:お酒を飲みながらね(笑)。

キム氏:そうですね(笑)。



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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