『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』は、『真・女神転生』と『ペルソナ』とどう違うの? アトラスの異色作ながら、馴染み深い共通点も【プレイレポ】

PS2時代のアクションRPGが『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』となって蘇る! その特徴や魅力をプレイレポートでお届けします。

ゲーム プレイレポート
『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』は、『真・女神転生』と『ペルソナ』とどう違うの? アトラスの異色作ながら、馴染み深い共通点も【プレイレポ】
『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』は、『真・女神転生』と『ペルソナ』とどう違うの? アトラスの異色作ながら、馴染み深い共通点も【プレイレポ】 全 23 枚 拡大写真

アトラスの代表作といえば、『真・女神転生』シリーズを思い出す人も多いはず。直近でも、ナンバリング最新作の『真・女神転生V』(2021年11月11日)や、追加要素を加えた『真・女神転生V Vengeance』(2024年6月14日)がリリースされ、今もシリーズ展開が続いています。

また、『真・女神転生』シリーズから派生し、それぞれシリーズ展開を遂げている作品も少なくありません。少年少女の葛藤や成長を描いた『ペルソナ』シリーズをはじめ、『デビルサバイバー』シリーズに『ラストバイブル』シリーズなど、枚挙に暇がないほどです。

その多くは『真・女神転生』シリーズと同じターン制RPGの要素を軸としていますが、同じ派生作でもアクションRPGに舵を切った『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズのような、独自路線を確立したものもあります。

そんな個性派シリーズの第1作目をリマスターした『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』が、2025年6月19日に登場します。

本作はファン待望の復活と言えますが、オリジナル版が発売されたのは19年も前のこと。『ペルソナ5』や『真・女神転生V』でアトラスを知った今時のゲームファンにとっては、どんな作品なのかまだ知らない人も多いのではないでしょうか。

そんな『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』が、『真・女神転生』や『ペルソナ』とはどのような違いがあるのか、先行プレイの体験を元にその特徴や魅力に迫るレポートをお届けします。アトラスらしさもあり、それでいて異色な『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』の一端をご覧ください。

なお、本作はスイッチ2/スイッチ/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Steamと多くのプラットフォームに展開しますが、今回プレイしたのはSteam版となります。また、12時間ほどプレイした内容に基づいております。

『真・女神転生』や『ペルソナ』とどう違うの?

悪魔や天使を「仲魔」としてパーティに加え、様々な敵と戦いながら、異変や事件の解決や世界の命運に立ち向かう──作品ごとに細かい違いなどはあるものの、『真・女神転生』や『ペルソナ』などのシリーズ作は、共通する要素を多く備えています。(※『ペルソナ』シリーズでは、悪魔やシャドウと交渉してペルソナを獲得)

「仲魔」を加えて戦力を増やし、異変や事件に立ち向かうという要素は、この『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』も継承しています。また、世界を俯瞰するマップと、それぞれの地域を切り取ったフィールド、敵と遭遇すると切り替わるバトルといった構成も共通しています。

そして、起きる問題は作品ごとに違うものの、フィールド上で物語や事件の捜査を進展させ、敵が彷徨うダンジョンに突入。最奥で待つボスに立ち向かって事態の改善を図る。そうした流れも概ね共通しているため、『真・女神転生』『ペルソナ』あたりのプレイ経験がある人なら、『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』のゲーム進行もすぐに馴染むことでしょう。

ただし、設定や基本的なゲーム面において、異なる点も多々ります。『真・女神転生』や『ペルソナ』は、現代や近未来を舞台とする場合が多いのですが、『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』の舞台は架空の大正時代。かつて「帝都」と呼ばれていた頃の東京、つまり時代的には過去を扱う作品となります。

西洋文化を取り込み、洋食が人気を博し、時代に敏感な女性たちがモダンガールと呼ばれて街中を華やがせる。一方で、和装を好む人もまだ多く、和洋入り混じる景色も大正時代ならではと言えるでしょう。

そんな交錯する時代を舞台に選んだ『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』は、レトロでありながら新たな時代への息吹も感じられ、他のアトラス作品では味わいにくい独特な世界観を楽しめます。

また、社会に自動車が普及し始めたりと、科学が生活や習慣に大きな影響を与えた時代でもあります。「仲魔」を使役する本作の主人公のような存在は“オカルト”として片づけられてしまう、そんな時代の節目です。

科学とオカルトが交差する時代に、「悪魔を使役するデビルサマナーとなり、帝都を駆け抜ける」醍醐味は、本作ならではの趣深いアクセントと言えます。

「デビルサマナー」ならではのゲーム進行

アトラスの人気シリーズたちと共通する要素も多い一方、独自性もはっきりしている『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』では、プレイヤーが主人公・葛葉ライドウとなり、人々を脅かす怪異に立ち向かい、帝都の平和を守ります。

ライドウは、協力者である鳴海が営む「鳴海探偵社」を手伝うという形で、様々な事件の解決に奔走することに。物語は話数形式で進み、第1話では少女からの不可思議な電話をきっかけに、とある資産家の事情に深く関わっていきます。

事件の捜査は街中での噂話に始まり、主要人物の家屋やその周辺での聞き込み、そして悪魔たちが闊歩する「異界」などに出向くことで進展します。異界を「タルタロス」や「マヨナカテレビ」、「パレス」などに置き換えれば、近年の『ペルソナ』ファンにも想像しやすい流れかと思います。

ただし本作の場合、人間だけの力では事件の解明に至れません。事件を知る人物の口は時に固く、証拠は隠され、そこに辿り着く道も塞がれていることがあります。そうした難題を攻略するには、悪魔の力が不可欠です。

真実を明かさない者には「読心術」、感情を後押しして本音を語らせる「発火」、冷静さを取り戻させる「冷却」、鋭敏な悪魔の感覚を活かす「現場検証」など、仲魔たちはそれぞれ捜査用の特技を持っており、彼らの力を借りて事態を打破していきます。

常人では太刀打ちできない事件を、人知を超えた悪魔の力を用いて解決する。悪魔を使役するデビルサマナーだからこその展開と手応えです。

舞台設定である大正時代と合わせ、こうしたシチュエーションや状況をロールプレイング(=役割を演じる)として楽しめるのが、『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』が持つ魅力のひとつだと、個人的に感じています。

ちなみに捜査自体は、その都度目的地がマップ上に記されますし、適時使用できるファストトラベル的な「現場急行」の行先にもアイコンがつくため一目瞭然。捜査が行き詰まることはないため、事件の捜査などのパートが苦手な人もご安心ください。



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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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