名作サウンドノベル『かまいたちの夜』……格闘ゲームの金字塔『ストリートファイター』……まったく相容れないであろうふたつのタイトルが、まさかまさかのコラボレーションを果たしました。
『ストリートファイター6』のなかで再現された『かまいたちの夜』は、原作愛がたっぷり詰まったパロディでありながら、『スト6』のエッセンスもしっかり盛り込まれた素晴らしいコラボに仕上がっています。

ファイターたちの集まる保養所で、凄惨な事件が幕を開ける
舞台はカンフーコング荘という保養施設。格闘興行で財を成した企業がファイター向けに建てた施設であり、主人公のトールもまた、この施設に招待されていました。
ここではバトルや詮索はご法度! 青いシルエットなのは正体を隠すため、というそれっぽい理由もついています。
普段とは違ってゆっくり羽を伸ばすのが目的なのですが、血の気の多い連中が集まっているだけあって、どこかピリついた雰囲気なのは隠しきれません。
そんな中、二階の窓に貼られた「コンヤ12ジダレ……シ……」というメッセージが見つかり、一同が騒然とします。
これは「コンヤ12ジダレカガシヌ」という意味なのでは、と……。

今回のコラボは、ワールドツアーモードのOTHER DAYSという項目から飛ぶことができます。基本的には『かまいたちの夜』準拠で、テキストを読み、選択肢を選んでいくことで進んでいきます。
配役も良い感じに『かまいたちの夜』を踏襲しており、成金の関西人に誘われて彼の仕事を継ぐエンディングがあり、ついつい笑ってしまいました。しかも、配属先は大阪ではなくメトロシティのようですし……。

ただ単にシナリオをなぞるだけかと思いきや、ちゃんと『ストリートファイター』であることも忘れてはいません。たとえば、おもてで物音がしたから主人公たちが飛び出していくと、出会い頭に戦闘が発生します。
サウンドノベルで、戦闘……? あまりに唐突に画面が切り替わるものだからここでも大爆笑してしまいました(ワールドツアーのキャラクターを使用するので、多少レベル上げしておくとスムーズに進行できます)。

いくつか突拍子もないエンディングに辿り着くのも『かまいたちの夜』を意識しており、その点も評価したいポイントです。エンディングは全部で15個あるようなので、やりこみ甲斐もありますね。

ただ単に原作をなぞってギャグをやるだけのコラボではなく、しっかりと特殊設定ミステリとしてオチを付けているのも良かったです。まあ、このメンツが集まって犯人探しをするのだから、こういう展開になるでしょう……という納得感もありました。

少し気になったのは、既読スキップがないことです。
キーボードかパッドでボタンを連打するしか読み進める方法がないのはちょっと大変でした。幸いフラグ管理も原作準拠であり、正しい選択肢さえ選べば途中から再開してもストーリーは進行します。

とはいえ、これだけ出オチ感あるコラボレーションをこんなにも高水準にまとめたのはかなり素晴らしいことだと感じました。C.ヴァイパーの激ムズコンボを練習する合間に、クールダウン感覚でチャレンジしてみてください!