2025年11月13日(木)、コナミデジタルエンタテインメントより、ニンテンドースイッチ2およびニンテンドースイッチ向けに『桃太郎電鉄2 ~あなたの町も きっとある~』がリリースされました。
本作最大の特徴は、舞台が東日本と西日本に分断され、それぞれが独立した巨大なマップとして収録されている点です。
本稿では、『桃太郎電鉄HAPPY』(1996年発売)以来、約30年ぶりにサイコロを握る復帰勢の視点で遊んだプレイレポートをお届けします。
◆「自分の町」がない海外在住者が、30年ぶりに社長へ復帰

事の発端は、INSIDE編集部からの「桃鉄2に興味がある人」という募集がかかったことでした。『あなたの町も きっとある』というサブタイトルの通り、かつてないほど数多くの街を網羅している本作。
筆者は現在アメリカ在住のため、さすがに「自分の町」はありませんが、久しぶりに『桃鉄』を遊びたい一心で手を挙げました。
プレイ前にトレーラーや先行配信で予習をしたところ、令和らしく演出やシステムは洗練されているものの、根幹の面白さはスーパーファミコン時代と変わっていないことに安堵。30年ぶりのブランクを抱え、意気揚々と社長に就任しました。
◆密度が増したマップと刷新された「地理のパズル」

まずは東日本編からスタート。マップを分割した分、駅の密度が飛躍的に増しているのが本作の特徴です。「東京周辺だけでこんなに駅があるのか!」と驚くと同時に、筆者の生まれ故郷が物件駅ではなくカード駅だったことに少し落胆しつつも、その細かさに納得させられました。

各駅にはJTB協力の解説文もあり、その駅の歴史や文化も学べます。
筆者は日本を離れて20年以上、最後に帰国したのも16年前になるため、日本の細かい地理は記憶の彼方です。しかし、桃鉄で各駅を巡るたびに、頭の中で欠けていたパズルのピースが埋まっていくような快感がありました。学校教育版の『桃鉄』が地理の教材として採用されているのも頷けます。

マップの拡大は単に駅が増えただけではありません。歴史上の偉人が力を貸してくれる“歴史ヒーロー”は計63名、地域の特産品が暴れまわる“名産怪獣”は計39体と、どちらも過去最多を更新しています。
東日本・西日本それぞれに固有のヒーローや怪獣が配置されているため、「今回はこっちのルートであのヒーローを仲間にできるかも」といった、単なる物件購入にとどまらない戦略的なルート選びが楽しめます。
◆30年のブランクも問題なし。「変わらない桃鉄」の安心感

今回は先行プレイのためオンライン対戦相手がおらず、NPCとの対戦を選択。まずはリハビリを兼ねて、最弱NPCである“まめオニ”2体を相手に、サクッと遊べる「3年決戦モード」で東日本を回ってみました。
さすがに最弱NPC相手では30年のブランクも関係ありません。知らないカードもいくつかありましたが、本作では秘書が効果を丁寧に解説してくれるため、すんなりと『桃鉄2』の世界に入り込めました。
◆西日本編10年決戦で浴びる、最強AI“さくま鉄人”の洗礼

操作に慣れたところで、今度は期限を10年に設定し、西日本編へ。東日本は東京スタートですが、西日本は大阪が始発となります。
対戦相手には“エンマ大王”、そしてシリーズ最強の“さくま鉄人”を選択。すると、これがもう公式チートと言わんばかりの強さで、さくま鉄人が大暴れし始めました。

近年の『桃鉄』シリーズには「絶好調モード」というのがあり、強力なバフがもたらされます。 “さくま鉄人”は絶好調になりやすいのですが、まさかの1年目の4月から開幕絶好調となってしまい手がつけられません。
サイコロを6~7個振り、青マスの報酬は5倍、カードマスでは優良カードを引き当て、妨害系カードは全て無効化。さらに絶好調中にもっと強化される超・絶好調も引かれてしまい手に負えません。

開幕早々の絶好調により、さくま鉄人は1年目で資産17億円に到達するという破竹の勢いで独走態勢に入りました。
◆借金10億からの逆転劇
一方の筆者はサイコロ運に見放され、“貧乏神”がつくどころか、いきなり本作初登場の“マイナ~~スボンビー”に変身されてしまう始末。

このボンビー、取り憑かれるといきなり資金が0、カードが封印され、あらゆるマスがマイナス10倍の赤マスになるという凶悪な能力を持っています。

結果、1年目の総資産はマイナス9億8400万円。借金10億円プレイヤーとしての幕開けです。しかも、貧乏神に戻った後もカード封印と赤マス効果がしばらく続くというオマケ付きでした。
ちなみに、本作は東西でイベントや貧乏神の進化形態が異なります。
東日本:“豪雪”が発生し、“ラッセル車カード”がないと移動が1~2マスになるが、目的地到着金が増加。貧乏神は“パーセントボンビー”“バクレツボンビー”に変身。
西日本:豪雪の代わりに“潜水艦”イベントが発生。貧乏神は“マイナ~~スボンビー”と“デビルボンビー”に変身。
なんとも物騒なラインナップですが、今回のプレイでは“マイナ~~スボンビー”以外には遭遇しませんでした。10年程度では味わい尽くせないボリュームということでしょう。
◆どん底からの再起、そして“デストロイ号”の恐怖
2年目まではひたすら赤字を垂れ流す日々でいっそ赤字で100億目指そうかと自暴自棄になっていましたが、3年目に転機が訪れます。

某宇宙戦争映画に触発されたようなNPCの“DX-888”が出現し、サイコロの6を出して10億円を差し出してくれました!おかげで総資産が一気にマイナス2億5000万円に! まだマイナスですが10億円も借金が減ったのは天の恵みです! ありがとうBB-ェ……DX-888!
そして遂に!さくま鉄人を出し抜いて目的地にゴールした瞬間、特別に借金を0にしてもらったので、“徳政令カード”無しで赤字が一気に解消され、再びスタートラインに立つことができたのです。近年の作品における最下位救済の手厚さを実感しました。
さらに“乗っ取りカード”でエンマ大王から高額物件を奪い、安定収入を確保。ここからさくま鉄人への逆襲が始まります。

実はその頃、さくま鉄人は無間地獄に陥っていました。沖縄エリアにはカードを複製できるダビング駅が多く、さくま鉄人は強力な“豪速球カード”をダビングし続けていたのですが、背負った貧乏神にカードを次々と破壊され、AIの優先順位が「ゴール」より「カード複製」になってしまったのか、目的地そっちのけで沖縄に居座り続けていたのです。
そして、貧乏神にカードを破壊されるか高額物件を売り払われるかの2択が続くという様相でした。

この隙に、筆者とエンマは歴史ヒーロー“さいごう”の争奪戦を展開。“さいごう”はお金をくれたり物件を無料で入手してきてくれる福の神のような存在ですが、誰かがゴールすると消滅してしまいます。

結果、3年目は誰もゴールしないという珍事が発生しましたが、“さいごう”を独占した筆者は4年目にゴールを決め、ついに総資産がさくま鉄人を超えました。最下位からの大逆転です!

その後も順調に九州地方の物件を買い占め、さくま鉄人が絶好調になることもなく、エンマはキングボンビーにボンビラス星に連れて行かれて大赤字です。

ボンビラス星にいるエンマにトドメを刺そうと牛歩カードを使おうとしましたが、さすが止められてしまいました。それでもエンマはレースからほぼ脱落したので、筆者は独走態勢に入ったかと思われました。
しかし8年目の7月、すべてを無に帰す破壊神が降臨します。

エンマ大王に取り憑いていた貧乏神がキングボンビーを超え、“デストロイ号”へと変貌したのです。
デストロイ号は「キングボンビーが鉄道経営に目覚めた」という設定で、自らサイコロを3個振って移動するのですが、通過・停止した周辺の物件を無差別に破壊して回ります。これは憑いているプレイヤーだけでなく、そこに物件を持つ全プレイヤーが被害対象です。
今作はマップ分割により物件駅が密集しているため、過去作以上に被害が甚大になりがちです。どれぐらい密集しているかというと、過去作の『桃鉄令和』の物件駅数が339駅に対して、『東日本編』だけで559駅、『西日本編』だけで431駅もあります。 それだけの駅が密集している結果、九州に物件を集中させていた筆者とさくま鉄人は大打撃を受け、エンマは再起不能なほどの大破産をしました。
◆進化した技術で描かれる変わらない熱狂

9年目にはさくま鉄人とエンマが同時に絶好調になるという最後の追い上げを見せましたが、なんとか筆者が逃げ切り、無事に勝利。絶望的なスタートから立ち直り、最後までトップ争いを楽しめたのは、絶妙なゲームバランスのおかげです。
久しぶりのプレイで感じたのは、変わらない『桃鉄』の面白さと、ハードウェアの進化によって実現した「圧倒的な解像度」の日本列島でした。

サブタイトルの『あなたの町も きっとある』という言葉通り、東西に分かれたことで、これまでは省略されていた小さな駅やローカルな名産品にもしっかりとスポットライトが当たっています。
ただ、正直なところを言えば、これだけ詳細に作り込まれた東西のマップを繋ぎ合わせた、超巨大な全日本マップでもプレイしてみたかった、というのが偽らざる本音です。移動が大変でしょうが、マップが狭く密度が高い分、同じところをグルグルしているという印象も受けました。
(※なおインサイドでは先日開催された「東京ゲームショウ2025」において、本作の開発者インタビューを実施。
そこで、「「東日本編」と「西日本編」は、技術的にはひとつのマップでやれたのですか?」と質問した際に、副監督である桝田省治氏から、「やろうと思えばできますね。ただ今回は町が多く、「どれだけやってもゴールに辿り着かない!」ということになりかねません。やはり1年に2回くらいは目的地に着かないとおもしろくないじゃないですか。」という回答を得ています。)

『東日本編』と『西日本編』はそれぞれ単体でも十分なボリュームですが、持ち寄れば両方のマップで遊ぶことができます。まずは自分の馴染み深い地域から手に取ってみるのが良いでしょう。
30年前、ブラウン管の前で一喜一憂したかつての社長たちも、最新技術で描かれるこの日本列島で、再びサイコロを握ってみてはいかがでしょうか。きっと、あの頃と変わらない熱狂が待っています。
◆製品情報
『桃太郎電鉄2 ~あなたの町も きっとある~』
発売日:2025年11月13日(木)
対応機種:Nintendo Switch 2 / Nintendo Switch
Nintendo Switch 2版
東日本編+西日本編:8,980円(税込)
※パッケージ版/ダウンロード版共通
Nintendo Switch版
東日本編+西日本編:7,980円(税込)
※パッケージ版/ダウンロード版共通
東日本編 のみ:6,430円(税込)
※ダウンロード版のみ
西日本編 のみ:6,430円(税込)
※ダウンロード版のみ
権利表記:©さくまあきら ©Konami Digital Entertainment
ニンテンドースイッチ版では、ダウンロード版限定で片方のマップのみを購入できる単体販売が行われます。単体版を購入後、もう片方のマップを“追加コンテンツ”として3,500円(税込)で購入することも可能です。
また、ニンテンドースイッチ版からニンテンドースイッチ2版へのアップグレードパス(1,000円・税込)も用意されています。
¥6,474
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)




