「アイマス」如月千早 武道館単独公演「OathONE」2日目公演 1万字レポート 如月千早がアイドルとなった日

アイドルマスター・如月千早が2026年1月24日・25日に日本武道館単独公演『OathONE』を開催。多彩な曲と映像演出を駆使し、自己の成長と未来への決意を伝えた。

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「アイマス」如月千早 武道館単独公演「OathONE」2日目公演 1万字レポート 如月千早がアイドルとなった日 全 39 枚 拡大写真

『アイドルマスター』シリーズの765プロダクションに所属するアイドル・如月千早が、2026年1月24日・25日に日本武道館単独公演『OathONE』を開催しました。

初報の時点では24日のみの公演として発表されていたものの、「如月千早、武道館単独公演」というインパクトは図り知れず、早々と25日の日本武道館追加公演が発表され、両日ともにチケットはソールドアウトとなりました。

音楽の聖地とも呼ばれる日本武道館のステージに、『アイドルマスター』如月千早がひとりで立つ。

このインパクト、その絵を想像して、いったいどんなことになるのかと楽しみになったファンは多かったろう。今回INSIDEでは追加公演となった25日の2日目公演へ足を運び、一部始終をライブレポートにしたためることとなりました。

冬の1月、夜空の下で催された祝祭を追いかけてみましょう。

2026年1月25日、東京は寒気に包まれつつも晴れ模様。昨日に開催されたライブとおなじく、ライブ開始前の会場には穏やかなアンビエントが流れ、水の流れる音や沈み込んでいく音がまじり、日本武道館には独特のムードが流れていた。

この日のステージは円形のセンターステージ。しかも始まる前には円注状に幕がかかっており、しかもこれは『OathONE』のタイトルロゴが浮かぶLEDスクリーン。ステージ下にも水の流れを映すスクリーンもあり、さらに円形のセンターステージから花道のような通路が2つ伸びており、いわゆるアリーナ席は二分されたセットでした。

とはいえ、24日・25日ともにチケットはほぼ売り切れ状態。この日も日本武道館の客席が観客で埋まり、開演となる16時を今か今かと待つファンが多くいました。

ところで、如月千早のイメージカラーといえばなんでしょうか?もちろん、青色です。
では、青色には具体的にどのくらいのバリエーションがあるかご存知でしょうか?著名な芸能人は「白は200色ある」なんていいましたが、同様に青色も200種類以上、日本の伝統色(漢字で記名できるもの)でも70色以上あるといわれます。

つまり「青色」と一言でいっても、聞いた人にとってその"青色"は違っているわけです。

ちょっと考えてみればこういったことはすぐ気づくかと思いますが、この日のライブを迎える前に筆者は気づくべきでした。
如月千早というがいかに多彩で、見るものを圧倒するグラデーションを魅せることができるかを。

◆スローテンポなバラードで観客の心を鷲掴み

客席の照明がなんの前触れもなくフッときえ、センターステージのLEDスクリーンには映像が流れ始めます。水の深くへと沈み込み、気泡がふわっと浮かび上がっていくムービー。

映像を写している円注状にLEDスクリーンは上へと昇っていきます、その間にもクジラや小さな魚の姿がみえ、水面や波、そして一気に視界は星空へと移り、ライブタイトル『OathONE』が浮かび上がります。

大事な1曲目。注目を集めるなかで謳い始めたのは「蒼い鳥」でした。円形のセンターステージに現れた如月千早のボーカルは1曲目から情感たっぷりで、ターンをすると背中側の客席を向いて、筆者側には背中を見せて歌っていきます。

水色や青色のペンライトが揺れるなか、ストリングスが引っ張るサウンドとともにスゥーっと伸びる独特のボーカルで歌い終えると、集まった観客は大きな拍手で彼女を称えました。

とはいえ、じつは1曲目「蒼い鳥」は昨日の24日と同じ選曲。ここからどんな曲を歌うのだろう?と思った矢先、新曲「輝夜」を披露します。アコースティックギターのアルペジオから始まり、「ねえ?私たちどこからきたんだろう?」と問いかけ、月の光に照らされながらうつむいていた自分の心に火を灯していく。歌う声色は、どこか心細さににじみ、まるで童話や童謡を歌っているときのような温かみもあります。

つづく3曲目は「月下祭 ~la festa sotto la luna~」で、客席からかるいどよめきが起こります。それもそのはず、この曲はかつてゲーム「アイドルマスター」のラジオ番組「THE IDOLM@STER RADIO」をつうじて制作された楽曲で、その出自も相まってこれまでほとんど歌われることはありませんでした。そんな楽曲が、約20年近い時を経てここで歌われる、知る人が歓声をあげても無理はありません。赤いライトアップと赤い月の下、サビを迎えると円形ステージに火柱がのぼり、如月は初披露となる楽曲を熱唱していく。

4曲目には「学園アイドルマスター」のアイドル・月村手毬の楽曲「アイヴイ」。「息も忘れてしまうくらいに 心に絡まるアイヴイ」と歌い始めた瞬間、会場中からワッと声が上がり、火柱がたちあがるセンターステージ。アップテンポな楽曲にあわせてサビを歌い終えると、オイ!オイ!と会場からコールが湧く。青・紫・黄色のライトが照らされるなかで楽曲を終えると、大歓声と拍手が会場を包みました。

最初のMCを迎えると、ライブへきてくれた観客たちへの感謝を述べつつ、歌っていった楽曲を紹介し、そのなかで「『アイヴイ』は以前にいただいたお仕事とのきっかけで歌わせていただきました。荒削りで魂を削るようでいながら、でも、どこか繊細に引き付けられてしまう。そんな歌声に、私も負けないように、パフォーマンスをさせていただきました」と話しました。

つづく楽曲は「Arcadia」。赤いライトとイメージムービー、ストリングスとバンドサウンド、そこに如月のまっすぐなボーカルが混ざり、グッとボルテージがあがる。6曲目は「目が逢う瞬間」。「目と目が逢う 瞬間好きだと気付いた」という出だしでワッと盛り上がる会場。頭上へ上がっていた円上のLEDスクリーンは如月の顔を真正面からアップで映し出しており、まさしく"目と目があう"といったところ。

曲の中で歌っているとそうとは感じづらいですが、この曲にようにイントロなしでいきなり歌い始めると、如月千早の歌声がこうも凛としていて、一本筋の通った声なのだと気付かされます。その歌声から漂うのは、強い意志。それは「蒼い鳥」「月下祭 ~la festa sotto la luna~」と響かせていた声とはあきらかに別質のものです。

7曲目には「静かな夜に願いを…」を披露します。こちらもこれまでのライブで披露されることがとても少なかった楽曲で、筆者の隣ブロックにいた観客がおもわず口に手を当てて驚いていました。

冬の静かな雪の夜をイメージした楽曲は、1月の冬にピッタリなバラード。青色が中心だった照明演出も、この曲では白色の光が会場中を照らします。しかも、ボーカルやサウンドの一つ一つの音に合わせてライトが動き、隠れた佳曲をより劇的な質感へと演出していきます。

つづく曲は、『アイドルマスターシャイニーカラーズ』風野灯織の持ち曲である「スローモーション」この選曲にも驚きの声が上がります。夜空を模したムービーが頭上のスクリーンに流れ、「あれはシリウス 冬の夜空のスクリーンにも浮かんだトライアングル」という部分を歌うときにはしっかりと冬の夜空が描かれます。

照明演出も単なる青色ではなく、水色やターコイズブルー、渋みのある青色などさまざまな"青色"で会場を染め上げます。鍵盤の音色に導かれるスローバラードと優しげな如月のボーカルに、会場中がうっとりとしていました。

音楽は物語だと私は思います。どんな曲にも、一曲一曲、それぞれに世界があって、歌う人それぞれの感情や思いで彩られて、物語が出来上がっていく
その物語は、一人で読むものではありません。歌っている私と、聴いてくれる皆さんがいて、 同じ時間に同じ物語を一緒にめくっている。そういうものかと

このようにMCしていた如月ですが、つづく楽曲はまさに物語的な楽曲である「眠り姫」。
そしてここから、聴く者をさらに歌の世界へと没入させていきます。

水の奥深くへと沈み込み、宇宙へ高く舞い上がる 高い没入感を生んだパフォーマンス

「ずっと眠っていられたら この悲しみを忘れられる そう願い 眠りについた夜もある」という歌いだしから、「眠り姫 目覚める 私は今 誰の助けも 今は要らないから」へと至る「眠り姫」の物語。聖歌隊のようなクワイアによるコーラス、厚みのあるストリングスが後半になるにつれて、勇気を抱かせるようにもり立てていきます。やや薄めの青色で統一されたライトアップも加わり会場を掌握していきました。

10曲目「Little Match Girl」。原曲は荻原雪歩との2人歌唱曲であり、「マッチ売りの少女」をイメージしたダンサブルな楽曲です。先程までのスローテンポな空気は一転、ダンサブルなグルーヴへと変わり、如月もロングスカートのドレスを着ていますがきっちりとダンス&シングしていきます。

11曲目はバラード曲「Snow White」。タイトル通りこちらも冬のラブソングであり、この季節にピッタリ。ただこの曲における雪や冬は、希望へとイメージさせるポジティブな表現として描かれており、ここまで歌ってきた冬をテーマにしたバラードとはすこし違います。

その毛色の違いを知っているのは、誰よりも如月本人。歌声も沈むような憂いある質感ではなく、カラッとした明るさを帯びており、時折晴れやかな表情を見せています。

歌い終えて拍手が会場から響くなか、シンセサウンドとギターの出だしから始まったのは「SING MY SONG」。『アイドルマスターミリオンライブ!』の最上静香によるバラード曲で、歌を唄うことに対する強い決意をこめた楽曲です。

歌に対する強いモチベーションや高い理想、なにより熱い情熱は最上と如月の共通点。そんな最上の楽曲を如月が歌うのは自然のように感じられますが、まるで如月千早の楽曲だったかのように自然に歌い上げていることには驚かされます。

しっとりとした出だしからすこしずつ力を込めていき、サビの「たった1フレーズを、1小節、1音を 輝かすために刻み込むの」というフレーズでは右手の人差し指をピンと高々と掲げます。如月さん独特の響きあるロングトーンでバチッと決まり、胸がすく思いになった方がいるかもしれません。夜空や波をイメージしたムービーはきらめきが満ちており、歌い終えると歓声ではなく拍手が送られました。

ここで頭上にあった円柱形のスクリーンがスッと降り、小休憩の時間に。暗い会場を円柱状のスクリーンが星空の映像で彩るなか、如月さんはステージ横の花道を歩きながら退場していきます。観客は彼女へ拍手を送ったり手を振り、彼女も笑顔で応えました。

休憩を終えて再び楽曲へ。ここで千早さんは先程の青いロングスカートをベースに、金色の装飾やフレアが加えられたよりゴージャスかつドレッシーな衣装に着替えて登場しました。

披露したのはこれまたスローバラード「細氷」。ここで、ステージ横から見慣れない長方体のロボットが。ソニーが開発中のエンターテインメント向け群ロボットシステム「groovots」で、約0.3m×1.3m(幅×高さ)の大きさでキビキビと動き回る姿は、まるでフォーメーションダンスのよう。

しかも長方体の面はLEDスクリーンとなっており、周囲の照明演出やムービーと連動してよりステージを華やかなものへと変えていきます。「my song」のアッポテンポなバンドサウンドに如月の力強い歌声が響きつつ、色とりどりの青色がステージ上から、そして照明から放たれます。その様はとても幻想的です。

つづく「Light Year Song」は、この日のセットリストでは異色のダンス・ポップ。きらびやかにシンセサイザーがリードするサウンドに合わせて、カラフルな色合いの照明が明滅して会場を煽っていきます。星々を巡っていくようなムービーとも合わさってまるで宇宙へと飛び出していくよう……とおもいきや、楽曲の最後には宇宙空間から地球を見るような画角のムービーが流れます。

ここで思い出したのは、このライブのイメージビジュアル。如月さんが下から上へと向けて手を伸ばすあのビジュアルでした。水の奥深くへと沈み込むようなバラードを次から次へと披露し、その間も水や星空などを描いたムービーが流れていましたが、いわばこれらは"地球上から見た視点"。

この曲で一気に空へと手を伸ばし、成層圏を一気に突き抜けて星々の待つ宇宙へ!
今回のライブのイメージビジュアルはまさにこの瞬間を描いていたのではないか?と感じられました。

そんな開放感あるパフォーマンスから、なんと「アイドルマスター SideM」から桜庭薫の「My Starry Song」。「きっとここから世界中笑顔で満たそう 僕ら <一番> まばゆい <星と> 信じているから」からつづられる歌詞は、先程の宇宙空間へと飛び立ったイメージをちゃんと引き継ぎ、なにより優しい光を発しています。こうもピッタリな選曲ができるとは、末恐ろしくなります。

groovotsはまるで踊るように回り、多彩な青色がその歌声とともに会場へ放たれていきます。アウトロではリズミカルにバックコーラスが歌うなかで、如月さんは腕を広げてくるりと会場を見渡します。その表情は、まさに充実したものです。

今宵、如月千早は優しい光を放つ、誰のもとにも平等に……

こうしてステージから見上げると、この景色は本当に特別だと思います。一つ一つのコンサートライトがまるで夜空に浮かぶ星のようで、同じ色はあっても同じ輝きはなくて、それぞれが自分の場所で光を灯してくれる
すぐそばにいる星もあれば、遠くからそっと見守ってくれている星もあって、気づかないうちにその光に勇気をもらって前に進めたことが何度もありました。この星空の中で私は歌っている。そう思うと胸の奥がとても温かくなります。

このように心境を述べつつ、「今度はわたしが歌で皆さんを、世界中を笑顔で満たせるように頑張り。"しっくりと、ゆっくりと"私らしく聴いてください」と話します。

「しっくりと、ゆっくりと」という言葉に反応して会場から期待の声があがり、歌い始めたのは「しっくりとゆっくりと」。こちらもスピンオフ作品「ぷちます!!」関連楽曲で、これまでのライブではほとんど歌われることのなかった楽曲です。

キレイな声色の如月さんですが、この曲では特に発声が明瞭にきこえ、レア曲ゆえ初めて聴いたであろう観客たちにも歌詞の一つ一つがしっかり聞き取れたのではないでしょうか。朝の青空から夕焼け、そして夜空へと切り替わっていくムービーは、この曲の歌詞と連動した演出。メッセージをよりクリアに、そして大きなイメージとして観客へと伝えていきます。

そのイメージは「Coming Smile」へとつながります。2021年6月にリリースされたこの曲、ギターによるイントロからアップテンポなリズムで歌われ、ネガティブな出来事も笑顔さえあれば救われるとメッセージを訴えていきます。つづく曲「Just be myself!!」もロック色の強いサウンドで、如月さんは力強いボーカルをとっていきます。

ドレス姿にも関わらず軽く飛ぶようにステップを踏んで歌っていく如月さん、その姿、歌詞、歌声はともにポジティブで明るさを放っています。

つづく20曲目は、『アイドルマスターシンデレラガールズ』渋谷凛の「Never say never」。これには驚きの声やむしろ待ってました!期待通りといったニュアンスの歓声が起きました。

如月さんのクリアで凛とした歌声はいうにおよばす、これから未来を見据える覚悟・決意をしたためながら、同時に自身を見守ってくれた人たちへ「ありがとう」を告げるメッセージは、まさにこのライブのこの場面にピッタリ。観客からはこの日初めてのしっかりとしたコール&掛け声が聞こえてくるなど盛り上がりました。

直後のMCでは「肩の力を抜いて、笑顔で、私らしく大切に歌わせていただきました」と述べ、「最後の曲では、ずっと私を支えてくれたすべての人への感謝を伝えたいと思います」と言葉を重ねます。日本武道館という大舞台へこれたのは、スタッフや仲間のみんな、そしてじっと見守ってきたあなたがいたからと言葉にしつつ、本編ラストの楽曲へと向かいました。

本編最後に歌ったのは、「アイドルマスター スターリットシーズン」の楽曲でもある「GR@TITUDE」。こちらも冬とリンクした楽曲で、作詞・森由里子さん、作曲・神前暁さんが務めた楽曲で、「アイマス」シリーズでは節目・メモリアルな楽曲に@がつくことで特別視されることがありますが、この曲もその1曲。

ブラス隊とストリングスがバンドサウンドと掛けあわさったポップなサウンド、そこに如月さんの歌声が重なり、ライブのフィナーレを迎える高揚感とみごとに調和していました。

本日はご来場いただき、ありがとうございました」という挨拶をし、観客らは拍手とともに彼女を見送ります。円柱状のLEDスクリーンが降りきって姿が見えなくなると、すぐにアンコールの声が起こりました。

万感の想いを持って望むアンコール、そして涙と拍手の雨

アンコールの声に合わせて照明が明滅を繰り返し、その高揚感をだんだんと高めていくと、アンコールが始まります。ステージの照明がきえ、青いペンライトのみが暗い会場にたゆたうような光景のなか、円形のセンターステージからが赤・黄色・青・緑・白がグラデーションとなった12個の光が天井にむかって差し、その真ん中・センターステージには右手を掲げる姿が影絵のように浮かびます。

そこからストリングスによる印象的なイントロから「ToP!!!!!!!!!!!!!」を歌い始めます。PS4ゲーム「アイドルマスターステラステージ」のメインテーマとなる楽曲で、如月さん含む765PRO ALLSTARSとして歌唱されたのがオリジナルバージョン。12個の光、その真んなかに如月さんという演出、それは仲間の気持ちを背負ってこの曲を歌おうという言外のメッセージでしょう。

右手・一本指を高く掲げてポージングするサビをまっすぐに伸びていく歌声で披露したとき、その瞬間に広がった光景は、ある意味での到達や達成感すら感じさせる清々しさに満ちたもの。笑顔を浮かべて楽曲を締める如月さんを、大きな歓声が包みました。

私には、家族のように大切な仲間たちの他に、トップを目指すたくさんのライバルであり、兄弟や姉妹のようでもあるアイドルたちがいます。今日はそんなみんなの曲も覚悟を持ってカバーさせていただきました。私にとって大きなチャレンジであり、楽曲に宿る思いがステージで歌うたびに、ひしひしと伝わってきました。歌う機会をくださった皆さん、本当にありがとうございました。

こうMCをする如月さん。「私の夢もここでまだ終わりません。欲張りかもしれませんが、この景色をまた見たい」と気持ちをあらわにすると、このように観客へ語りかけました。

次が本当に最後の曲です。最後に歌う曲は「約束」で。もっと思いを一つにするために、翼を広げるために、私と一緒に、この歌を歌ってほしいんです。

如月さんにとって歌は譲ることの出来ないもの、集まった観客にとっても「如月さんの歌唱はサンクチュアリ(聖域)」という印象を持った方が大半でしょう。そんな彼女が歌うスペースを空けて「これからの未来にむけ、いっしょに歌ってほしい」と声を掛けてきたわけです。筆者の回りにいたファンからは驚きの声があがっていました。

そうして始まった最終曲「約束」。頭上のスクリーンには如月さんの顔をアップに映し出しつつ、「約束」の歌詞もボーカルにあわせて表示され、歌うにはぴったりの演出が施されていました。結果、1番のAメロから大きな合唱が起こり、間奏部分で如月さんが歌うパートまでバッチリと歌います。

ラストのサビでは途中で如月さんの声が小さくなったかと思いきや、マイクをこちらへと向けて"観客みんな"に歌わせようとます。ふたたびボーカルを取ろうとした際には、涙を堪えることができずうわづった声が会場に響きます。ですが最後はなんとか大きく息を吸い込んで持ち直し、この日いちばんのながいながいロングトーンでフィナーレを迎えました。

万雷の拍手と歓声、一礼する千早さん。涙をぐっと抑えて最後のあいさつを行ない、ライブは幕を閉じました。センターステージから花道を通り、ふたたび一礼して退場していくまで、観客たちは如月さんの勇姿を見届けました。

「アイドルマスター」如月千早ではなく、「アイドル」如月千早として

序盤ではスローなバラードを中心に、自身の孤独、痛み、葛藤を表現をしながら、徐々にネガティブなフィーリングから抜け出し、この終盤ではアップテンポかつ明るい曲を披露して、優しさ、癒やし、温かさを表現していく。最後には自身の未来を共に観客といっしょに歩んでいこうという「約束」を結ぶ。

xR(3DCG)ライブをこれまで何度か開催してきました、今回の規模感で1曲目から最終曲まで一貫したイメージ/メッセージを表現していく果敢なる挑戦だったといえますし、それを貫徹したライブだったといえます。

「アイドルマスター」シリーズの他ブランドから、自身と同じイメージカラーである青色のメンバーから楽曲をカバーしているのもとても印象的で、SNSのトレンドで大きくヒットしていたのもとても話題を呼びました。

ですが付言すべきは、このライブの照明・ムービー演出はとても際立ってた点です。日本武道館という会場で比較的大きなセンターステージを設計し、そこから発せられる照明やムービーを駆使することでライブへと没入させていく……まさに水のなかでブクブクと沈んでいくように仕向けつつ、そこから星のような瞬きを発していく。

水中奥深くから宇宙空間へと突き抜け、そのまま優しげな光が降り注いでいくというイメージで組まれたであれおうセットリスト。細部へわたって巧みにコントールされた光やムービーの演出は、一連の流れとイメージづくりに寄与していました。

しかもこれらの楽曲を彩っていたムービーに、ゲーム作品やアニメ作品からのシーンが一切使用されていなかったことは、この日のライブにとって重要なことだと思います。

他のアニメもしくはゲーム作品の音楽ライブでは、ゲームもしくはアニメの本編ムービーを使い、"本編で描かれていたストーリー"を意識させることがあります。ですが今回のライブは違います。あくまで楽曲で描かれている歌詞やサウンドにあわせイメージ映像を制作・披露していました。

また、これまでの活動でほとんど歌われることのなかったレアな楽曲を披露していたのは、当然如月さん本人の活動を総まとめするだけでなく、あまり知られていない楽曲を聞いてもらえるという新規性をつうじ、楽曲そのものを知ってもらうのみならず、楽曲の良さを引き出さんとする如月さんの高いパフォーマンス力を見せつけることにもつながるわけです。

もちろんこの日あつまった観客の殆どが「アイドルマスター」シリーズのいずれかに触れているでしょうし、如月千早という人物のバックグラウンドや物語について頭に入っている方が大部分でしょう。今回のライブではそういった部分をあえて削り、普遍的でだれにでもわかってもらえるような表現を目指したことで、より多くの人に深く感情を伝えていこうという試みがあったように思います。

当然ですがこういった挑戦的な演出を成立させるには、序盤にはスローバラードを中心にした楽曲を、中盤から後半にかけてアップテンポかつポップな楽曲を、毛色の違う楽曲を歌い切る如月さんの歌声がなければ成立しません。しかも単に歌い切るのではなく、楽曲が本来持ちうる魅力・パワーを120%以上引き出すような、抜群のライブパフォーマンスが求められます。

さまざまなプレッシャーとストレスがあったところ、彼女は見事2日間をやりきってみせました。
「アイドルマスター」如月千早のストーリーやナラティブではなく、「アイドル」如月千早個人としてのパフォーマンスと素晴らしい演出が、日本武道館を掌握してみせたのです。

「日本武道館に、アイドルが一人」
祝祭の外は冬の寒空、ですが雲ひとつなく。煌々と光る月が、日本武道館と一人のアイドルを優しげに照らしていました。

如月千早 日本武道館単独公演『OathONE』
2026年1月25日 2日目公演
セットリスト

+―月光―+
01 蒼い鳥
02 輝夜
03 月下祭 ~la festa sotto la luna~
04 アイヴィ

+―灯火―+
05 arcadia
06 目が逢う瞬間
07 静かな夜に願いを…
08 スローモーション

+―静想―+
09 眠り姫
10 Little Match Girl
11 Snow White
12 SING MY SONG

+―煌庭―+
13 細氷
14 my song
15 Light Year Song
16 My Starry Song

+―凜音―+
17 しっとりとゆっくりと
18 Coming Smile
19 Just be myself!!
20 Never say never
21 GR@TITUDE

+―新誓―+
22 ToP!!!!!!!!!!!!!
23 約束

(C)窪岡俊之 THE IDOLM@STER(TM)& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.


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《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

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