
7月2日発売の『がんばれゴエモン大集合』の収録作の中に、『がんばれゴエモン 黒船党の謎』というタイトルがあります。
これを意外に感じた人は、決して少なくないのではないでしょうか。なぜなら、『黒船党の謎』は評価が高いとは言えないタイトルで、ある一つの原因で「クリアは絶対不可能」という声もあるからです。そんなタイトルが、『大集合』に収録されている!
ですが、『黒船党の謎』はそんなに問題のある作品なのでしょうか? というわけで、プレイしていきたいと思います。
◆『ゼルダの伝説』のような画面切り替え型

『黒船党の謎』が発売されたのは1997年12月4日。この時代の携帯機は、ゲームボーイがまだ現役でした。
ゲームボーイは、現代の目から見ると極めてシンプルなハードです。十字ボタンとスタートボタン、セレクトボタン、そしてAボタンとBボタンしかありません。また、グラフィックは白黒でデータ容量も当然ながら据置機よりも遥かに小さい代物。ですが、そうした制約を上手く生かして名作になり得たタイトルもたくさんあります。
『黒船党の謎』はどうでしょうか。この作品は、『ゼルダの伝説』の2Dシリーズのような画面切り替え型アクションゲームで、やはり『ゼルダ』のようなマップが用意されています。それを参考にしながら、かなり広大なステージを進めていくのですが……どうも登場する敵の種類が少ない! 『ゴエモン』シリーズは、いろんなアクションの敵が次々とやって来る点が売りの一つ。ですが、どうも単調というか、すぐ飽きてしまうというか……。

驚くべきことに、このゲームは何と敵を倒しても何も出ません。お金や飛び道具はステージに落ちている宝箱(百両箱)を開けて得る仕組みです。つまり、敵を倒してもメリットが一切なく、よって敵に出くわしたら戦わず逃げるのが最適解。失ったHPの回復手段もあまりないので、極力ダメージを負わないプレイが求められます。
◆人力ではクリア不可能の100m走
『黒船党の謎』は、ステージこそ広大ですがステージ数は全5面と控えめ。そのボリュームの少なさを補っているのは、随所に差し込まれるミニゲームです。
ステージの先を進むには川を渡らないといけない、川を渡るには水中に潜るための竹筒が必要……ということで、紋次郎という男に会いに行くイベントがあります。ところが、ようやく探し当てた紋次郎に話しかけると、何の脈絡もなく射的のミニゲームが始まります。これは3投以内に合計10点以上取ったらクリア。失敗してもペナルティはなく、何度もやり直せるのですが……。何だか唐突過ぎて、首を傾げざるを得ません。

ともかく、竹筒を手に入れて川を渡り、先へ進みます。ただ、ここから先が無駄に長い……。上述のように敵の種類が少なく、ステージも同じような絵がただただ続くため、新しい光景を発見するワクワク感がまったく湧いてきません。
そんなこんなで1面のボス「代官スリー」を倒し、ステージクリア……と言いたいところですが、この後に紋次郎の時と同様ミニゲームが用意されています。内容は100m走。Aボタンを連打してキャラを加速させるというものですが、これがこの作品最大の難所と言われています。
敵の走りがあまりに早く、人力の連打では太刀打ちできません!!!

これは筆者も検証済みで、敵はスタート開始直後から10mほど先行します。どんなに連打しても、この差を覆すことはできませんでした。当時の子供たちは、あまりに理不尽な100m走に絶望したはずです。アーケードゲームで一世を風靡した『ハイパーオリンピック』のように定規を使ってボタンを叩くか、連射パッドを購入するしかありません。
なお、100m走は紋次郎の射的とは違い、負けるとゲームオーバー。再開はスタート地点で、全てがリセットされた状態から始まります。あまりに過酷だ!
この作品に対する「クリアは絶対不可能」という評価は、残念ながら冷徹な現実を表しています。
◆21世紀の利器で攻略だ!
筆者は『がんばれゴエモン大集合』をニンテンドースイッチでプレイしています。地獄の100m走に頭を抱えている時、筆者は恐ろしい事実に気づいてしまいました。

ニンテンドースイッチの場合、Xボタンが「ジャンプ連射」に割り当てられています。つまり、これを押しっぱなしにすればAボタンを連射するのと同じ効果を得られるというわけです。
実際、Xボタンを使うと今までの苦悩が夢幻だったかのようにキャラが進んでいきます。完膚なきまでの楽勝です。逆に言えば、本機能がなければとてもクリアできるものではないということですが……。
以上のプレイを総括すると、『黒船党の謎』はプレイヤーにとってあまりに苛酷な部分が多く、また完成度が高いとも言えません。もう少し工夫できなかったのか……と考えてしまいます。

さらに、この作品のセーブはいつでもできるものではなく、何とステージをクリアしないとセーブできない仕様。このあたりも、『黒船党の謎』の理不尽さに大きく貢献(?)しています(『ゴエモン大集合』ではいつでもセーブできる機能があるため、このあたりは苦ではなくなっていますが)。
ですが、良い点もあります。まずはゴエモンらしくBGMが素晴らしい! このあたりはシリーズには必要不可欠な部分で、しっかりと伝統を引き継いでいる様子が見受けられます。また、操作キャラのゴエモン、エビス丸、サスケに明確な性能差がある点も高評価するべきでしょう。1ステージ毎に別のキャラを選択する仕様も、「全てのキャラを楽しんでもらいたい」という開発者の気概が感じられます。
その上で、シリーズ特有の「旅情感」は今作でも健在。賑やかな街並み、荒廃してしまった農村など、それぞれの舞台の雰囲気はしっかり伝わっています。
そんな『黒船党の謎』、連日の酷暑が続く2026年の8月を乗り切るにはむしろ最適の一作ではないでしょうか。「俺はXボタンに頼らず自力で100m走をクリアしたぞ!」という方は、ぜひご報告を!

