キム・ヨンハ氏とミツキヨ氏の出会ったきっかけは? 新作『ファレイドリア』開発陣にインタビュー!コンセプトの深堀りや『ブルアカ』との“違い”も語る【TGS2026】

総括プロデューサーのキム・ヨンハ氏、楽曲制作担当のミツキヨ氏に、『ファレイドリア』の話をじっくり伺いました。

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キム・ヨンハ氏とミツキヨ氏の出会ったきっかけは? 新作『ファレイドリア』開発陣にインタビュー!コンセプトの深堀りや『ブルアカ』との“違い”も語る【TGS2026】
キム・ヨンハ氏とミツキヨ氏の出会ったきっかけは? 新作『ファレイドリア』開発陣にインタビュー!コンセプトの深堀りや『ブルアカ』との“違い”も語る【TGS2026】 全 21 枚 拡大写真

『ブルーアーカイブ』を手掛けたことで知られるNEXON Games IO DIVISIONのRXスタジオが開発中の新作美少女タイトル、『ファレイドリア』。

9月17日より開催されていた東京ゲームショウ2026では本作の試遊をはじめ、実際にキャラクターとの交流が楽しめる展示なども行われていました。また、今回はそんな本作の総括プロデューサーであるキム・ヨンハ氏、楽曲制作を行うミツキヨ氏へのインタビューを実施!

左:キム・ヨンハ氏 右:ミツキヨ氏

『ブルアカ』でも知られるおふたりの出会ったきっかけや、新作の『ファレイドリア』で描くコンセプトやテーマなどをじっくりと語っていただいたので、その様子をお届けします。インサイドでは本作の試遊レポートや、TGSのネクソンブースレポートも掲載していますので、あわせてご確認ください。

◆キム・ヨンハ氏&ミツキヨ氏にインタビュー!『ファレイドリア』のコンセプトや、『ブルアカ』とは違う「新しい表現」に迫る

ーー本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、お二人が本作でどのように関わっているかお聞かせください。

キム・ヨンハ氏(以下、キム・ヨンハ):今回TGSに出展した、『ファレイドリア』の総括プロデューサーを担当しています。作品の大きな方向性やコンセプトを決める役割で、『ブルーアーカイブ』の総括も兼任しています。

ミツキヨ氏(以下、ミツキヨ):『ファレイドリア』の楽曲の制作やプロデューサーを担当しています。また、「STUDIO ALOH」という会社の代表も務めていて、スタジオのチームとともに本作の楽曲を手掛けています。

キム・ヨンハ氏(左)、ミツキヨ氏(右)

ーーこれまでに作品を発表してから、アニメエキスポやTGSなどにも出展されていました。ユーザーからはどのような反応がありましたか? 印象的なものがあれば教えて下さい。

キム・ヨンハ:本作は、当初『プロジェクトRX』というコード名で公開していました。ただ、詳細な情報があまりなかったため、どういったゲームかよく分からない部分も多かったかと思います。最初の出展であるアニメエキスポでは、じゃんけんをするインタラクションを見せましたが……「果たしてこれはゲームなのか?」という意見もありました。

そこで今回は、本格的なゲームの形態としてTGSに出展することを決めました。作品のテーマは「異世界ホームステイ」で、生活感を感じてもらうことを重要視しています。黄昏館から始まり、戦闘を経て黄昏館に戻ってキャラクターと交流するなど、一連のサイクルをこのバージョンでは楽しめますし、多くの方に理解してもらえたはずです。

また、作品の音楽を誰が担当するのかという疑問に対して、今回もミツキヨさんが担当することを発表できたのは嬉しく思っています。好意的な反応も多く、非常に感謝しています。

ーー「異世界ホームステイ」というテーマのお話がありましたが、この言葉にはどのような意味が込められているのか、詳しく教えてください。

キム・ヨンハ:私たちは異世界を一度、『ブルアカ』で“異世界青春モノ”として描いています。『ファレイドリア』では違うものを見せたいという想いがあり、より“日常や生活感”に溢れ、キャラクターをより身近に感じられる場面、生活する環境などをコンセプトにしました。

今回のTGSのブースは黄昏館をイメージしたつくりになっていて、キャラクターとプレイヤーが一緒に生活する空間を表現しています。

ーーブースも拝見したのですが、黄昏館の中にメイツたちがそこに“存在”していましたね! そんな本作の開発は、どのような経緯やきっかけでスタートしたのでしょうか? また『プロジェクトRX』時代を含めて、構想はいつ頃からあったのでしょうか。

キム・ヨンハ:「新しいなにかを作り出したい」と想像したのは2022年ごろのことで、具体化したのは2023年ごろです。その頃『ブルアカ』は既に成長中のタイトルだったため、スタジオ内のスタッフを新作に割くのではなく、並行して別の新規プロジェクトを作る必要がありました。

2023年には『ブルアカ』と違うものを作ろうと考え、生活感をコンセプトに人を集めて試行錯誤を重ねていきました。方向性が固まったのは2023年の年末ごろで、本格的に開発がスタートしたのは2024年の頭からです。実際の開発期間としては、2年くらいです。

ーーキム・ヨンハ氏とミツキヨ氏のおふたりは、『ブルアカ』でも関わられています。今回、再び協力するようになったきっかけを教えてください。

キム・ヨンハ:『ブルアカ』で一緒に音楽を作っていった経験がとても印象的で、作品のコンセプトに合わせて素晴らしい楽曲を手掛けてくれました。『ファレイドリア』でもご一緒したいと思い、「異世界ホームステイ」のテーマや、親近感や生活感をミツキヨさんならうまく表現できるという信頼感があり、作品にも非常にマッチすると考えていました。

ミツキヨ:2019年ごろから『ブルアカ』の仕事を一緒にさせていただいて、そこから生まれた信頼感があります。2024年に新作を開発しているというお話を聞きましたが、その時はまだ『ブルアカ』の延長線上にあるような、SFやFPSといった作品になるのではと想像していましたし、(自分じゃない)どんな方を紹介できるか考えていました。

その時に声がかかり、喫茶店に呼び出されました(笑)。実際にお茶を飲みながら、「次の作品も一緒にやってくれないか」という話が出た際には5秒もかからず、「ありがとうございます!」と即答しました。

キム・ヨンハ:SF作品じゃなくて良かったんですか?

ミツキヨ:そもそも、私が専門としていたのはジャズピアノです。『ファレイドリア』では自分の得意な分野を活かしながら要素を取り入れることができました。

ーーちなみに、おふたり最初に出会ったのはどういったきっかけがあったのでしょうか。やはり『ブルアカ』からだったのですか?

キム・ヨンハ:2019年に『ブルアカ』のお仕事で初めてお会いしたとお話ししましたが、それ以前から知っていました。作品にどのような音楽が合うかを考えているときに、音楽サービスのSoundCloudでミツキヨさんを見つけたんです。

ミツキヨさんが作る音楽はゲームの中でも非常に印象に残りますし、作品の雰囲気や“青春らしさ”をうまく表現してくれる方だと思ったので、お願いしました。

ミツキヨ:私は『ブルアカ』がリリースされるより前、『魔法図書館キュラレ』という作品の曲を通じてキム・ヨンハさんのことは知っていました。大学時代、長い坂道を歩きながら曲を聴いていた思い出があります。

当時は学生だったので、こうして一緒にお仕事ができるとは思っておらず、後から連絡をいただいた時には全く迷いがありませんでした。

キム・ヨンハ:運命ですね~。(日本語で)

ーーこれまで、雰囲気など『ブルアカ』と『ファレイドリア』の異なる点をお話しいただきましたが、その他に差別化している点や、逆に要素を取り入れている部分などはありますか。

キム・ヨンハ:継承されている部分といえば、「キャラクターを重要視している」点と、「美少女がいる異世界」という点です。一方の差別化をしている点は、「関係性や観点の違い」です。

『ブルアカ』ではプレイヤーが先生として学生を導くなど責任のある立場ですが、本作では「一緒に住んでいる友達のような感覚」を表現することに力を入れています。

ミツキヨ:どちらかと言うと、『ブルアカ』は電子音や「フューチャーベース」というジャンルを基調に、ダンスミュージック系の楽曲が多く採用されています。『ファレイドリア』では一緒に住むというところから、「Lo-Fi」というジャンルを基本としています。

ただ、ありふれたものにはしたくない気持ちがあって、Lo-Fiのなかでも『ブルアカ』の電子音の要素を取り入れてみたり、作曲家としての個性を混ぜてみたりと、新しいジャンルとして確立することを目指しています。

キム・ヨンハ:非常に多くの曲が、本作には登場します。

ーー具体的には、どれくらいの曲が登場するのでしょうか?

キム・ヨンハ:『ファレイドリア』では現在70~80曲ぐらいありますし、これからもたくさん曲を増やしていきます。

ーーリリース前でそんなに……。一般的な作品では、どれくらいの曲数なのでしょうか。

キム・ヨンハ:一般的には、発売の段階で30~40曲程度で流用していくことが多いです。『ブルアカ』では数百曲に達しています。

ミツキヨ:『ブルアカ』は400近い曲が登場しますが、これは非常に稀なケースです。昔のゲームは、フォルダ内にどれくらいの曲が入っているのかが見られましたが、多くても50曲程度でした。

『ブルアカ』では同じ場面であってもキャラクターの感情によって曲が変わるなどのバリエーションもありますし、作曲家としては光栄です。『ファレイドリア』も同様に曲数を増やしていく予定で、できれば1,000曲ぐらいまで作りたい気持ちがあります。

ーー本作では、Unreal Engine 5を採用されています。なぜ今回このゲームエンジンを採用したのでしょうか。

キム・ヨンハ:社内にUnreal Engineを使えるプログラマーが多く在籍しており、『ブルアカ』はUnityでしたが今回はUE5で作ってみたいという声が多くありました。『ブルアカ』の世界を引き継ぐのであればUnityのままでも良かったのですが、違った新しいものを作るためにUE5を採用しています。

ーー私も遊ばせて頂いたのですが、キャラクターやカットシーン、空気感の表現が印象的でした。

キム・ヨンハ:おっしゃる通り、カットシーンや空気感などを表現するために、いままで試したことがなかったような新しいオーダーなどもしています。

ユーザーにとって重要なのは、何のエンジンを使っているかというよりは、私たちが表現したいコンセプトや空気感がどれだけうまく伝わるかどうかの部分です。UE5は、その表現に必要な機能を多く持っています。

ーー作品の世界設定や雰囲気について、本作では戦闘だけでなく穏やかな日常やキャラクターとのやりとりもよく見られます。この世界を作るにあたって意識したポイントはありますか。

キム・ヨンハ:さきほどもお話しした“空間の実体感”もそうですが、キャラクターの実在感(プレゼンス)も重要視しています。以前、VRのゲームを制作した際に「どのようなインタラクションにするのか」「しっかりとそこに存在しているように見えるにはどうするべきか」という点で研究を重ねていました。

今回初めてお見せした音声認識をふくめ、技術的に実在感を表現するためにさまざまな工夫をしています。

ーー本作の音声認識ではキャラクターに声をかけたり、音声で選択肢を選んだり出来ましたね。

キム・ヨンハ:本作ではキャラクターとの距離感や、親密さを身近に感じてもらいたいと考えました。UIを操作するのではなく、自然にコミュニケーションがとれる形にしたいと思っており、実際に今回体験された方からも好意的な反応を多く頂いています。

ミツキヨ:サウンド面での違いだと、『ブルアカ』と場面の構成が大きく異なっている点も特徴です。本作では探索や戦闘で異常現象が発生しますが、サウンドではミステリアスさや不穏な感じが溶け込んだ世界を表現していますし、これは私の得意分野でもあります。

ーー確かに、本作ではバトルや黄昏館での交流などさまざまなシチュエーションがあります。シチュエーションごとの工夫についてお聞かせください。

ミツキヨ:黄昏館での生活では、さまざまなインタラクションや場面が存在しています。例えば恋に落ちそうな、親密な場面であれば甘い雰囲気の曲が流れますし、くつろぐ場面では本当にそこに座って音楽を聴いて過ごしているような、日常感を感じられるような表現をしています。

戦闘面では緊張感を最優先に押し出すのではなく、あくまでも雰囲気や感情をサポートするような補助的な役割を果たしてくれます。今回は1曲のみでしたが、別の戦闘BGMもたくさん用意していますよ。

ーーさきほど、本作には70~80曲の楽曲が登場するとのお話がありました。どの曲もイチオシだとは思うのですが、お二人が特に聴いてほしいという曲や、お気に入りのものがあれば教えてください……!

キム・ヨンハ:黄昏館の中ではリラックスできる曲が流れているのですが、それが今のところこの作品に一番合っていると感じています。たくさんの候補のなかから選ばれた曲で、今後も曲がたくさん作られて変わるかもしれませんが、いまは一番です。

ミツキヨ:同じ曲を私もおすすめしたいです。私はピアノが得意で他の楽器は基本的なレベルですが、『ファレイドリア』にはクラシックギターを演奏した曲がいくつか存在し、心地よさをうまく表現できていると思っています。

また、現在は公開されていない曲なのですが、数ページにわたる長い戦闘BGMも注目して聴いてもらいたいと思っています。本作における戦闘を最もよく解釈して反映させた曲で、再生するポイントや雰囲気が大きく変わります。公開されたら、ぜひご紹介したいです。

ーー本作のバトルシステムについて、単純なターン制の戦闘だけでなく、キャラクターの位置取りやスキルの選択など、戦略面が重要と感じました。こういった設計にした理由などはありますか。

キム・ヨンハ:作品の雰囲気に対して、ストレスを感じてしまうようなアクションのバトルシステムは合わないと感じていました。そのためにターン制のバトルを採用しましたが、ただ交互に攻撃するだけでは面白みに欠けるため、現在のような、キャラクターの移動が行える形式の戦闘システムになりました。

キャラクターごとのスキルや個性だけでなく、位置による戦略性も重要になってきますし、実際に戦っているような、入り混じる感覚が味わえます。今回の試遊では短い戦闘のみでしたが、今後は状況が変わっていく点をお見せできるかと思います。

ーー現時点で、今後の展開についてお話しできることがあれば教えてください。また、『ファレイドリア』をどのような作品にしていきたいですか。

キム・ヨンハ:今回のTGSは『ファレイドリア』がどのような構成のゲームなのかを紹介する場だったと考えています。実際に日本のユーザーからフィードバックを頂けるのが重要で、それらを反映してより完成度を高めつつ、そう遠くない未来にしっかりとした新しいバージョンを皆さんにご紹介できればと思っています。

その時には、世界観やストーリーなどまだお伝えしきれていない部分も一緒に紹介する予定です。

ミツキヨ:サウンド面では、『ブルアカ』では基本的にPCで制作を行っていたため、実際に演奏するのが難しいような曲もありました。一方の『ファレイドリア』では曲を聴くだけでなく、実際に演奏して楽しんでもらいたいですし、ライブコンサートのような場も設けられたらと思っています。

キム・ヨンハ:ライブ、お願いします。(日本語で)

ーーライブ、是非お願いしたいです(笑)。最後に、ユーザーへのメッセージをお願いいたします。

キム・ヨンハ:『ブルアカ』を通じて私たちを知っている人も多くいると思いますが、『ファレイドリア』はまったく新しい別のタイトルとして開発を進めています。もちろん『ブルアカ』もこれからずっと作り続けていきますし、並行して楽しめるタイトルとして準備を重ねているので、今後も期待と応援をよろしくお願いします!

ミツキヨ:ゲーム音楽の作曲家として、これまでゲームは残っても、その作品の音楽が残らないケースを多く見てきました。ありがたいことに『ブルアカ』ではサウンド面でも多くの方に注目していただき、今後もしっかりと作っていきたいです。

これからも皆さんが楽しめる曲をたくさん作って行きますので、ぜひ楽しみにしていてください。

ーー本日はありがとうございました!


『ファレイドリア』はPC、モバイル、コンソール向けに今後リリース予定です。

ブルーアーカイブ オフィシャルアートワークス: 4
¥4,312
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《kurokami》

チャーシュー麺しか勝たん kurokami

1999年生まれ。小さい頃からゲームに触れ、初めてガチ泣きした作品はN64の『ピカチュウげんきでちゅう』です。紅蓮の頃から『FF14』にどハマりしており、Game*Spark上ではのFF14関連の記事を主に執筆しています。

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