元カプコン吉川達哉氏の個展「Xv」レポート&インタビュー。作品に込めたこだわりから、絵を描き続ける“修行”の理由まで聞く

吉川達哉個展「Xv - Tatsuya Yoshikawa Art Exhibition」レポート&インタビューをお届け!

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元カプコン吉川達哉氏の個展「Xv」レポート&インタビュー。作品に込めたこだわりから、絵を描き続ける“修行”の理由まで聞く
元カプコン吉川達哉氏の個展「Xv」レポート&インタビュー。作品に込めたこだわりから、絵を描き続ける“修行”の理由まで聞く 全 25 枚 拡大写真

『ブレス オブ ファイア』や『デビル メイ クライ』などのシリーズで知られる、元カプコンのイラストレーター・キャラクターデザイナー吉川達哉氏の個展「Xv - Tatsuya Yoshikawa Art Exhibition」が、10月16日~19日まで渋谷・MIYASHITA PARK内のGAAAT GALLERYで開催中です。

本記事では初日10月16日の展示会の様子や、会場で吉川氏からいただいたコメントなどを掲載します。

◆吉川氏の発想と構図に注目したいイラストが満載

吉川氏は1992年にカプコンへ入社し、『ブレス オブ ファイア』シリーズや『デビル メイ クライ 4』『デビル メイ クライ 5』『ラストランカー』『ロックマンX8』などでメインキャラクターデザインやビジュアルアートを担当。2011年の独立後も、『野狗子: Slitterhead』のキャラクターデザインなど、幅広い分野で活動を続けています。

展覧会のタイトル「Xv」には、吉川氏の独立15周年を示すローマ数字の「XV」と、SNSのXで続けてきた活動という2つの意味が込められています。本展では、独立から15年を迎えた節目にXで発表してきたイラストを中心に全14作品を展示。GAAAT独自の「Metal Canvas Art(MCA)」によって、イラストを普段とは異なる形で楽しめます。

◆X投稿時とは異なる質感のイラストは必見

「雷音」は、吉川氏がXで発表したイラストのなかでも、初めて1万件の「いいね」を獲得した作品。キャプションによると試行錯誤を続けていたなかで、本作でようやくX向けのイラストの方向性を見つけられたと振り返っており、自分が描きたいオリジナルキャラクターを、原始的なテーマとともに表現した作品とのことです。

雷音
雷音 弐
Blank Angel

続く「雷音 弐」では、前作と引き続きの女性が大声で叫ぶ姿を描いています。キャプションでは、かわいらしさと格好よさを両立させながら、全力で叫ぶ女性を表現する難しさについても語られています。キャラクターの魅力だけでなく、吉川氏がどのような点に苦心したのかを知ることで、作品を違った角度から楽しめます。

メイドの拳
RED
赤鬼青鬼

「赤鬼青鬼」は、鬼のシリーズの一作で、神仏習合の要素や狛犬から着想を得たこと、赤鬼と青鬼を対になる存在としてデザインしたことが説明されています。角の数などに違いを持たせた2体は、もともと別々に発表されたイラストを展示にあわせてひとつにまとめたものとのこと。作品が生まれた背景を知ると、対比を意識したデザインにも目が向きました。

RED & WHITE
降臨エンジェル
狼喰い羊

「狼喰い羊」は、「羊の皮を被った狼」という言葉を反転させた発想から生まれたとのこと。コウモリのシルエットは当初のイラストにはなく、展示会に向けて後から追加したものだそうです。「Parfaitel」は、異色のパフェとムカデの百本の脚を組み合わせた「盛々」なコンセプトが説明されており、X向け投稿イラストではなく展示会用に制作した作品のため、バストアップなど切り抜き方を変えても印象的に見えるよう考えられています。

Parfaitel
MELTED RED
Devil Duck

特に筆者が印象的だったのは、猫のようなポーズを取る「三毛化け猫娘」です。実際に目にして驚いたのが、Metal Canvas Artによって生まれた立体的な凹凸で、画面上のイラストでは伝わりにくい表面の起伏が感じられ、キャラクターの造形をいつもとは違う形で楽しめました。

三毛化け猫娘
RED PINK

作品ごとのキャプションには、モチーフを思いついた経緯や構図を工夫した理由、制作時に難しかった点などが記されています。完成したイラストを見るだけでなく、吉川氏自身の言葉を通じて制作の裏側を知ることができるのも、本展の魅力でした。

なお、作品だけではなくイラストを使用したグッズも販売されています。また、MCA作品は数量限定で、再販は予定されていません。10月20日~11月3日まではオンラインでの受注販売も予定されています。ラインナップと価格は以下のとおりです。

Tシャツ
ポストカードセットA
ポストカードセットA
ポストカードセットB
ポストカードセットB
  • アクリルブロック:3,850円(税込)

  • Tシャツ:7,150円(税込)

  • ポストカードセット:各1,650円(税込)

  • フレークシール:1,650円(税込)

  • エコバッグ:3,850円(税込)

  • 各種ステッカー:550円(税込)

  • てぬぐい:2,750円(税込)

◆吉川達哉氏に個展開催について直撃!

吉川達哉氏

――まずは個展の開催おめでとうございます。会場に作品が並んだ様子を見て、どのような感想を持ちましたか。

吉川:GAAATさんの特殊印刷だからこそ実現できた表現が、実物にも表れていると感じました。昨日、自分の絵の実物を初めて見たのですが、美術館に行ったような感覚で、自分の絵なのに、まるで他人の作品を見るように楽しめました。想像していた以上に多くの情報が盛り込まれていて、嬉しかったですね。

――今回の個展のタイトル「Xv」には、独立15周年とXでの活動という意味が込められているそうですが、詳しく聞かせてください。

吉川:ストレートな意味では、Xと15周年の「XV」です。XVは数字の15を表していますが、ビジュアルや、旅路を意味する「Voyage(ボヤージュ)」のようなイメージなど、グラフィックアートと自分がこれまでしてきたことを考えたときに、「V」との親和性を感じたんです。

またタロットカードで、大アルカナの15番は「悪魔」を表します。欲望や執着、誘惑などを象徴する強烈なインパクトのあるカードで、今回の展示作品にも堕天使や悪魔をモチーフにしたものがあるので、そうしたイメージとも合っていたように感じています。

――今回の展示作品は、「修行」の作品と位置づけられています。Xにイラストを投稿すること自体にも、そうした意味合いがあるのでしょうか。

吉川:今でもXに絵を投稿するのは、すごくプレッシャーのある行為だと思っています。下手な絵は上げにくいですし、自分が納得できていない絵も上げられませんが、何もしないのもおかしい。そうしたストレスやプレッシャーがあるなかで、自分の制約や求めるものをある程度乗り越えた作品を出さなければいけません。自分自身、少しでも上手くなりたいという思いも込めて「修行」と呼んでいます。

――今回展示されている14作品で、特に思い入れがある作品はありますか。また展示作品はどのように選定されたのですか。

吉川:全部に思い入れがありますね。どの作品もハードルを越えるためにストレスを乗り越えてきたので、自分のなかでは上下をつけられないくらい、どれも大変だった思い出があるので、どれかひとつを選ぶのは難しいです。

実は、もっとたくさんの作品を候補にしていましたが、今回はスケジュールの都合もありますし、Metal Canvas Artの印刷技術も、簡単に一枚ずつ作れるものではありません。そうした兼ね合いもあって、14作品を絞りました。またGAAATさんからも、Metal Canvas Art技術との相性がよい作品について情報をいただき、なかにはGAAATさんから「こういう表現を試してみたい」と提案していただいたことで選んだ作品もあります。

――今回採用されたMetal Canvas Artについて、GAAATさんとの制作時にはどのようなやり取りがありましたか。

吉川:基本的にはお任せしている部分が多いですね。事前にほかの作品を見て、安心してお任せできると思っていましたから、「餅は餅屋」という感じで期待のほうが大きかったです。

一方で、僕のほうから「こういうことはできないか」と、たくさん質問していました。アルミにプリントしていると聞いて、車の塗装を思い浮かべたんです。車の塗装には多様な表現があるので、そうした技術を採用できないかなど相談させていただきました。

――展示にあたっては、Xで公開されていたイラストにも手を加えたそうですね。

吉川:Xに投稿する段階でも、一枚の作品として完成させることを目指して描いています。ただ週末で仕上げている作品も多いので、制作データが整理されていないこともあるんです。「このタッチが足りないからレイヤーを追加しよう」といった作り方をすることもありますし、細かい部分の完成度が十分ではない作品もあります。

今回は展示用の完成品として、レイヤーを整理したり、塗りが甘い部分を調整したりしました。作品をほかの方に提出する際に必要な仕上げを施した、ということですね。細かな違いではありますが現地に来られたファンの方は、「ここは調整されているな」と感じる部分もあると思います。

――これまでゲーム関連の仕事を多く手がけられてきましたが、ゲームのキャラクターデザインと、SNSへの投稿や個展に向けた個人制作では、取り組み方にどのような違いがありますか。

吉川:SNSに投稿している作品は2日ほどで描くものが多く、ゲーム制作の現場で行うキャラクターデザインの工程は踏んでおらず、ほぼ自分の好みと本能で描いています。

ゲームの現場で主人公のデザインを決める場合、長ければ半年ほどかかることもあります。2日で描く作品に、そうした意味でのキャラクターデザインはできません。これまで培ってきた知識や経験を、自分の好みの形にぎゅっと凝縮する作業に近いですね。

――初めての個展を経て、次に挑戦したいことや、表現として広げていきたいことはありますか。

吉川:やはり、もっと上手くなりたいです。絵を描くたびに、何かひとつでも上達できるようなことをしていきたいですね。

――今回選ばれなかった作品も、今後こうした形で展示してみたいという思いはありますか。

吉川:ぜひ今回選ばれなかった作品も、こうした形で展開してほしいですね。普段、自分が制作しているイラストは最大でもA4くらいのサイズなので、今回のようにA3サイズになると、僕自身も楽しみが増えます。

――最後に、会場に足を運ばれる方やファンに向けてメッセージをお願いします。

吉川:普段からXで僕の作品を応援してくださっている方には、投稿されていたイラストがキャンバスになると、どのような表現になるのかを実際に確かめて、楽しんでいただけたら嬉しいです。またこれからも引き続きXで、絵を投稿していきます。ゲーム関連の仕事を含め、さまざまな作品で絵を描く機会があると思いますので、これからも応援していただけると嬉しいです。


吉川達哉個展「Xv - Tatsuya Yoshikawa Art Exhibition」は、10月19日まで渋谷MIYASHITA PARK South 3階「GAAAT GALLERY」にて開催中。

詳細は特設サイトをご確認ください。

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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《SIGH》

RPGとADVに強いと自称するライター SIGH

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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