
先日10月22日、スクウェア・エニックスから『ファイナルファンタジー レゾナンス』が発売されました。
この作品は「もしも、FFシリーズがドット絵のまま進化したら?」というテーマで開発され、3DCGをピクセル化する『シネマティックピクセル』の技術が活用されています。そのため、グラフィックは現代的な迫力とどこか懐かしいピクセルが融合し、極めて新鮮な映像表現が繰り広げられています。
しかし、FFの歴史を振り返ってみると、ある時期までこのシリーズは「王道の2DグラフィックRPG」であり、それ故にシリーズ初の本格3D作品である『ファイナルファンタジーVII』は巷にセンセーショナルを与えたという流れがあります。90年代は「FF=平面的なドット絵」という常識だったのです。
この記事では、『ファイナルファンタジー レゾナンス』をプレイしながら古き良き90年代のFFシリーズを少しだけ振り返っていきたいと思います。
◆特徴的なデフォルメキャラが大活躍するRPG
FFシリーズの記念すべき第1作『ファイナルファンタジー』の発売日は、1987年12月18日。対応ハードはファミリーコンピューターです。
この時代はRPGブームが発生し、各サードパーティーがエンカウント型RPGを続々と開発していました。その中には斬新な発想で新たなフォーマットを確立させた作品、奇抜なアイディアでユーザーの記憶に刻まれた作品、そして残念ながら「クソゲー」と烙印を押されてしまった作品も存在します。
『ファイナルファンタジー』の場合は、「モンスターとのエンカウントを回避できる乗り物」「モンスターの弱点を突く戦い方」「精緻な地形描写」「自由度の高いジョブシステム」などが盛り込まれ、結果的に名作の評価を得るに至りました。しかし、初代ファイナルファンタジーで注目すべきはUIです。戦闘時にはデフォルメされた操作キャラが画面右側に並び、モンスターと横軸で向かい合っているという仕様はこの時から存在します。

もっとも、現代の10代や20代には「デフォルメキャラが横軸で向かい合う戦闘」という表現自体が通用しないかもしれません。
FFシリーズのパッケージイラストと言えば、天野喜孝先生が手掛けた繊細なタッチのゲーム登場キャラ。ですが、実際のゲームグラフィックに登場するキャラは上述のようにデフォルメされています。80年代生まれ90年代育ちの人にとっては懐かしい、二頭身キャラです。ですが、それを見て「パッケージと全然違うじゃないか!」と言っていた人は、筆者の知る限り皆無。むしろ、各キャラの特徴をよく捉えた絶妙なデフォルメになっていて、ゲームの世界観に没入するのに十分な説得力を帯びていました。
◆エンカウントのタイミングが分かる仕様に感謝!

さて、ここで『ファイナルファンタジー レゾナンス』をプレイしてみましょう。
筆者がまず驚いたのは、グラフィック。遠目で見るとドット絵には見えず、しかしちょっとしたきっかけで「あっ、これもしかしてドット?」と思わせてくれる仕上がりになっています。画面に飛び散る火の粉が、よく見れば真四角だったり……。

登場キャラは往年の二頭身よりも足が長く、三頭身か四頭身になっています。しかし、キャラが画面右側に配置される戦闘時のUIはしっかり引き継がれ、そんな可愛らしいキャラに襲いかかるモンスターの不気味さも90年代のFFシリーズそのもの。そんな中で、キャラクターボイスがついていたりキャラの立ち絵が用意されている点は「30年分の技術的進化」の証。
小学生の頃にスーパーファミコンのFFシリーズに熱中していた筆者は、『レゾナンス』のとある点に目を奪われてしまいました。それは、フィールドやダンジョン探索時に画面右側に現れるミニマップ。青→黄→赤の順に変化し、エンカウントが近くなっていることを知らせてくれる機能が実装されています。いつモンスターと鉢合わせるのか分からない仕様のRPGを子供の時分に何本もやっていた筆者にとって、これはむしろ新鮮! 逆に言えば、今の若者がエンカウントのタイミングが可視化されないソフトを楽しく遊ぶことは難しいのでは……?
◆「昔のままの操作性」を求める40代

そんな具合に、『レゾナンス』は90年代育ちの四十路の少年でも楽しく遊べることが判明しました。
ですが、こうした感じで今現在の40代が特に違和感なく遊べる作品というのは、リマスター版を除けば決して多くないのではとも思います。
筆者の小学校以来の幼馴染が最近言っていたことですが、現在のゲームは操作の仕方やルールが複雑になり過ぎて、それを覚えるだけで時間がかかってしまうとのこと。もちろん、彼はそうした作品を否定しているわけではないのですが、どのみち90年代に少年時代を送った者にとっては2020年代のゲーム環境は理想とは言い難い……と電話口で溜め息をついていました。
実際問題、そう考えている人は少なくないのではないでしょうか。

あの頃と同じ戦闘システム、あの頃と同じデータセーブ機能、あの頃と同じ操作性、そしてあの頃よりも進化したグラフィック。『ファイナルファンタジー レゾナンス』は、毎日せわしく働く大人の隙間のひと時を彩ってくれる作品と言えます。




