オークに変装して敵の目を欺いたら、囚人に襲われて返り討ちに! スイッチ版『火吹山の魔法使い』で味わった判断と結末の連続─人はそれを“冒険”と呼ぶ【プレイレポ】

名作ゲームブックのデジタルゲームが、ようやく家庭用ゲームに登場しました。JRPGとは趣が異なる冒険譚を、こちらでがっつりとご紹介します。

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オークに変装して敵の目を欺いたら、囚人に襲われて返り討ちに! スイッチ版『火吹山の魔法使い』で味わった判断と結末の連続─人はそれを“冒険”と呼ぶ【プレイレポ】
オークに変装して敵の目を欺いたら、囚人に襲われて返り討ちに! スイッチ版『火吹山の魔法使い』で味わった判断と結末の連続─人はそれを“冒険”と呼ぶ【プレイレポ】 全 33 枚 拡大写真

◆敵の行動を読み、相手の裏を突け! 火吹山での戦闘も、「判断」が大事



前述の通り、選択肢とその結果の連続で味わえる冒険感は、『火吹山の魔法使い』の大きな魅力のひとつ。しかし、特徴的な点はそれだけではありません。冒険に付きものの「戦闘」も、本作で大きなウェイトを占めている要素のひとつです。

オリジナル版では、「技術点+サイコロの目」を比べ合い、負けた方が2点のダメージを受け、どちらかの体力が0になるまで繰り返す──というシンプルな戦闘でしたが、本作ではマス目上に自分と敵が配置され、移動や攻撃範囲を活用するタクティカルバトルが行われます。


オリジナル版と比べるとルールが複雑化しており、「もっとシンプルな方がよかった」と思う方がいるかもしれません。ゲームブックファンの中には、戦闘が発生しても“自動的に勝ったことにして先に進む”というスタイルで遊ぶ人もいたので、該当する方は余計に本作の戦闘を煩わしく感じるでしょう。


しかし、ただのタクティカルバトルと決めつけてしまうのは早計です。本作のバトルは、「敵と味方が同一ターンで動く」「移動と戦闘を同時に処理する」「攻撃する相手ではなく、攻撃するマスを選ぶ」といった、本作ならではのルールがいくつかあり、これがバトルに緊張感を生み出しています。


戦闘自体はターン制ですが、敵も味方も同時に行動し、移動・攻撃が順次行われます。そして、攻撃対象は「敵」ではなく「マス目」なので、敵がいる場所を指定しても、先に移動されてしまったらあえなく空振り。逆に、敵の移動を予測してマス目を指定し、その予想が当てはまれば、移動に専念していた敵は自動的にダメージを食らいます。

敵の移動や攻撃などの判断は、観察しているとある程度読めてくるので、上手く立ち回ればノーダメージで勝利することも間々あります。反面、ゴリ押しで攻撃し続けてもさほど効果的ではないので、戦闘においてもしっかりとした判断が求められます。


ちなみに、お互いの攻撃がぶつかり合った時は、技術+サイコロ2個の出目を合わせ、その合計値を比較。そして負けた方がダメージを受けるという、オリジナル版の要素も盛り込まれています。


その一方で、敵の移動に合わせて攻撃する場合は、技術は無関係でダイレクトにダメージを与えることが可能。この立ち回りを活用すれば、技術が低めのキャラクターでも充分戦えるので、その懐の深さはオリジナル版を超えています。手間は増え、戦略性と対応の幅が広がった──これを好むかどうかは人によって分かれると思いますが、バトル面でも判断と結果を積み重ねていくのは、ゲームとしての一貫性を感じますし、個人的に全然アリだと感じました。



独特の魅力に溢れる一方で、見逃せない注意点もいくつかアリ。
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《臥待 弦》

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