日本酒はカジュアルに楽しめないと飲み手がいなくなる?擬人化ゲームアプリ『萌酒ボックス』を遊んで感じたこと

2019年11月18日配信開始したゲームアプリ『萌酒ボックス』は、全国に実際にあるお酒の擬人化キャラクターが登場する酒造りシミュレーション&タワーディフェンスゲームです。

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茶叶小果(Twitter:@chaye_cosplay)/撮影:乃木章
茶叶小果(Twitter:@chaye_cosplay)/撮影:乃木章 全 18 枚 拡大写真

■萌え絵は日本酒と相性良い?


これまでも、萌え絵に合わせて造られた日本酒やラベルだけを萌え絵に変えた日本酒はありました。

例えば、静岡県静岡市にある「鈴木酒店」は、アニメやゲームが大好きな店主・鈴木誠さんが一部の地酒に自作萌え絵ラベルを貼って販売しています。また、埼玉県ではアニメや漫画の舞台になった地への聖地巡礼を観光誘致として打ち出しており、版権作品のラベルに貼り替えて販売する酒蔵もあります。

萌え絵がライト層を取り込む試みであるのは間違いありません。作品のファンである観光客にも手にとってもらいやすくなった点は、カジュアル化の成功と言えるでしょう。

■日本酒のカジュアル飲みはいかがなもの?


日本酒は日本人に親しまれてきましたが、近代になって日本に入ってきたワインやビール、シャンパンなどが若い世代に歓迎されているのが現状です。

日本酒は昔の味から変わらないというイメージが持たれています。しかし、日本酒は世界で最も複雑な製造工程で造られており、若い世代の味覚に合うトレンドを取り入れつつ、進化を続けているのです。「獺祭」や「新政」などは日本酒を飲まない人でも聞いたことがあるかもしれません。フランスやアメリカなど海外でも日本酒の評価は年々高まっているのです。

茶叶小果(Twitter:@chaye_cosplay)/撮影:乃木章
茶叶小果(Twitter:@chaye_cosplay)/撮影:乃木章

「現代の日本酒の味わい」を知ってもらうには、若い世代に気軽に日本酒を手に取ってもらう必要があります。しかし、実際には年長者に日本酒を教えてもらう場合、ウンチクや飲み方のルールを押し付けられることは少なくありません。年長者が良しとする飲み方を否定するつもりはありませんが、若者に合ったカジュアルな飲み方はダメなのでしょうか?

キングショップ誠屋
「酒専門店 キングショップ誠屋」

埼玉県鶴ヶ島市で40年以上酒屋を営む「酒専門店 キングショップ誠屋」店主・眞仁田清さんは、「お酒を飲む時は気心しれた仲間内で飲むのが一番楽しいように、同じ価値観を共有した人同士で好きに飲んで良いと思います」と語りました。

悪酔いなど周りに迷惑をかけないようにさえすれば、日本酒の飲み方に制限はないのです。飲む時は着物やスーツでなければいけないとか、このお酒はこのグラスや温度帯で飲むとか、気にせずに楽しんで飲みましょう。それこそ、ロリータ服を着て酒屋に入り、日本酒を試飲しても誰かに咎められるいわれはないのです。

茶叶小果(Twitter:@chaye_cosplay)/撮影:乃木章
茶叶小果(Twitter:@chaye_cosplay)/撮影:乃木章

■日本酒ゲームの懸念と可能性


日本酒は歴史が長いだけに擬人化や物語作りと相性が良い反面、問題になるのは「味」です。現在全国には約1,400の酒蔵があり、約2万種類以上の日本酒があります。一つとして同じ味わいがないのできっと好みの銘柄に出会えるでしょう。

『萌酒ボックス』では酒蔵や地域の特性を汲み取って、キャラクターがデザインされています。本作の人気が高まり、酒蔵を招待したリアルイベントが開催される形が一つの理想形ですね。



『萌酒ボックス』は、基本プレイ無料のアイテム課金制で配信中です。


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《乃木章》

現場に足を運びたい 乃木章

フリーランスのライター・カメラマン。アニメ・ゲームを中心に、親和性のあるコスプレやロリータ・ファッションまで取材。主に中国市場を中心に取り上げています。

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