やたらと釣れる大型魚
こんにちは。生物ライターの平坂です。
最近は趣味の魚釣りも自粛中で、かわりに自宅にいながら『あつまれどうぶつ森(以下、あつ森)』にて釣りを楽しんでおります。
『あつ森』では池・川・海と竿を出す水辺によって釣れる魚が変わってきます。さらに魚のサイズに合わせて水面に浮かぶ魚影の大きさも変化します。
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ゲームの中はいえ、大物が釣れるとなればワクワクするもの。
さあ今日も海辺で巨大な魚影を発見!シーラカンスかリュウグウノツカイか!?とスイッチを握る手にも力がこもります。そして見事に釣れた魚は……!
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「あー、またスズキ……。」
…この流れ、あつ森プレイヤーならみなさん経験してますよね。
スズキが釣れてガッカリする理由は、ひとえにやたらと釣れるせい。他のレアな大型魚を狙っていてもスズキばっかり釣れてしまうのです。
しかも一年中、それも昼夜を問わず釣れるのでその顔を見る機会の多いこと多いこと。
ゲーム内では釣った魚を売却してお金に換えることもできますが、スズキの売値は400ベルとさほど高くもありません…。
こんな理由で『あつ森』プレイヤーから疎まれているスズキですが、ホントはとってもイ~イ魚なんですよ!
ゲームフィッシングの好ターゲット!
まずプレイヤーを落胆させる「ちくしょー!でっかい魚見つけたのにまたスズキかよ!」問題についてですが……。
大きいのにしょっちゅう釣れる!たくさん釣れる!……それって魚釣りをする上ではとてもステキなことなのでは?
スズキは大きな物で全長1メートル、体重10キログラムに達します。なかなか立派な大型魚ですが沖縄や北海道を除く日本各地に分布しており、河口や港湾など人々の身近にも多数生息しているのです。
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数が多いと言ってもこうした特大サイズはそうそう釣れませんぜ。
むしろコンクリート護岸や橋脚、常夜灯に工場のバースといった人工的な環境を好むため、都会の海でも出会いやすい魚といえます。
事実、スズキの漁獲量で日本一を誇るのは東京湾なのですから。
さらにスズキは肉食魚で、生きた小魚をアグレッシブに追いかけ回して捕食します。この習性を利用してルアーを使ったゲームフィッシングのターゲットとしても非常に高い人気を博しています。
どこにでもいて誰でもチャレンジできること。
大きくて引きが強く、時にはド派手にジャンプしてまで抵抗すること。
そして初心者でも釣れるけれど、やはり経験や腕前の差が如実に釣果へあらわれること。
……このあたりが釣り人的にはたまらない要素となっているようです。スズキばかりを専門に狙う釣り人も多く、中には「スズキ以外の魚には興味がない」という『あつ森』勢とは真逆の釣り師もいるほどです。身近だけれど奥が深い魚なんですねえ。
そんな素敵な大型魚があちこちにたくさん泳いでいるというのはなんとも出来すぎた話です。気の利く魚ですねえスズキってやつは!
かっこいいし、なんてったって美味い!!
そうそう見栄えもいいんですよ、スズキは。均整のとれたスレンダーな魚体はいぶし銀に輝き(この煤けたような体色から煤き[ススキ]→スズキという名があてられたという説もあります)、顔立ちも精悍……。いや、文句なしにかっこいい魚ですよ、こいつぁ。
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しかも外見だけじゃなく中身というか内面もいい!
……はい、味のことです。スズキという魚を語る上で味の話は外せません。
スズキは典型的かつ上質な白身魚です。その味は爽やかながらも旨味や甘味がくっきりとしており、誰からも好まれる上品な味の魚だと言えるでしょう。
塩焼き、煮つけ、ポワレやムニエルなど、どう料理してもおいしい魚ですが、特に刺身がおすすめ。新鮮なうちに薄造りや洗いにして爽やかな歯ごたえを楽しむもよし。
サクのまま冷蔵庫で数日間熟成させ、旨味が増してやわらかくなったところを厚切りで豪快にいくのもまた美味しい!余ったら茶漬けにしてもいい!
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特に夏場、沖で獲れたスズキは抜群においしいんですよ。白身でさっぱりしているから飽きがこないのもいいんですよねえ…。
まぁ、市場で買うと状態のいいものはなかなか値が張るのでそう頻繁には食べられないんですが……。
もし僕が『あつ森』ワールドに住んでいたら…きっと毎日スズキを食べて生活しているでしょうねえ……。
だから今後はあつ森でスズキが釣れても「またスズキかよー(うんざり)」じゃなくて「またスズキかよ!?(いいなぁ……)」と受け止めることにします!
……あれ?結果的にイライラするのは一緒だったり?
まあなんにせよ釣られて、売られて、嫌われてと踏んだり蹴ったりなスズキくんですが、リアルでは長所ばっかりの人気者なんだよってことだけ覚えておいてください!
それでは僕はレア魚を釣る作業(実質、スズキを乱獲する作業)に戻ります!また来週!
■著者紹介:平坂寛
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Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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