暑い夏こそ朝夕に外で昆虫観察!でも熱中症はこわいから日が高くなったら涼しい部屋に逃げ込んで『あつ森』!
夏はリアルでもゲーム内でも、この時期にしか見られない虫たちが多数出現するアツい季節なわけですよ。カブトムシしかりセミしかり。
しかしそんな誰もが名を知る超メジャーインセクトのみならず、『あつ森』には知る人ぞ知る「イイ虫」たちが多数登場します。
今回登場するこの甲虫もまさにそれ!開発した人わかってますね~!となる虫です。
それがこの「オオセンチコガネ」。
地表を這い回っているピカピカメタリックな美しい甲虫です。
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オオセンチコガネはカブトムシやカナブンと同じくコガネムシ科に属する昆虫で、南西諸島を除く全国各地に分布しています。
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この虫の面白いところはなんといってもその美しい体色のカラーバリエーションでしょう。
どういうわけか産地によって色合いが別種のようにガラッと違ってくるのです。
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もっとも広く見られるのは『あつ森』にも登場する赤みがかったタイプです。
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しかし産地によっては緑色のものや青色のもの、あるいはそれぞれの中間型のものも見られます。
いずれもたいへん美しく、コレクション性も高いことからこの虫を各地で採集する愛好家も少なくないとか……(とはいえゲーム内での売価は300ベルとお安めですが)。
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ところで、同じコガネムシ仲間のカナブンやカブトムシは樹液を求めて木にくっついていますが、オオセンチコガネはなぜ地表に…?
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実はこの可愛らしく美しいオオセンチコガネ、動物の糞を食べるのです。
いわゆるフンコロガシの仲間なんですね。
オオセンチコガネの「センチ」とは御便所を表す古語「雪隠(せっちん)」が訛ったものとも言われます。
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えっ…。こんなに綺麗なのにう○こ食ってるの…?
と思うじゃないですか。でも意外と動物の糞や腐肉に集まる虫って綺麗なものが多いんです。オオセンチコガネしかりギンバエしかり。
不思議なものです。
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オオセンチコガネは獣糞に集まることが多いですが落ちた果実や腐肉も食べます。かと思えばカブトムシなどと同じようにクヌギやコナラの樹液に集まることもあるそうです。
意外といろんなものを食べているんですね。
しかし、幼虫は糞を食べなければ成長できません。オオセンチコガネ的にはやっぱノーウ○コノーライフなわけです。
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オオセンチコガネは『あつ森』では夏季(7~9月)限定で出現しますが、実際は春から秋まで見られます。なお、真夏は暑さを避けるため朝一番に活動することが多いです。それ以外の時間はう○この近く(あるいは○んこの真下)に掘った巣穴に潜んでいるようです。
夏の過ごし方は僕らと一緒なんですねえ。
■著者紹介:平坂寛
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Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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