「真・女神転生」を知らないあなたに届けたい!『真・女神転生III』の異色ぶり─リマスター版発売を記念し、シリーズの歴史とその特徴に迫る

『真・女神転生III NOCTURNE HD』が気になる方から、シリーズ未体験の人まで、こちらのチェックをどうぞ。

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「真・女神転生」を知らないあなたに届けたい!『真・女神転生III』の異色ぶり─リマスター版発売を記念し、シリーズの歴史とその特徴に迫る
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異色、なれど名作な『真・女神転生III-NOCTURNE』の特徴



シリーズ化した「真・女神転生」の新展開として2003年2月20日に発売されたのが、『真・女神転生III HD』のオリジナル版に当たる『真・女神転生III-NOCTURNE』(以下、真・女神転生III)です。前2作はスーパーファミコンソフトでしたが、本作のプラットフォームはPS2。描画を含め、高い性能に支えられて大きく進化した「真・女神転生」最新作として、当時大きな注目を集めました。

一目で分かる変化といえば、その見た目。これまでのダンジョン探索は、いわゆる一人称視点での3Dダンジョン形式でした。ですが本作は三人称視点で、ダンジョンもマス目による構成から脱却。3D空間のダンジョンを、自由に歩き回れるようになりました。

悪魔合体などの基本は継承した一方で、シリーズ作品ながら本作独自の要素も数多い『真・女神転生III』。そのため、シリーズ内では異端的な立ち位置に置かれることもありますが、それは決して否定的な意味ではなく、本作だけの個性として高く評価されています。

その特徴的な部分は、言うまでもなく『真・女神転生III HD』でも楽しめるので、これまで紹介したシリーズ定番の要素とは異なる独自性に迫り、『真・女神転生III』の異色さをお伝えしたいと思います。

■主人公自身が悪魔

これまでの主人公は基本的に人間で、当然魔法なども使えません。銃や剣が主な攻撃手段ですが、COMPを使って悪魔を使役することが、主人公にとって最大の攻撃方法とも言えます。


ですが『真・女神転生III』の主人公は、ある一件を経て「人修羅」と呼ばれる悪魔へと変じます。「マガタマ」を装備して悪魔の力を振るうだけでなく、主人公専用のスキルなども習得。また、コンピュータを使わずに悪魔を使役するなど、過去作の主人公とは在り方が大きく異なります。

■崩壊を通り越し、東京が“異界”に

本作の舞台も、過去作と同じく東京です。しかし、“崩壊”や“荒廃”といった程度ではなく、世界を作り替えるレベルで変異しており、かつての東京は「ボルテクス界」と呼ばれる姿に一変します。


変わり果てた東京を舞台に、様々な物語を描いてきた「真・女神転生」シリーズですが、『真・女神転生III』を超える変容ぶりは、後の作品でもなかなかお目にかかれないレベルです。

■コマンドバトルを進化させた「プレスターンバトル」

「真・女神転生」シリーズは、世界観や設定、物語に至るまで、多彩な面でその個性を発揮してきましたが、悪魔との戦いはコマンドバトルを採用しており、その点は比較的ベーシックな内容でした。

ですが、ナンバリング3作目となる『真・女神転生III』で、コマンドバトルにも大きくメスが入ります。新要素となる「プレスターンバトル」は、“敵の弱点を突くことで、行動回数が増える”といった効果があり、このシステムによってバトルの戦略性と爽快感が一気に膨らみました。

相手の弱点を突くほど有利になり、編成と戦い方によっては一方的に壊滅させることも可能。ただし、条件は敵側も同じなので、一瞬の油断であっという間に全滅する危険性も合わせ持ちます。この、爽快感と緊張感が表裏一体となったシステムが、バトルの楽しさを大きく引き上げ、本作の評価を後押しする一因にもなりました。

その影響は本作に留まらず、後のシリーズ作『真・女神転生IV』『真・女神転生IV FINAL』に受け継がれたほか、同社のRPG作品などにも影響を及ぼすほどでした(『ペルソナ』シリーズの「ワンモアプレス」や『幻影異聞録#FE』の「セッション」など)。

■話が独立しており、シリーズ未体験でも問題なし

前述したように、『真・女神転生』と『II』は直接的に繋がっています。また、後に展開する『真・女神転生IV』『IV FINAL』も物語的に密接な関係にあり、切り離して考えにくい作品となりました。

一方、『真・女神転生III』はどちらともストーリー上での繋がりはなく、単独で完結している作品です。そのため、必要な事前情報などはなく、シリーズ未体験のプレイヤーが『真・女神転生III』から遊び始めても、物語の理解度という点では全く問題ありません。


そのため、本日発売の『真・女神転生III HD』で、「真・女神転生」シリーズの一歩を踏み出してみる、という選択も十分アリでしょう。戦闘の手強さや、ストーリー展開の独特な味わいなどに衝撃を受けるかもしれませんが、そのハードルを超えた先には、本シリーズならではの面白さが待ち受けています。

■完全版とも言える「マニアクス」「クロニクルエディション」の存在

昨今では、追加要素や新たなストーリーのDLC配信などは珍しくありません。シリーズ内の展開でいえば、『真・女神転生IV』と『IV FINAL』でDLC展開が行われました。

ですが『真・女神転生III』の発売当時は、オンライン環境が今ほど広がっておらず、追加要素をユーザーに届けるためには、追加ディスクや完全版の販売などの手段しかありません。『真・女神転生』や『II』は、別プラットフォームへの移植時に新要素が加わることはありましたが、『真・女神転生III』の場合はひと味違います。


『真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス』と、タイトルも改められた完全版とも言うべきソフトが登場したのは2005年のこと。本作には、新ダンジョン「アマラ深界」や新たなエンディング、悪魔の追加など、相当なボリュームが用意されました。

しかも、「デビルメイクライ」シリーズの「ダンテ」が登場し、主人公と敵対するといった刺激的かつメーカーの垣根を越えた展開も待っており、二重の意味で「真・女神転生」ファンを驚かせました。


この「マニアクス」は好評を博し、ほどなく入手困難なソフトとして知られるようになります。その事態を改善すべく、2008年に発売された『デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王Plus』に、ダンテを葛葉ライドウに差し替えたバージョンの『真・女神転生III NOCTURNE マニアクス クロニクルエディション』が同梱されました。

・・・が、後にこの『葛葉ライドウ対アバドン王Plus』もプレミア価格になってしまい、需要の高さを裏付ける結果を残して販売が終了。そのため、「真・女神転生」シリーズファンの中にも、手を出せていない人が少なくありません。

しかし、その不遇の時代も『真・女神転生III HD』が発売されたことで、終わりを告げます。というのも、『真・女神転生III HD』の内容は「クロニクルエディション」に準じているため、追加要素部分も『真・女神転生III HD』で遊べるのです。


さらに、有料DLC(980円)の「マニアクスパック」を購入すると、葛葉ライドウをダンテに差し替えることが可能。ダンテに会いたかった方も、その夢を『真・女神転生III HD』で実現できます。




この『真・女神転生III』が発売された後に、シリーズのナンバリング展開としては『真・女神転生IV』と『IV FINAL』が登場します。こちらも独自の個性を持つ作品ですが、前述した『真・女神転生III』の特徴とは異なっており、またシリーズ全体で見ると『真・女神転生』『II』に近い立ち位置です。

シリーズの中でも特異な位置にあり、それでいてしっかりと「真・女神転生」だった『真・女神転生III』。その完全版とも言える内容を引っ下げて復活した『真・女神転生III HD』を、本日から腰を据えて楽しむことができます。

既に手を出しているシリーズファンも多いことでしょう。まだ未体験という方は、これを機に「真・女神転生」の世界へ飛び込んでみてはいかがですか?
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《臥待 弦》

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