日本にもいる!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れるグッピーってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

『あつまれ どうぶつの森』に登場する生き物を、生物ライターが解説!第51回は「グッピー」です。

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日本にもいる!?『あつまれ どうぶつの森』で釣れるグッピーってどんな魚?【平坂寛の『あつ森』博物誌】
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※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!
4月も下旬!いよいよ春から初夏へと季節が移ろうとしていますね。
ちなみに僕は沖縄県に住んでいるのですが、徐々に昼も夜も半袖で過ごせる日が増えてきました。もう夏に片足を突っ込んでいる実感があります……。

そんな夏のかけらを肌に感じる季節ゆえか、『あつまれ どうぶつの森(※以下、あつ森)』にもふたたび、少しずつですが熱帯原産の魚たちが帰ってきました。

たとえばこんなの。


グッピー!
古くから熱帯魚の代表格として広く知られている魚です。

グッピーは中米原産のメダカの一種で、オスの体色がとてもカラフルである点が大きな特徴です。
つまり、全身が鮮やかな青で彩られている『あつ森』のグッピーはオスであろうと判断できるのです。

▲メスのグッピーはオスに比べてたいへんシックな装い(※改良品種ではそこそこ派手になるものも)。

また、『あつ森』で釣れるものはヒレがドレスのように大きく優雅です。しかし、実を言うとこれほどまでに華美なヒレは野生のグッピーには本来見られません。これは人間の手によって長い年月をかけて改良された品種(※あつ森のグッピーは具体的には『モスコーブルー』という品種かと考えられます)にのみ見られる特徴なのです。


▲グッピーといえばこういう魚!と思われがちですが、こんなにカラフルでドレッシーなものは人工的に改良された品種に限られます。

こうした体型のグッピーは、コイから生み出された錦鯉や、フナを品種改良して作出された金魚と同じような存在と言えるでしょう。

ちなみに、こんなド派手な改良グッピーも、野に放たれると世代を重ねるうちにふたたび地味な姿(改良品種に比べて)の野生型へと先祖返りしていくことが知られています。

▲野外で捕まえられたグッピー。たしかにだいぶ地味(それでも十分キレイですが)。

……野に放たれると、と書きましたが、グッピーは安価で出回っている上に驚くほど繁殖が容易。ゆえに殖えすぎて飼いきれなくなったものが野外へ放流されるケースがあとを絶ちません。

なおグッピーはいわゆる熱帯魚ですから、ふつうは日本の川では冬を越せずに死んでしまいます。ふつうは。

しかし、何かしらの条件によりある程度の水温が維持されると、日本であっても恐ろしいほどの勢いで繁殖するのがグッピーという魚なのです。

たとえば、僕が暮らしている沖縄をはじめとする南西諸島では、冬でも水温がそこまで下がらないため、捨てられて野生化したグッピーが各所で大量に繁殖しています。
おそらく、いまや沖縄の川や池でもっとも数が多い魚でしょう。
我が家の近所を流れる小川でも、このところの気温上昇によってにわかに子グッピーが増えはじめました。

▲沖縄で魚採りをすると、場所によってはグッピーばかり採れてしまいます。

さらに、温泉地を流れる水路や温排水が流れ込む河川も冬季に高水温が保たれるためグッピーたちが定着しがちです。

グッピーは丈夫で飼いやすく、誰でも簡単に繁殖させられるなど、観賞魚としてはいいことづくめの魚です。
だからこそ野外へ捨てたりすることなく、責任を持って飼い続けたいものですね。

あ、ちなみにグッピーは「卵胎生」といって母親が卵をお腹の中で孵し、ダイレクトに稚魚を出産するという魚類には珍しい繁殖スタイルをもっています。
爆発的な繁殖力はこの生態のおかげなのかもしれませんね。

『あつ森』博物誌バックナンバー


■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。


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《平坂寛》

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