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コナミデジタルエンタテインメントが手掛ける、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Steam/ニンテンドースイッチ/スマホ向け『遊戯王 マスターデュエル』。本作にて「ドラゴン族を操る才能を秘めた戦士」と書かれ、勇ましく大剣を構える筋骨隆々の男、「戦士ダイ・グレファー」をご存じでしょうか。
『遊戯王』には、“汎用カードイラストに頻繁に描かれるキャラ”が何体かいます。ダイ・グレファーもそのひとりであり、濃ゆいビジュアルで「予想GUY」などの様々なカードに出現。そのおかげで「ダイ・グレファー」という名は知らなくても、顔は知っているデュエリストは多いはず。人々の記憶に、まるでサブリミナル・メッセージのように蓄積されているのです。
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実は彼には、壮大なバックストーリーがあることをご存知でしょうか?本記事では人気テーマというわけでも、原作・アニメで活躍したわけでもなく……あくまで“馴染み深いアイツ”としか言えない謎多き戦士、ダイ・グレファーについて解説をしたいと思います。
公式設定として確立されているストーリーから、「背後関係からおそらくこう言う事なんだろうな……」と予想できるものまで、長く『遊戯王』の歴史で培われた「ダイ・グレファー冒険譚」ともいうべき物語。パッと見は地味な彼の、次元をまたぐ旅路をご一読ください。
◆これは公式設定! なんと「ダイ・グレファー」は運命に翻弄された戦士だった……!
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フレーバーテキストに「過去は謎に包まれている」と書かれている彼。実を言うと未来も謎に満ちています。「未来は謎」なんて当たり前のように聞こえますが、カード「戦士 ダイ・グレファー」を起点として、「運命の岐路」があることが彼の特徴。
彼はカード「運命の分かれ道」にて、ふたつの道を選択することになります。片方は明るく晴れ晴れしい道に対して、もう片方は暗く淀んだ道。ここで「もしこちらの道を選んでいたら」という“彼ら”……2人の「グレファー」が生まれることとなります。
●スピリット・ドラゴンとの出会いで才能を開花させた“善のダイ・グレファー”
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スピリット・ドラゴンとの出会いを果たしたことで才能を開花させたダイ・グレファー改め、「ドラゴン・ウォリアー」。とても見た目からは彼だとわかりませんね。効果文を改めてみると、結構罠や魔法を無効化してくれる様子。そこそこ頼りになりそうです。
しかし善のルートを辿った彼については情報量が少なく、あまり語れません。
●すっかり闇に染まり、魔王にまでなった“悪のダイ・グレファー”
一方、悪堕ちしたダイ・グレファーは、様々な面で“濃さ”が増します。
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カード、「士気高揚」にて悪魔と戦い、勝利したダイ・グレファー。しかし悪魔の本体は、彼が熾烈な戦いの途中、奪い取った「大剣」でした……。勝利を収めたダイ・グレファーの身体を、悪魔の大剣が奪い取ろうとします。
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魔法カード「堕落」にてその様子が描かれています。しかし悪魔の目論見は不完全であり、その強靭な精神力からダイ・グレファーとしての自我までは奪えませんでした。しかし、彼の心は完全に闇に染まってしまいます。要するに「悪堕ち」です。そうして生まれた“悪のダイ・グレファー”が、「漆黒の魔王(ダーク・ルシアス)」。
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カッコいい……! とはいえ、公式設定を見ない限り、彼がダイ・グレファーとは分かりませんね。
と、ここまでが基本的に公式で開示されている設定です。
あとは「荒野の女戦士」とのライバル関係などが公式として明かされていますが、膨大な「グレファー関連カード」の説明は何も無し。ファンが観察力を発揮し、色んなカードに居るグレファーたちを見つけては、「もしかして……」と推測を広げるパターンが多くなっていきます。
たとえば、まさに魔王という風貌の「漆黒の魔王」は、他のカードではコメディタッチで登場しています。「ダイ・グレファー」の派生進化(?)「騎士 デイ・グレファー」と次元を越えて鉢合わせしたりも。
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非常に気になる状況ですが、どういう理屈でこうなったのかは明かされていません。一説では「次元を超えて並行世界の自分と会っちゃった」なんて言われています。
◆宿命のライバル「荒野の女戦士」。ダイ・グレファーと女戦士の次元の旅路
さて、冒険譚にはライバルやヒロインがつきもの。ダイ・グレファーの冒険譚にたびたび登場するキャラクターが、「荒野の女戦士」です。
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彼女がライバルということは明言されていて、カード「二者一両損」では激しい戦いを披露しました。
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実は彼女も中々の冒険譚の持ち主。おそらく「因果切断」で描かれたように次元の彼方に飛ばされ、近未来で生き延びた結果、「異次元の女戦士」に変貌を遂げます。
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そんな「荒野の女戦士」改め「異次元の女戦士」が、ある時、「ダイ・グレファー」と再戦。その際、次元が歪み「戦士 ダイ・グレファー」まで異次元に飛ばされることに。
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ただでさえ運命の岐路に立たされ、善か悪かで分岐した彼でしたが、ここでさらに異次元に飛ばされるというルートまで出てきました。まさに未来は謎だらけ。「予想GUY」や「GUYダンス」などで描かれた彼は、異世界に飛ばされた際の活躍だと考えられます。
なぜダンスで「異次元の女戦士」を口説こうとしているのかはわかりません。「予想GUY」や「GUYダンス」の時系列も実は不明。「予想GUY」、シュワルツェネッガーが主演をつとめる映画で出てきそうなワンシーンですよね。
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そんなこんなで色々あったものの、「リバース・ディメンション」で現実世界に帰還する……ここまでが、ダイ・グレファーで明らかになっている公式設定です。
◆別次元? 進化前? いっぱいいるぞ、ダイ・グレファー!
ここからは本格的に公式設定が開示されていないので、「ダイ・グレファー」を熱心に追い続ける決闘者たちの憶測がベースになります。
運命の岐路が他にもあったかもしれない。あるいは「ドラゴン・ウォリアー」や「漆黒の魔王」に至る途中の彼かもしれない。「なんだかわからないけど、別のグレファーがいるぞ!」と、話題になったカードをご紹介します。
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種類が多すぎてバックストーリーの考察など、とことん謎に包まれている彼ら(?)。わかるのは攻撃力と守備力が「戦士 ダイ・グレファー」と同じく1700/1600ということくらい。
おそらく、善寄りなのが「騎士 デイ・グレファー」「ライトレイ・グレファー」。悪寄りなのが「カオス・グレファー」「ダーク・グレファー」。しかし「カオス・グレファー」が本当に悪なのかは、ファンにとって議論が分かれることと思います。
このように、少ない設定を元に“イラストから見て明らかにダイ・グレファーな存在”を追いかけて考察できるのが、「ダイ・グレファー」の醍醐味。本格的に彼のストーリーを調べている方もいますが、推測で止まってしまいます。公式によるグレファー伝の公開が切望されますね。
少なくとも、「ドラゴン・ウォリアー」「漆黒の魔王」などはグレファー成分が少なめ。公式で明言されていないとわかりづらかったことでしょう。ですので今後、気にも留めなかったカードが一皮むくと「ダイ・グレファー」に関連する内容だったりするかも。
「荒野の女戦士」も含め、割とホイホイ次元を超えたりする彼らのことですので、今後も新カードにて登場する可能性は大いにあるでしょう。
……もしかすると読者の皆様が普段何気なく使っているカード。その正体は「ダイ・グレファー」なのかもしれませんよ……。
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