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本記事をご覧になっているゲーマーの皆さんはどんなジャンルのゲームが好きですか?筆者はFPSやアクションゲームが苦手な反面、腰を据えてじっくり悩むストラテジーやカードゲームが大好物です。頭の中でより効率の良い戦略を組み立て、思惑通りに事が運んだときの爽快感は何ものにも代えがたいですよね。
そこで今回は、ニンテンドースイッチで遊べるストラテジーゲームのなかから、一度はまったら抜け出せないおすすめの作品を5つ紹介します。
『ファントム・キングダム』
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『ファントム・キングダム』は宇宙最強の力を持つ魔王ゼタがたくさんの味方を従えて、魔界復興を目指すシミュレーションRPGです。本作はPS2専用ソフトからの移植版であり、ゲームシステムも一部過去作の「魔界戦記ディスガイア」シリーズから継承されているため、ビジュアルやゲームシステムからプレイしたことがなくてもピンとくる方も多いと思います。
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他のシミュレーションRPGと一線を画している点は、なんといってもその高い自由度とやり込み度合に応じて数値が跳ね上がるインフレ具合でしょう。通常、キャラクターのレベルは最大まであげても100レベルまでといったように、ゲーム慣れしてる方であれば「大体これぐらいだろうな」という大まかな予想がつくとは思いますが、本作のレベル上限は驚きの9999レベルです。また、1回に与えるダメージはなんと10億ダメージを超えることもあり、物語後半に進むにつれてその数字のインフレは凄まじく、キャッチコピーでもある「史上最凶のハチャメチャシミュレーションRPG」の名は伊達ではありません。
その他にもキャラクターが装備できる武器の中には磁石や風船、UFOといったユニークなものが数多くあり、普段遊んでいるゲームとは違う新たな発見がプレイヤーをワクワクさせてくれるでしょう。
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本作はステージ攻略の要となるキャラクター作成の仕組みも一風変わっています。「コンファイン」と呼ばれる能力を使って、そこらに落ちている岩や草などのアイテムに魔物の魂を封じ込めるという独特なシステム。始めのうちは選べる種類が少ない職業ですが、物語が進むにつれて徐々に上位職が解放されていき、ステージ攻略に用いるユニットはプレイヤーによってまったく違うものになっているのも魅力のひとつかと思います。
また、メインストーリーの他にも主人公の娘を名乗る謎の少女をメインとした追加シナリオが収録されており、ひとつのソフトで二度おいしい作品となっています。シミュレーションゲームとして硬派な部分は残しつつも、斬新な独自のシステムがキラリと光る本作。ひとつの作品に時間をかけてひたすらやり込みたい方におすすめです。
『太閤立志伝V DX』
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『太閤立志伝V DX』は16世紀の日本を舞台に、豊臣秀吉をはじめ戦乱の世を生き抜いた実在の人物たちに成り代わり、それぞれの夢の実現を目指すシミュレーションゲームです。歴史の中でも、特に日本史好きの方にはもってこいの作品なのではないでしょうか。
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本作の特筆すべきポイントはプレイヤーが考えるままに実在する人物を動かして、その人生を好きなように過ごせる点です。ベースになっているストーリーこそ豊臣秀吉の歴史が軸ですが、武将として生きるだけでなく商人・鍛冶屋。茶人など戦とは無縁の職業で名を馳せたり、忍者として裏から政治を操ったりとそのスタイルは多種多様です。
そういった自由度の高いゲーム性にも関わらず、ニンテンドースイッチ版の追加要素として操作できる人物が100名増え、総勢960名もの登場する人物が全員プレイアブルキャラクターとして使用可能になったので、そのボリュームたるや凄まじいものですよね。史実通りに事を運ぶのもよし、自分だけの未来を創り上げるもよしと一度ハマれば何周も遊んでしまいそうです。
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群雄割拠の戦国時代といえば戦は避けて通れません。本作の戦闘は個々の能力が勝敗をにぎる個人戦と、城の命運をかけて大勢で戦う集団戦の2種類があり、それぞれシステムが多少異なります。個人戦では自身が操作している人物に槍や火縄銃といった武器を持たせ、一騎打ちのような形式で戦わせます。攻撃・命中・回避などのステータスが直接勝敗を分けるので、戦う予定のある方にとって日ごろの鍛錬は欠かせないものとなっているでしょう。
集団戦は自ら雇った兵士を大勢従えて戦う、オーソドックスなシミュレーションRPG形式です。一触即発のなか「合戦札」と呼ばれるスキルを使って一斉攻撃をしたり、伏兵を置いたりしながら戦闘を有利に進めていきます。兵糧攻めの概念や援軍など個人戦とは一味違った戦略が求められるので自分なりの試行錯誤が楽しめますね。
歴史シミュレーションゲームというニッチなジャンルにおいて、日本を舞台にしながらここまで自由度の高い作品は類をみません。他にもミニゲームや収集要素など、とにかくできることが多いので自分の思うままに戦国時代を駆け抜けてみてください。
『Into the Breach』
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『Into the Breach』はエイリアンの侵略により壊滅状態となってしまった地球を舞台に、未来のハイテク戦闘メカを操縦して戦うターン制ストラテジーゲームです。大まかなゲーム性は8×8程度の比較的狭いマップの中で特色の異なるメカを複数操作して戦うので、「詰め将棋」をイメージすると分かりやすいかと思います。
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本作はあらかじめ難易度が設定されているミッションを選択して、攻略するごとに新たなステージをアンロックしていくステージクリア制を採用しています。全ステージにおいて勝利条件は殲滅ではなく、残された人を守りながら所定のターン耐えるというものであり、敵は倒しても倒しても出現してくるので基本的には防衛戦を強いられることになります。
エイリアンの攻撃はあらかじめ予告されるので、例えば守るべき建物を破壊されそうになったら、ノックバック攻撃でずらしたり、他の敵を射線に入れて同士討ちさせたりと、うまいこと妨害していきます。手持ちの機体の性能をフルに生かして、敵の動きを先読みしながら効率よく敵をさばくパズル要素も醍醐味のひとつですね。
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パイロットは未来からやってきたタイムトラベラーという設定で、「スクワッド」と呼ばれる役割の異なる3体のメカ部隊を操ります。スクワッドの種類は基礎的な動きが学べる初期部隊に加え、ゲーム内コインを使えば防御特化やレーザーを放てるメカなど一癖も二癖もある部隊を購入できます。機体にはそれぞれ道中で手に入れた武器を装備できるので、元からある能力と相まって戦略の幅はとても広いのです。プレイを重ねるうちにお気に入りの組み合わせを見つけるのは、”攻略している感”があって楽しいですよね。
また2022年7月20日(水)には無料大型アップデートとして、5種類の新スクワッドや最高難易度「アンフェア」モードが追加され、より歯ごたえのある戦闘が楽しめるようになりました。すでにクリアしてしまった方もこれを機にもう一度プレイしてみてはいかがでしょうか。
『Dice Legacy』
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『Dice Legacy』はサイコロを振り、出た目に合わせて街づくりを行う一風変わったリアルタイムストラテジーゲームです。ダイスというランダム性の強いコンセプトを前面に出している本作は、テーブルゲームに詳しい人であればTRPGを彷彿とさせるかもしれませんね。
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なにはともあれ、やはり気になるのはそのゲーム性です。ゲーム画面下部にあるサイコロは極端に言ってしまえばストラテジーゲームにおけるユニットであり、プレイヤーはマップに描かれているアイコンと同じ場所にダイスを配置してそれぞれ作業の指示をだします。例えば、斧とツルハシのサイコロは伐採や採石をするユニットだったり歯車なら新しい施設を建てるユニットだったり、といった具合です。
状況によっては表示されているアイコンとは違う仕事をさせたい場合もあると思います。その時はダイスロールを使って役割を変えられるのですが、振るたびにサイコロの耐久度である数字はどんどん減っていき、0になってしまうと最終的にそのユニットは消滅してしまいます。そうなると人手不足からの詰み状態となってしまうので、いかにダイスロールをせずに指示をだしていくかが肝になってきますね。
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そして、安定した村をつくるにはさまざまな試練を乗り越えなくてはなりません。時間経過で原住民による襲撃や、一定確率で何もできなくなる極寒の冬といったイベントが全編を通して散りばめられており、事前の準備やユニットの転職による効率アップは欠かせません。ゲーム内ではこうしたイベントに対する対処法はあまり教えてくれないので、玉砕覚悟で何度も試行錯誤するのが楽しい方にはピッタリな作品ですね。
また、スタンダードな初期ストーリー以外にもこれまで敵対勢力であった原住民視点からプレイできる「破滅」モードや、新たなダイスクラスを追加する大型DLCも販売しています。本作を一通り遊びつくして新要素が欲しい方はこちらも一緒にチェックしてみてください。
『トライアングルストラテジー』
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『トライアングルストラテジー』は美しいドットと3DCGを融合させた「HD-2D」や、高い戦略性バトルが話題を呼んだタクティクスRPGです。『オクトパストラベラー』で知られるチームが開発に携わっており、ゲームビジュアルからもその様子がみてとれます。
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本作の舞台は鉄と塩の権利をめぐり、三国が大戦を繰り返してきた大陸「ノゼリア」。長い月日をかけてようやく平和になったものの、ある事件をきっかけに各国の均衡は大きく崩れ始める、というのが大まかなあらすじです。軍記物の鉄板でもある各国の信念や確執が丁寧に描かれているので、過去に似たような作品をプレイしたことのある方はのめり込めるでしょう。
プレイヤーは度々登場する選択肢を選びながらシリアスな雰囲気の物語を進めていくのですが、その会話の裏には「BENEFIT」・「MORAL」・「FREEDOM」という3つの価値観が「信念パラメータ」として密かに蓄積していきます。これらはストーリー分岐だけでなく、旅の途中で加入する仲間にも影響を与えるので、その時のプレイヤーの考え方が直接ゲームに反映されるといってもいいでしょう。なにげない選択が重大な場面を左右する日がくるかもしれません。
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肝心の戦闘はというとクラス相性やアビリティはもちろん、高低差やキャラクターの向きによるダメージの増減など、タクティクスであれば欲しいと思う要素がぎゅっと詰まった硬派なシステムであり、ある程度ゲーム慣れした大人でも十分に楽しめるつくりになっています。主人公だからといって単騎特攻しようものなら四方から囲まれてすぐにやられてしまうので、状況に合わせた戦略は必須であり、それこそが本作の楽しさでもあります。
世界観ゆえに救いのない重すぎる物語だったり、戦闘パートよりストーリーを見ている時間の方が長かったりと、プレイする人を選ぶ面も持ち合わせていますが、全体的に高水準でまとまっていて完成度の高い作品です。今の時代の美しい映像で王道タクティクスを遊びたい方にはぜひプレイしてほしいですね。
今回はじっくり悩みながら楽しめるおすすめストラテジーゲームについて紹介しました。筆者も腰を据えて遊ぶゲームが好きでよくプレイしますが、どの作品も自身が持っている魅力を前面に出しているので、遊んでいて新鮮でとても楽しいものです。本記事を通して、ストラテジーゲームに対する興味を少しでももってくれたら嬉しいです。