eスポーツとして奥が深いゲーム性
まず初代『スプラトゥーン』で最初に実装されていたガチマッチのルールは、「ガチエリア」。マップの中央付近に存在するエリアを塗り合い、確保時間の長さによって勝敗が決まる仕組みです。
このルールの特徴は、直接勝利に影響する場所、すなわち“カウント”を進められる場所が、1カ所か2カ所に固定されていること。お互いにエリアを攻めるか、守るために行動するため、戦闘が激化するのもある程度決まった場所にかぎられます。
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そして2番目に実装された「ガチヤグラ」では、エリアとは違ってカウントに関わる場所が完全に固定されてはおらず、やや流動的に。マップ内を移動するヤグラを、相手ゴールの近くまで進めることが勝利条件なので、ヤグラの“動線”に沿って撃ち合いが生じます。
また3番目の「ガチホコ」も、ホコを収めるゴールこそ固定されているものの、そこに至るまでのルートはかなり自由度が高め。試合の“前線”がマップの広い範囲を移動していくため、プレイヤーはどこから戦闘に関与すべきか考えさせられるでしょう。
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こうして振り返ると、ガチルールの方針は前線を固定せず、流動的にすることを目指している印象。そしてその集大成と言えるのが、「ガチアサリ」というルールでした。
「ガチホコ」は一応、ホコが前線の目印となっていますが、「ガチアサリ」ではステージの至るところに得点源となるアサリが湧き、決定打となる“ガチアサリ”が作られることに。すなわち前線がもっとも流動的になる仕組みだと言えるのです。
苦手意識をもつプレイヤーが多いのは、そんな「ガチアサリ」の自由度の高さが理由なのかもしれません。ですが裏を返せば、一番自由に戦略を練れるルールでもあり、一種の競技として発展しうるポテンシャルを持っているのではないでしょうか。
「ガチアサリ」に魅入られたプレイヤーの中には、競技性を「eスポーツ」にたとえる人も。今後、その面白さがより広く伝わっていくことを願うばかりです。