2023年6月1日についに発売された『世界樹の迷宮 HD REMASTER』。弊誌では発売前にPC(Steam)版をプレイする機会を得ましたので、かつて初代『世界樹の迷宮』の操作性を参考にダンジョンRPG(DRPG)向けPC用マッピングツール「Mapic」を作成したこともある筆者がプレイレポートをお届けします。
『世界樹の迷宮 HD REMASTER』とは
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まず最初に駆け足気味ながら改めて本作を説明しますと、本作は2007年にニンテンドーDSで発売された『世界樹の迷宮』のリマスター作品です。『世界樹の迷宮』は、『ウィザードリィ』に代表されるような自らのキャラクターを制作し迷宮に挑む伝統的なDRPGの仕組みを基礎に、ニンテンドーDSというハードの特性である「タッチペンと2画面」を活かしてダンジョンの地図を自ら作成していくというシステム、そしてかわいらしいイラストに見合わない骨太な難易度で多くのコアゲーマーたちの心をつかみ、初代作やその後のシリーズ作品も通じて任天堂の携帯ゲーム機を代表するDRPGとなりました。
今回のリマスター版はスイッチ/PC(Steam)での発売となり、タッチパネルや複数画面のない環境でも遊べるようになりましたが、ゲームの特徴であったタッチペンによるマップ作成システムが、特にコンソール機とは異なる操作デバイスを中心としたPC環境上でどうなったのか気になっている方も多いと思います。ここからは、さっそくその詳細について見ていきましょう。
マウスを使ったマップ作成は操作性良好。その上、君たちは片手にゲームパッドをもう片手にマウスを持ってもいい
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本作では、ゲームを開始してギルドを作成し、迷宮に挑む主役たる5人のキャラクターを作り終えパーティを組んだら、執政院からのミッションを受けることになります。
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最初のミッションは地下1階の地図を作成するというもの。これはシリーズの伝統ですね。
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PC版では、主にマウスを使って地図を書いていくことになります。
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画面右上の鉛筆ツールを選択した状態で、右下に表示される拡大マップに左クリックで線を引くことで壁を書き込んでいくことができます。線の引き方は多少アバウトでも、いい感じに直線に補完してくれるのがありがたいところ。
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歩ける床の部分は画面右上から筆ツールを選び、マス目を塗り分けていきます。なお壁の直線引きに失敗した場合は画面右上、2段目の消しゴムツールで、床の塗り分けに失敗した場合は4段目のエリアクリアツールで消すことができます。
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ダンジョンの中ではアイテムの採取ポイントなどを見つけることがあります。そういった場所を見つけたら、右上のツールウインドウを開き、場所に合ったアイコンをドラッグ&ドロップで配置すると良いでしょう。
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ツールウインドウからはマップの任意の位置にメモを残す機能が備わっています(ツールウインドウ内の左上赤三角形)。メモを残した箇所が視界に入るとそのメモの内容が画面に表示されるので、怪しい地点や重要なポイントにはどんどんメモを残していくと良いでしょう。
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オプション画面ではマップ作成について細かい設定が行えます。「オートマップ」の項目をFULLにすると床と壁がプレイヤーの移動に応じて自動的に塗られるようになり、マッピングの手間が大幅に削減できます(但し、階段のアイコンや各種メモ等は自分で置く必要があります)。もちろん全部地図を手書きする!という方はこれをOFFにすることで自分だけのマップを作り上げることができます。
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他にも「利き手設定」をLEFTに変更すると、地図ウインドウが画面左側に移動します。これはスイッチをはじめとするタッチパネル環境でマッピングを行う左利きの人には嬉しい配慮だと思いますし、「マッピングカーソル位置」を調整することによりタッチペンと実際のカーソルの位置がズレている場合も補正が可能です。
ここまでマップの作成システム周りを見てきましたが、とにかく細かい配慮が行き届いている印象です。最初に書いた通り、かつてDRPG向けマップ作成ツールを作った経験がある筆者の目から見ても、行き届いた配慮や操作性には「かなわない!」と思い知らされるほどでした。
なお、筆者は本記事の執筆時にはXbox360コントローラーを左手に持って移動しつつ、適宜右手をマウスに持っていってマッピングする……というスタイルでゲームを進めていますが、PC版ではWASDキーによる移動やマウスクリックによるコマンドの選択もできるので、左手はキーボードで移動や各種メニューを開くことに専念し、右手はマウスでマップ作成のほか、コマンド入力やターゲット選択を行うというFPSスタイルでのゲームプレイも違和感なく可能です。
追加された新規難易度。難易度「BASIC」で初遭遇F.O.E.に挑んでみた
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最初に気になるマップ作成周りを確認した後は、ゲームそのものの内容へと迫っていきましょう。今回のリマスターではゲーム開始時に「PICNIC」「BASIC」「EXPERT」の3種の難易度を選ぶことができます。(ゲーム開始後にも拠点からオプションで難易度変更可能)
筆者は初代『世界樹の迷宮』をクリア済みなので、オリジナルと同様の難易度の「EXPERT」を……と思いましたが、どれくらい難易度が調整されているのが気になったので、「BASIC」でゲームを開始することにしました。
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ところで、ここまでに説明していませんでしたが、PC版ではギルド名やキャラクター名の入力にはキーボードが使用可能です。漢字にも対応しているので、日本人的な名前のキャラクター名もバッチリ入力可能です。
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それはさておき、『世界樹の迷宮』シリーズの特徴ともいえる敵が「F.O.E.」(フィールドオンエネミー)。マップ上を徘徊している危険な敵で、世界樹の迷宮に挑む冒険者は正面から戦うか、それとも動きをよく見てやり過ごすかの選択を強いられることになります。なお、本作では『新・世界樹の迷宮』のように敵の姿がダンジョンに表示されるわけではなく、オリジナル版同様に火の玉のようなエフェクトでダンジョンに表示されます。
地下2階で最初に遭遇するF.O.E.「狂える角鹿」はオリジナル版では初遭遇の段階では撃破困難な敵でしたが、今回の難易度BASICではどのようなものか、無謀にも戦いを挑んでみました。
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地下2階に降りた直後、平均Lv5のパーティで勝てました。
なるほど、難易度BASICはそれなりに調整が行われているようです。
それならと、その勢いで迷宮を一目散に進み、「狂える角鹿」を上回る強さを持つ「怒れる野牛」に喧嘩を挑んでみたところ……。
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一撃で前衛のHPを3/4持っていくなど、想像以上に攻撃力は高かったのですが……。
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耐久力はさほどでもなかったので、上手くラッシュをかけてこちらも勝利しました。
ここまでトントン拍子です。『世界樹の迷宮』の代名詞とも言える高難易度は何処にいったのでしょう。そこで調子に乗って「よし、この勢いで地下3階のF.O.E.「全てを刈る影」も狩ったる!」と意気揚々と地下3階に突入し、会敵しましたが……。
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あっ。
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いくら難易度BASICと言えど、全てのF.O.E.を駆け足で倒せるほど『世界樹の迷宮』は甘くなかったようです。何はともあれ、難易度BASICはオリジナルより易しいけれど、締めるところは締めるという絶妙な調整になっていることが実感できました。
ネタバレが体験に影響しやすいDRPGの性質も考えて今回、内容そのものについて多くは紹介しませんでしたが、令和に復活したDRPGジャンルの代表作のひとつとして申し分ない冒険がこのリマスターでは存分に楽しめそうです。
スパくんのひとこと
マウスでのマップ作成の操作性は問題なし!HDで生まれ変わった樹海の地図を作る日々がまた始まるスパ!
タイトル:世界樹の迷宮 HD REMASTER
対応機種:スイッチ/PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年6月1日
著者プレイ時間:3時間
サブスク配信有無:無
価格:4,467円 (『世界樹の迷宮 I・II・III HD REMASTER』セットは8,980円)
※製品情報は記事執筆時点のもの