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2022年11月に正式サービスが始まった『勝利の女神:NIKKE』は、画面固定型シューティングというゲーム性はもちろん、重厚な設定や先が気になる物語、少女型ヒューマノイド「ニケ」の魅力など、数々の特徴でユーザーを惹きつけて虜としました。
幕開け直後から好調な出足を見せ、その勢いがさらに増す形でハーフアニバーサリーや1周年を祝い、2024年になっても活気づくばかりです。今年のエイプリルフールや1.5周年も大いに盛り上がり、夏イベントにコラボなど話題が尽きることもありません。
『勝利の女神:NIKKE』は今年の東京ゲームショウにも出展し、すっかりお馴染みとなった「リアル10連ガチャ」やフォトセッションなどの催しを実施。ブース内はもちろん、通りがかる来場者も足を止めて眺めるほど、盛況な一角となりました。
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かくいう筆者も、正式サービス前から『勝利の女神:NIKKE』に注目し、開始直後にプレイを開始。ベテラン勢には遠く及びませんが、現時点の全ストーリーを踏破し、ハードモードも21章のラスボスまで進行中と、それなりの指揮官ライフを楽しませてもらっています。
そして現役プレイヤーだからこそ、シナリオからゲーム性まで、様々な点が気になるところ。2周年も徐々に迫っており、今後の展開も知りたいところです。
そこで今回は、東京ゲームショウに合わせて来日されたディレクターのユ・ヒョンソク氏に、気になるアレコレを訊ねるべく、インタビューを実施させていただきました。開発への取り組み方からカウンターズに関する質問まで、忌憚なく語っていただいた返答をご覧ください。
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■『勝利の女神:NIKKE』の開発姿勢は、数字よりも信念を重視
──サービス開始当初から爆発的なスタートダッシュを決め、今も人気の高い『勝利の女神:NIKKE』ですが、当初予定していた成功のラインと、実際の結果をそれぞれ教えてください。
ユ・ヒョンソク氏(以下、敬称略):これは個人的な捉え方になりますが、『勝利の女神:NIKKE』における“成功の基準”を考えた時、「20」と「100」の間のどこかだろうと思っていました。
「20」から「100」は、かなり幅があるように感じられると思います。なぜこの数字なのかと言えば、私たちは「面白いゲームを作りたい」「作りたかったゲームを作りたい」「自分たちが納得できるゲームを作りたい」……といったこと以外は、あまり考えずにいました。
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──「あまり考えずに」というのは、どういった意味で?
ユ・ヒョンソク:ビジネスとしての数字や指標ですね。そういったものを、あまり追及していなかったのです。
ユーザーの皆様に喜んでいただき、楽しく遊んでもらうためには、まず「私たちが楽しもう」「私たちが面白いと思うものを作らないと」という感覚でいました。こうした姿勢だったため、ビジネス的な数字をあまり考慮せず、面白さばかり追及していたのです。
そのため「もしかしたら、あまり売れないかもな……」という考えも、少し頭を過ぎっていました。こうした状況だったので、先ほどお話した「20」から「100」というのは、(ビジネス的な成功の)感覚をあまり掴めていなかった証ですね。
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─では、正式サービスを迎えた後、ユーザーからの反響に驚かれたことでしょう。
ユ・ヒョンソク:幸いなことに多くのユーザー様に楽しんでもらえて、ここまで約2年間にわたりサービスを続けることができました。私の予想と今現在の手応えを比較するならば、当時予想していた最高水準の“2倍くらい”の愛情を寄せていただいております。
──本作がここまで人気を集めた理由を、開発・運営側はどのように分析されているのでしょうか?
ユ・ヒョンソク:先ほどの「まず私たちが」という話と相反してしまいますが、ユーザー様に楽しんでもらえるよう“徹底的に追及した”からこそ、人気が得られたのかなと思っています。
その中でも重要でインパクトのあった要素は、ビジュアルやストーリー、そしてシューティングの楽しさが大きかったのだと受け止めています。
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──あくまで個人的な印象なので恐縮ですが、『勝利の女神:NIKKE』はプレイヤーの離脱率が低いように感じています。この点、実際のところはいかがでしょうか。
ユ・ヒョンソク:ここでひとつ面白いお話をしますね。実は、私たちは離脱率を下げるために何か取り組みを行っているわけではないのです。
『勝利の女神:NIKKE』は、他のゲームと比べて、チュートリアルがかなり長いゲームです。私たちはチュートリアルの長さを気にせず、ユーザー様に伝えるべき情報を、我々のテンポで伝えようという気持ちで作りました。
ゲーム業界では一般的に「チュートリアルが長いと、離脱率が高い」と言われています。しかし『勝利の女神:NIKKE』の場合、長いチュートリアルにも関わらず離脱率は低めで、多くのユーザー様が残ってくれました。そのため、私たちも「なぜだろう?」と不思議に思ったりしています。
おそらくストーリーやシューティングなどで、ユーザー様に満足していただける要素があったので……と考えております。
──完全に個人的な意見で申し訳ありませんが、チュートリアルの最後で迎えたマリアンの展開を見てしまったら、先の物語を追わずにはいられませんよ(笑)。
ユ・ヒョンソク:そのお話を、私からの回答にしていただければと思います(笑)。
──き、恐縮です(笑)。
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