■『ユニコーンオーバーロード』:2024年3月8日発売
ゲーム機の性能が上がると共に、ゲーム開発の規模は拡大し、開発費用も嵩む一方です。そのため、ヒットするか予測が立ちにくい完全新規のIPよりも、ファンの購入がある程度期待できるシリーズ作の続編に注力するケースも少なくありません。
アトラスも近年はシリーズ展開に力を注ぐ傾向にありますが、一方でヴァニラウェアとのタッグで贈る新作は、チャレンジングなものも少なくありません。
例えば、ジュブナイルな群像劇を描くADVと没入感の高いバトルシーンを組み合わせた『十三機兵防衛圏』は、人を選ぶジャンルながらミリオンヒットを記録し、新規IPとして大きな成功を遂げました。発表から発売まで時間がかかり、どんな作品になるのか期待と一抹の不安が交錯していましたが、その内容もミリオンヒットに相応しいものに仕上がっています。
そんなヴァニラウェア×アトラスのタッグによる完全新作が、2024年3月にも訪れました。そのタイトルは、『ユニコーンオーバーロード』。ジャンルはシミュレーションRPGで、しかもリアルタイムに進行するストラテジー要素もあるため、こちらも非常に人を選ぶジャンルでした。
シミュレーションRPGといえば、ステージごとに戦いがあり、1戦1戦に時間がかかるものがポピュラーです。しかし『ユニコーンオーバーロード』は、全体マップがシームレスにバトルの舞台となり、全体的なゲーム進行が非常にスムーズ。さらに、敵の規模にもよりますが、わずか1分程度でクリアできるバトルもあるなど、短時間で済む場合も珍しくありません。
ちなみに、短時間で済むからといって、本作のバトルが簡素で味気ないかと言われれば、そんなことは全くありません。クラスごとの相性、編成による部隊の強みを伸ばす構築、特殊な効果を組み合わせて生まれるシナジーなど戦略的な要素は多く、時間を割くほどその成果は戦闘に反映されます。
戦略がハマれば、爽快かつスピーディに戦闘を制することができ、部隊の編制に取り組むほどより強くなれる。シミュレーションRPGの基本をしっかり押さえながら斬新なプレイ体験を生み出し、ついつい「あともう1戦」を繰り返してしまう魅力に溢れた『ユニコーンオーバーロード』は、こちらも見事ミリオンヒットを達成しました。
本作の開発はヴァニラウェアですが、この時代に新規IPのシミュレーションRPGを引き受けてパブリッシングしたアトラスの判断も、英断と言わざるを得ません。両社の尽力のおかげで『ユニコーンオーバーロード』と出会えたユーザーは、その恩恵を今も噛みしめていることでしょう。