『Demon's Souls』や『DARK SOULS』シリーズなどに影響を受け、それらの魅力を取り入れたソウルライク作品が数多く作られました。このジャンルを手がけるクリエイターや開発会社は世界的に広がっており、今や高難易度アクションの一角を占めるほどの勢いです。
中国にあるSense Gamesが開発している『AI LIMIT無限機兵』も、いわゆるソウルライクにカテゴライズされるアクションRPGです。文明が退廃した近未来を舞台に、機兵の「アリサ」を操作し、都市「ヘヴンズウェル」を駆け巡る戦いを描きます。
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3Dで描かれたアリサの見た目は凛々しい美少女然としており、スタイリッシュなアクションと相まって非常に目を引く存在でした。主人公像の好みはプレイヤーごとにまちまちですが、「高難易度のソウルライクアクション」と「美少女主人公」という組み合わせが好きな人も少なくないはず。筆者もその典型例で、以前から『AI LIMIT 無限機兵』に興味を抱いていました。
そして先日、PS5とSteam向けに『AI LIMIT 無限機兵』のDEMO版が配信開始。美少女に釣られてダウンロードしたライターは、こDEMO版を通してどんなプレイ体験を味わったのか。本作の魅力を垣間見たプレイレポートを今回お届けします。なお、プレイしたのはPS5向けのDEMO版です。
■『AI LIMIT 無限機兵』のソウルライク要素と独自性
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前述の通り、この『AI LIMIT 無限機兵』はソウルライク作品に共通するシステムを多数備えています。しかし一方で、異なる要素があったり、別のシステムを搭載して独自性を確立している面もありました。
R1ボタンで通常攻撃、R2ボタンで特殊攻撃が繰り出せるほか、ダッシュやロックオン、回避にパリィ、ガードといった、多くのソウルライク作品と共通する基本的なシステムが用意されています。
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レベルアップや回復アイテムの補充などが行える拠点が、マップの要所に配置されているのも、『ダークソウル』シリーズの「篝火」を連想させます。本作では「晶枝」という名で呼ばれており、晶枝同士をテレポートで移動することも可能です。
ただし、攻撃や回避といった基本行動を実行する際、ソウルライク作品の多くでは「スタミナ」を消費しますが、『AI LIMIT 無限機兵』にはスタミナの概念がなく、攻撃も回避も出し放題です。
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もちろん、発動後の硬直などモーション上のネックはありますが、いわゆるスタミナを管理する必要はないため、ソウルライクながら行動の制約がひとつ少ない形になっていました
しかし、リソースを管理する要素自体は、『AI LIMIT 無限機兵』にも用意されています。それは「シンクロ率」と呼ばれるもので、本作独自のバトル要素を確立する非常に重要なシステムです。
■「シンクロ率」がもたらす“ガン攻め”なゲームスタイル
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「シンクロ率」の幅は0~100%まであり、段階ごとにアリサが敵に与えるダメージに直接影響します。シンクロ率が低い状態(レベル無)だと与ダメージが大きく下がり、レベル1だと一般的なダメージを与え、レベル2なら与ダメージが強化されます。
与ダメージが大きいほど勝率は上がり、こちらの損害を押さえやすくなるため、シンクロ率の上昇および維持はかなり重要な要素です。そしてシンクロ率は、敵に攻撃を当てると上昇し、攻撃を受けると減少します。
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当てればシンクロ率上昇、攻撃を食らえば減少。関係性は非常にシンプルですが、「いかに攻め、いかに避けるか」という高難易度アクションのゲーム性を、より際立たせるシステムとなっています。
しかもシンクロ率は、特別な攻撃や防御などを総称する「スペル」の発動にも関わります。細かい設定の解説は省きますが、「スペル」を発動するとシンクロ率が減少します。発動の点だけに限っていえば、ファンタジーRPGの「魔法」とMPの関係を連想すると、分かりやすいかと思います。
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シンクロ率が下がると与ダメージに影響が出るため、シンクロ率と引き換えに発動する「スペル」はリスクが大きいように思われるかもしれません。しかし、シンクロ率の上限は100%なので、その状態でさらに攻撃を当ててもシンクロ率は上がらず、少々もったいない状態ともいえます。
シンクロ率が高い状態(レベル2)のまま通常の攻撃だけで戦うよりも、高まったタイミングで攻撃系の「スペル」で大ダメージを与え、その後再び通常攻撃でシンクロ率を高めていく……という行動を繰り返した方が、『AI LIMIT 無限機兵』ではより効率的にダメージを与えることができるのです。
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説明だけだと味気なく感じるかと思いますが、要するに『AI LIMIT 無限機兵』は「攻めれば攻めるほど有利」といったゲーム性を確立しており、“いかに攻めるか”を中心に立ち回る高難度アクションに他なりません。
“当てて避ける”はアクションゲームにおける基本中の基本ですが、そのメリットとデメリットをより強調し、“隙あらば攻める”という立ち回りを自然な流れで引き出す『AI LIMIT 無限機兵』のバトルには独自性があり、味わう価値が十分にあったと実感させてくれました。