シリーズ屈指の名作をフルリメイクした、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が先日発売されました。その原点を辿ると1988年発売のファミコン版まで遡り、36年もの時を超えて復活した形となります。
ファミコン版はまだ昭和の時代でしたが、今や令和に入って6年目。プレイ環境やプレイスタイルも大きく変わったことでしょう。
ファミコン版当時は、プレイヤー自身の名前を勇者のキャラクター名にする人も多かったのですが、令和でもその傾向が見られるのでしょうか。HD-2D版『ドラクエ3』の名前入力に関するアンケートの結果から、その実態へと迫ります。
■「勇者」に自分の名前をつけたプレイヤーは約20%
HD-2D版『ドラクエ3』の「勇者」にどんな名前をつけたのか。その傾向を訊ねたところ、「自分の名前」を入力したと答えた人が20.5%という結果になりました。アンケート回答者の約2割のプレイヤーが、自分の名前をつけた勇者で世界を救う旅へと出かけています。
その理由としては、「感情移入しやすい」「自分も勇者になりたい」といった没入感や憧れからくるものが最も多く、こうしたプレイスタイルが今も根強く残っていることが窺えます。また、「周りから言われている名だから」と、馴染みやすさを理由に挙げた人もいました。
「男として生まれた時の名前にしました」と、実際の名前ではないものの、そうなる可能性もあったものを勇者に名付けたという回答も寄せられました。ゲームの世界でifの自分を味わうというのも、なかなか興味深い体験です。
本名ではないものの、実在する近しい相手の名前をつけた、という人も少なからずいました。例えば、「愛着があるので」という理由から、自分が飼っていた犬の名前をつけた人も。こうした冒険も、かけがえのない思い出となることでしょう。
■「本名」以外にはどんな傾向が? 令和時代の「勇者」の名付け方
本名以外で「勇者」につける名前の傾向は、ざっくりまとめると4つのパターンに分かれていました。まず目についたのが、独自のものやモチーフ元から発想したオリジナルの命名です。
「DQ10を始める時に付けた楽器の名前でしたが、10を引退したその後もそのまま使っています」や「由来や背景は特に無いですが、ゼウスという伝説上の神の名前を、ちよっと変えた程度の感じ」、「自分が書いているネット小説の主人公の名前」などルーツはそれぞれですが、こうした名前は自分ならではのネーミングとして長く愛用している人が多いようです。
中には、花の名前をモチーフにした風流な人や、SNSで使っているユーザー名を勇者に名付けた人もおり、オリジナルのネーミングは着眼点が非常に豊富です。
続いて、『ドラクエ』シリーズに関連した命名も目立ちました。例えば、漫画の「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章」主人公である「アルス」の名前を借りた、という声が複数届いています。また、作中における勇者の父「オルテガ」と同じ名前にしたり、アニメ「ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説」から「ティアラ」の名前を持ってきたりと、関連作から持ってくるケースも多数ありました。

また、こちらも多かったのが、『ドラクエ』とは直接関係のない作品から持ってきたパターンです。「シャナ」や「かずま」、「ルフレ」など、見る人が見ればモチーフ元の作品を連想しやすいものが並んでいます。“好きなキャラで冒険する”というのも、今も好まれるプレイスタイルのひとつです。
そして最後のパターンは、実在する有名な名前を借りたもの。代表的な例としては、「おおたに」と名付けた人がいました。もちろんこれは、連日スポーツニュースを賑わせている大谷翔平選手のこと。偉大な人物の名を借りると、冒険が上手くいくような気持ちになるのかもしれません。また、実在のアイドルの名前を引用した人も複数いました。
ちなみにこのパターンは、人間だけが対象ではありません。競走馬の「クロノジェネシス」をモチーフに「くろの」と命名した人もいれば、「日本書紀が好きだから」という理由で「イザナミ」と名付けた人もおり、モチーフの対象はまさにプレイヤー次第です。