◆目標は「苦しいことを忘れさせられる存在」に!

――リリースイベントの手ごたえはいかがでしたか?
桃井: そもそもCDをリリースすることも、そのリリースイベントをすることも8年ぶりなんですよ。
嬉しかったのは、PAの方(音響エンジニア)に「歌、最高でした」と褒めていただいたり、店内でのミニライブなどでご協力いただいたCDショップのスタッフの皆さんに「こんなにお客さんと一体になっていて感動しました!」「この仕事をやっていて良かったです!」とおっしゃっていただいたことです。涙を浮かべながら感想を伝えていただいて、本当に嬉しかったですね。
――自分もリリースイベントを客席で拝見しました。錦糸町マルイで実施された際には、駅前の交差点近くの屋外スペースが会場だったこともあり、通行人もいっぱい足を止めていていましたね。
桃井: ありましたね(笑)。
――桃井さんの代表曲である「LOVE.EXE」では特に多くの人が集まっていて、「楽曲発表から今までモモイストとともに育てた楽曲が、ここまで一般の皆さんの足を止めるほど特別な輝きを放つ楽曲になるとは!」と感動しました。
桃井: 実は最近、エルサルバドルのかたにXで「エルサルバドルにはもうCDショップがありません」とリプをいただき、「そうか」と思ったことがありました。日本にはまだCDショップがありますし、改めてCDショップというのは世界に誇れる職業なんだなと思いました。
今回、新譜を手に取ってくださった皆さんが「このCDはあのショップで買ったな」「特典の色紙もらえたな」みたいな、いい思い出になれば嬉しいですし、その意味でも有意義で楽しいリリースでしたね。
――もうひとつの新曲「NANIKA」では、様々なアーティストさんがコーラスで参加したり、そのコーラス参加者限定ですが各活動で自由に歌えたりするという、これまでにない試みがされました。
桃井: それは「CDをリリースする」ということを意味あるものにしたかったからなんです。
配信がメインとなった今、CDを物理的な形でリリースするのはとても貴重な機会です。ですから「大好きな秋葉原への想い」「私をリスペクトしてくれている人や、好きでいてくれる人の想い」「ライブシーンに対する想い」……そういったものを、ひとつのパッケージにすることで「特別なCD」にしたかったんです。

――楽曲はどのようにイメージされたのですか?
桃井: まず「NewGame+」では少し懐かしい感じにしつつ今の自分の心境を歌い、そこに皆さんの心境が重なるような形にしました。対して「NANIKA」は、ライブのアンセムになるような曲にしたいと思ったんです。振り返るとここ10年ほどのアイドルの定番曲はあまり変化がありません。なかなか新しいものが出てこないと思う中で、初めて聞いても他のお客さんと一緒に盛り上がれるものを、私なら作れるんじゃないかと思いました。
――なるほど。
桃井: そして「大好きな秋葉原への想い」「私をリスペクトしてくれている人や、好きでいてくれる人の想い」では、私をすごくリスペクトしてくれる人、楽屋まで来て愛を伝えてくれるようなゲストへ感謝の想いを込めつつ、秋葉原に縁が深い皆さんにコーラスをお願いしました。
ライブシーンはどうしても関東圏が中心になり、関東以外の皆さんにはなかなか伝えることができません。それに昔みたいにブログなどで熱心に記録してくれる人も減っていますから、どうしても時間とともにライブシーンの“記憶”は薄れてしまいます。しかし楽曲という形で残すことで、「ステージを通じて楽しんでいる人がいるよ」「配信を通じて楽しんでる人がいるよ」……そういう状況をパッケージにできればと思いました。
――「NANIKA」というタイトルは、そうやって楽曲を託されたアーティストやVTuberのかたが自分で歌うことになった時に、それぞれの物語を当てはめられるようにあえて「何か」にしたと解釈しました。
桃井: 解釈のしかたは色々あっていいと思います。たとえば「なんでアイドルをやっているのか」「どうしてVTuberをやっているのか」……それは「見ている人に楽しんでほしい」「喜んでほしい」という想いをはじめ、“何か”のためだと思うんです。コーラスでお声がけさせていただいた皆さんは、その“何か”が近い人という共通点があると私の中では思っています。
――それにしても意外と人数が多くてびっくりしました。
桃井: 私自身、「断られるだろうな」と思うようなスケジュールだったので、断られることを前提に多めの人数に打診したんです。ところがなんと、全員から快諾いただけたという! お忙しい中、それでも参加したいとリモートで歌のファイルを送ってくださる方もいて、本当に嬉しかったですし最高の楽曲になりました。
――桃井さんにお願いされたら断らないですよ。
桃井: 本当にありがたいですよね。
――桃井さんから何かリアクションを起こして誰かを巻き込むといったコラボの記憶が個人的にはなかったので、その部分を含めて今までにない試みのように感じました。
桃井: この25周年で思ったのは「遠慮しないこと」です。迷惑だと思われてもいいから、やりたいことは積極的に声をかけたいと改めて思いました。そういった心境の変化もありつつ、「私なら楽しくできること」があるなら、その旗振り役にならないと!みたいな決意はありますね。
――将来的には「モモーイフェス」を開催するとか?

桃井: それよく言われますけど、どうなんでしょうね! でも今までも思わぬところからオーディションのお話しをいただいて声優になれたり、ほかにも思わぬところで夢が叶ったりしましたから、目の前の楽しいことを全力でがんばれば叶うかもしれませんね。
――そして12月14日はワンマンライブ「MOMOI HARUKO BIRTHDAY LIVE 2025 NewGame+」です。
桃井: 久々のホールライブですから、初心者でも楽しんでもらいつつ、マニアの人は「うわぁぁぁ!」と悶絶するような、そんなライブにしたいですね。今までと違う新しい試みも考えていますからお楽しみに。
――楽しみですね。
桃井: 最高の時間にしますよ! 私の楽曲を何も知らなくても楽しんでもらえるよう盛り上げます。サブスクでもこれまでの楽曲が配信されていますから、ライブまではそちらを聞きながら楽しみにしていてほしいです。
――それでは最後にメッセージをお願いします。
桃井: 最近は声優のお仕事もかなりやらせていただけるようになりました。たとえば『艦これ』に新キャラクターで参加することが発表され実装されましたが、未発表のものもあります。自分では、声優のお仕事、楽曲提供、ライブ活動がいいサイクルでできている時が一番「私らしい」と思っていて、そうなるべくがんばっているところです。
たとえば声優のお仕事で得たものと自分の経験を織り交ぜつつ楽曲に落とし込み、そこで生まれた楽曲をステージで歌ったり提供したりして、いただいたリアクションを糧にまた声優として架空の世界へ羽ばたく……そんなサイクルです。
参加した作品や出演したライブの関係者に「お願いして良かったです」とおっしゃってもらえた時が最高に幸せなので、楽しい時間のためにこれからもがんばっていきたいですね。
そうやって楽しい現場を作っていくので、私や私が関わったものと接している時は、辛いことや大変なことを忘れてもらえたら嬉しいです。大変な事って本人にしか分からないものが多いですからね。だからこそ、ほんの少しでも現実を忘れられる、そんな時間をこれからも提供できる……そんな存在でいられたらと思います。
どうかこれからも、末永く宜しくお願いします!

【新譜情報】
タイトル:NewGame+(ニューゲームプラス)
発売日 :発売中(配信、CD)
価格 :2,000円(税抜き)
発売元 :5pb.Records
販売元 :ダイキサウンド
収録曲 :
01. NewGame+ ※新曲
02. NANIKA ※新曲
03. 転売ヤーをぶっとばせ! ※初収録
04. LOVE.EXE -TENSEI Ver- ※新録
05. NewGame+(off Vocal)
06. NANIKA(off Vocal)
07. 転売ヤーをぶっとばせ!(off Vocal)
08. LOVE.EXE -TENSEI Ver-(off Vocal)
09. NewGame+(Vox Only track)
NANIKAコーラスメンバー(「アキバ系Besties」メンバー)
彩羽真矢
民安ともえ
絵恋ちゃん
成瀬瑛美
恋汐りんご
桃知みなみ
鈴木mob.
小岩井ことり
永野希
月宮うさぎ
FUWAMOCO(フワワ・アビスガード、モココアビスガード姉妹)
FRAM
【イベントスケジュール】
12月06日(土)…公開収録番組「WALLOP『モモーイ党せーけん放送』#153」
12月07日(日)…ライブ予定
12月14日(日)…バースデーワンマンライブ「MOMOI HARUKO BIRTHDAY LIVE 2025 NewGame+」
12月20日(土)…ライブ「ZEPPIN DISCO Vol.5」
12月24日(水)…【#桃井はるこ ライフワーク的トークライブ】はるこの秘密 Vol.31
『モモーイ転生!アキバとヲタクの令和7年を総ざらい ~メリクリイブを添えて~』
(会場:新宿ロフトプラスワン)

