■許されぬ悪行を討つ「復讐」の物語
復興と並行して(進行順はプレイヤーの任意)展開するのが、主人公が歩む復讐の物語です。
本作の物語は“故郷の壊滅”に端を発しており、再び故郷を取り戻す「復興の物語」と、壊滅に関わった3人の人物に立ち向かう「復讐の物語」が折り重なり、『オクトラ0』の世界を作り上げているのです。
また「復讐の物語」も、故郷を焼き払った「タイタス」、惨劇のきっかけを作った「ヘルミニア」、作品作りのために逃げ惑う人々を弄んだ「アーギュスト」、それぞれを追う物語に分かれており、どの物語をいつ進めるのか、それもプレイヤーの自由意思で選択できます。

ここに、サブストーリーや仲間に加わるキャラクターのクエストなども加わるため、様々な筋道がまるで糸のようにより合わさり、主人公が辿る人生の道のりを織り上げていくのです。
従来の『オクトパストラベラー』シリーズは、8人の主人公による群像劇が描かれており、その広がりと関わり合いが深みのある物語を生み出していきました。一方、『オクトラ0』は主人公がひとりに絞られています。
そのため、過去作のような広がりはないのではと、不安視している人もいるかもしれません。確かに8人が織りなす群像劇ではありませんが、復興で未来を紡ぐ歩みから仇を討たんとする復讐への邁進まで、故郷を滅ぼされた人間の人生を多角的に描く構成になっています。

希望をもって前に進む姿と、故郷を踏みにじった元凶への復讐。どちらも抱えて生きる主人公のあり方は複雑で、だからこそ人間らしさを感じさせます。未来と過去の両方を見つけ続ける主人公が、果たしてどのような結末に辿り着くのか。興味深さをかき立てる物語も、『オクトラ0』のプレイ意欲を大きく促進させてくれました。
■「ブースト」&「ブレイク」がもたらす戦略性の高いバトル

キャラメイクによる没入と誘導、「タウンビルド」で自ら復興させる手応え、主人公を多角的に掘り下げる物語と、『オクトラ0』は独自の切り口と各要素の高い完成度で、魅力的なプレイ体験を提供してくれました。
そんな本作を支えるもうひとつの大きな柱は、RPGに欠かせないバトルです。しかも本作のバトルは戦略性が高く、パーティの編成やターンごとの立ち回りを考えるほど、その成果が如実に表れます。
まず肝心なシステムのひとつが、行動順が回ってくるたびに溜まっていく「ブーストポイント(BP)」。このポイントを使うと「ブースト」状態となり、通常攻撃や各種アビリティの効果を押し上げてくれます。

通常攻撃にBPを使うと、費やした回数分だけ攻撃回数が増加。例えば2ポイント使えば、元々の攻撃を含めて3回繰り出せます。ポイントを消費するとはいえ、一気に攻撃を叩き込めるだけでも十分強力です。
一度に最大3ポイントをつぎ込むことができるため、通常攻撃なら最大で4回攻撃、アビリティに使えば効力を大きく後押しできます。
そして、このBPの使い道を悩ませるのが、「シールド」と「ブレイク」の存在です。全ての敵には「シールド」がポイント制で設定されており、弱点属性(WEAK)で攻撃するごとに1ポイントずつ減り、0になると行動不能&防御力低下の「ブレイク」状態になります。

シールドが残ったままだとダメージを与えづらいため、シールドを削ってブレイクし、無防備な状態に攻め込むのが基本です。そして、瞬間的に大ダメージを与えるには、ブーストするのが最適。ブレイクに向けてブーストを溜め込んでおけば、効果的に大ダメージを与えられます。
しかし、ボスクラスの敵はシールドのポイントも多く、通常攻撃だけではなかなかブレイクに持ち込めません。加えて、敵の攻撃は手ごわい場合が多いため、無作為に戦っていると被害が増えて押し切られてしまいます。そのため、ブレイクによる行動不能で被ダメージを抑えるのも重要です。
シールドを手早くブレイクしたい場合、弱点属性を突く武器の攻撃回数を“ブーストで増加”させるのがベストです。仮に10ポイントのシールドを持っている敵がいたとして、フルブーストなら4回攻撃できるため、一度に4割ものシールドを削れるのでブレイクに大きく近づきます。

ただし、シールドのブレイクにBPを費やした場合、ブレイク後に使えるBPが必然的に少なくなるため、与ダメージをブーストさせにくい問題が発生します。かといって、ブーストせずにシールドを削っていくと、攻撃を受ける機会が増えてジリ貧になりかねません。
ブーストで素早くシールドを削りたい。ブレイク時にブーストで大ダメージを与えたい。この二律背反にどのような解法で立ち向かうのか、遊び応えのある戦略性を存分に味わうことができる部分です。

