
今年、『スーパーロボット大戦』シリーズは35周年を迎えました。1991年に発売されたゲームボーイ専用ソフト『スーパーロボット大戦』を第1作目とし、今なお最新作が発売され続けているこのシリーズは、古今東西のロボット達が作品の垣根を超えて共演するクロスオーバーSRPGの金字塔として、長年にわたり数多くのファンを熱狂させてきました。
そして、その壮大な歴史の中でも、独立したひとつの世界観を築き上げてファンから絶大な支持を集め続けているスピンオフ作品が存在します。唯一無二のオリジナルジェネレーション……『スーパーロボット大戦OG』シリーズです。そして2026年は、そのOGシリーズナンバリング最新作にあたる『スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ』の発売から、ちょうど10周年となる節目の年でもあります。
今回は、『スパロボOGMD』発売10周年を記念し、スパロボ35周年におけるOGシリーズの位置づけ、『OGMD』が紡いだストーリー、その後の展開を通して、OGシリーズ積み重ねた「かつて」と「これから」を紐解いていきます。
■35周年を迎えた『スパロボ』における「OGシリーズ」

『スパロボ』シリーズの最大の魅力は、数多のアニメ・マンガ作品達が、原作の枠を超えて邂逅する夢の共演や、クロスオーバーによって生み出されるオリジナルのストーリー展開にあります。その中で、各作品の展開を円滑に推し進め、プレイヤーの分身や物語の軸として欠かせない存在となってきたのが、ゲームオリジナルの存在として登場する主人公キャラクターやロボット達。いわゆる「バンプレストオリジナル」と呼ばれる存在です。
「サイバスター」をはじめ、「ゲシュペンスト」、「SRX」、「アルトアイゼン」といった様々な特徴を持つロボット群、そしてマサキ・アンドー、キョウスケ・ナンブ、リュウセイ・ダテといった魅力あふれるキャラクターは、版権作品のロボットにも負けない強烈な個性を放ち、多くのファンを獲得してきました。そして、これらの『スパロボ』のオリジナル要素を一堂に会させ、ひとつの独立したタイムラインとして再構築したのが「OGシリーズ」でした。
本来であれば異なるストーリー、異なる世界で活躍していた主人公たちが、同じ舞台で出会い、時に衝突し、時には固い絆を結びながら巨大な脅威へと立ち向かう。綿密に張り巡らされた設定と、作品の枠を超えて紡がれる大河ドラマのような重厚なシナリオは、単なるお祭り企画の域を遥かに超えたクオリティで、国内外を問わず多くのファンを作りました。
『スパロボ』35年の歴史において、この「OGシリーズ」は「スパロボが生み出した独自のロボットエンターテインメントの最高峰」であり、版権作品のクロスオーバーと並び立つ、もうひとつのメインラインとして確固たる金字塔を打ち立てているのです。
■発売10周年を迎えたシリーズの「最新作」

2016年6月30日に発売された『スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ』は、『第2次スーパーロボット大戦OG』の直接の続編作品です。厳密にはその途中に『OGDP(OGIB)』や、関連書籍等のサイドストーリー展開などが挟まるものの、物語のナンバリングとしては「エピソード4」に位置しており、現状における「OGシリーズ」の最新時系列の話にあたるのがこの『スパロボOGMD』なのです。
本作はPS4でのシリーズ初展開作品ということもあり、こだわり抜かれたグラフィックと圧倒的迫力の戦闘アニメーションは、今なおプレイヤーを魅了しつづけています。

そして、その『スパロボOGMD』のストーリーにおいて、中核的存在としてスポットが当てられたのは、ゲームボーイアドバンスソフト『スーパーロボット大戦J』やゲームキューブソフト『スーパーロボット大戦GC』といった人気過去作品のキャラクターやロボット達でした。また、「OG」ワールド内におけるさらなる外伝的シリーズ作品であるニンテンドーDSソフト『無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ』の世界が関連する設定やストーリーは、壮大な物語世界の広がりを感じさせるものでした。
その本作で語られたさらなる戦いの兆し……。銀河規模への拡大すら感じさせる新たな大戦……。発売から10年たった今なお、その物語の顛末を期待するファン心理も無理からぬことなのです。
■実は「OGシリーズ」のストーリーはあれから少し進行している

2026年現在、[スパロボOGMD』の続編にあたるような家庭用ゲーム機向けの「OGシリーズ」最新作は存在していません。ときとしてファンからは「第3次OG」とか「OG完結編」のように期待されることもありますが、公式的なアナウンスは残念ながら何もないのです。
そのため、「OGシリーズの物語は2016年の『OGMD』を最後に止まったままなのではないか?」と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが……実はそうではりません。現在配信中のスマートフォン向けアプリ『スーパーロボット大戦DD』などをはじめとする作品展開の中で、「OGシリーズ」の物語やキャラクターたちの新たなるエピソードは紡がれ続けています。
この『スパロボDD』においては、「OGシリーズ」の顔とも言えるリュウセイ・ダテ、マサキ・アンドー、キョウスケ・ナンブといった人気キャラクターたちが参戦。単なる客演にとどまらず、ゲームモード「制圧戦」や新作イベントなどを通じて、OG本編のサイドストーリーやキャラクターたちの知られざる側面が描かれてきました。
また、過去作の補完のみならず、『OGMD』の先に繋がる要素や設定の公開、さらには新たなストーリー展開すら行われています。
例えば、『第2次OG』でバニシングした、とある人気機体の初代機が再建造&強化改造されるイベントストーリー……など、『OGMD』当時のプレイヤーの中にはご存じないという方もいらっしゃるかもしれません。そう、「OGシリーズ」における最新の時間軸はこの10年間、完全に沈黙していたわけではないのです。
■「OGシリーズ」の未来

長年シリーズのプロデューサーを務め、現在は監修として関わっている寺田貴信氏も、各種メディアやSNSでOGシリーズ関連の監修業務を行っていることを明かしており、プラモデルの組み立て説明書に掲載されたインスト文で新たな情報が公開されたり、アクションフィギュア化に際して新設定が明らかになる、ということも近年珍しくはありません。家庭用ゲーム機での新作という形ではなくとも、「OGシリーズ」の世界は着実に一歩、また一歩と未来へ進んでいます。
して『スーパーロボット大戦』シリーズ誕生から35年、そして『スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ』の発売から10年。ゲーム本編の続編を待ち望む時間が長くなるにつれ、「OGシリーズはここで終わってしまうのではないか」「ストーリーの完結を見届けることはできないのではないか」と不安や寂しさを抱いてしまうファンの気持ちも痛いほど分かります。
しかし、ここまで振り返ってきた事実が示している通り、「OGシリーズ」という作品の炎は今なお消えていません。本編外でのストーリー進行や設定の補完をはじめ、ここ近年のホビー市場で巻き起こっている前代未聞の関連アイテムの立体化ブーム。これらはすべて、メーカー側も、そしてファン側も、誰もOGシリーズを諦めていないことの明確な証拠です。
10年前、『OGMD』のラストで描かれたクロスゲートが遺した大きな謎。そして地球を、世界を守り抜いてきた鋼の戦士たちが辿り着くべき結末は、まだ誰にもわかりません。だからこそ、いつか来るべき日のために、プラモデルを組み立て、フィギュアで遊び、プレイヤーとともに数多の戦乱を駆け抜けた戦士たちの勇姿を追いかけているのです。
長大な『スパロボ』の歴史の中で、かつて「OGシリーズ」が築き上げてきた壮大な世界と未来への熱望。一見して長く思えるこの10年という時間もついぞ、熱き鋼の魂を潰えさせるには至りませんでした。
なればこそ、今いちど声を大きくしてこの節目に叫びたいのです。「どうか『スーパーロボット大戦OG』の世界に、これからの未来を」と。


