フリューがおくる異常探索アクションアドベンチャー『アノマリス/ANOMALITH』(以下、アノマリス)が、ニンテンドー2/PS5/Steamに向けて2026年10月29日に発売されます。
本作は、クローズドテストやSteam向けの体験版を通じて、多くのプレイヤーから寄せられた意見を元に改善を重ねてきました。
そして発売を来月に控えた今、アップデートを積み重ねてきたデモ版を「東京ゲームショウ2026」に出展。オンライン経由だけでなく、来場者に向けて直接届けるにまでこぎつけました。

Steam向けの体験版にも同様にアップデートが配信済みですが、TGS会場での試遊出展を実施したのは、ここまで積み重ねてきた開発への自信の表れなのかもしれません。
筆者は、『アノマリス』製品版の仕上がりを楽しみに、体験版などにはあえて触れずにいました。しかし、TGSに出展するという意気込みに向き合いたいと考え直し、初体験となる本作の試遊プレイに着手。発売に向けて改善を続けてきた『アノマリス』という作品の一端を、TGSの場で触れてみました。
■異常現象×変異する少女×サバイバルTPS
『アノマリス』は、「異界」と呼ばれる自然法則を超越した空間を舞台に、主人公の少女「水無月 玲緒奈」が探索に挑むサバイバルTPSです。
現実世界の常識が通用しない異界には、「アノマリー」と呼ばれる敵性存在が跋扈しています。幸い、銃器による攻撃が有効ですが、異界は基本的に隔絶されているため、後方支援からの補給はありません。そのため、異界にいる間は限られた弾丸や物資で凌がねばならず、戦闘だけでなくリソースの管理も求められます。

ただし、銃器以外にも頼れる力があります。それは、玲緒奈が身に着けている「異形化」です。今回の試遊プレイでは、異形化による近接攻撃能力を実際に使うことができました。また製品版では、「異形化スキル」が全12種類が用意され、銃撃戦のサポートに強力な切り札と多彩な能力が用意されている模様です。
限られた物資でアノマリーと戦いながら、人知を超える異界を探索し、目的の達成を目指す。要点をまとめると、サバイバルホラーと共通する要素も多い作品です。
ただし、サバイバルホラー系のTPSアクションでは、人間やゾンビなどを敵とする作品がポピュラーです。本作で対峙するアノマリーは、見た目はもちろん本質的にも「異質さ」が際立つ存在なので、気色悪さや得体の知れなさに、別種の味わいがあります。
■異質な世界んの入り口として最適な「病院」というロケーション

今回の試遊プレイでは、チュートリアルを含む「ニューゲームスタート(難易度は5段階から選択)」、「病院ステージ冒頭(難易度:ノーマル)」、「ボス:シラヤミガタ戦(難易度:サバイバル)」の3ルートが用意されていました。
ボス戦も気になりますが、『アノマリス』の要素に広く触れるには、2つ目の「病院ステージ冒頭」が最適だろうと考え、こちらの探索に乗り出します。

病院という施設自体、一般的には「日常」よりも「非日常」に近い場所でしょう。病気にせよ怪我にせよ、いつもとは違う状況になったときに訪れる施設です。もともと異質感のあるスポットなので、異界が持つ形容しがたい不気味さともよくマッチしています。
グラフィックの描画が並外れて優れているわけではありませんが、ロケーションとの相性の良さも手伝って、「異質な世界にいる」という没入感はしっかりと得られました。また、グラフィック自体も必要十分なクオリティに感じられます。
■「気持ち悪さ」をしっかり喚起させるアノマリーの存在感

早速病院に乗り込むと、淡い光に包まれる院内の先に、異質な影が見え隠れします。ここには逃げ遅れて閉じ込められている人もいるようですが、今見えている影はどう見ても普通の人とは思えません。一見して分かる異質さが、アノマリーとしての存在感を放っています。
序盤のステージだからなのか、病院というロケーションゆえなのか、人型のアノマリーがよくうろついています。また、複数の球状部分が目立っているアノマリーも、近づいてよく見てみると、人間の上半身らしき形状が確認できました。


もちろん、一部の形が似ているだけで、その全体像を見ると明らかに人とは異質な「何か」です。本能的な忌避感を覚える見た目ですが、デザインの狙いはまさにそこだと思われるので、方向性としてまさしく正解と言えるでしょう。
表現としては少し妙な言い回しですが、「ちゃんと気持ち悪い」デザインです。主義は違えども言葉の通じる人間や、動く死体であるたゾンビとは違う、「同じルールの中にすらいない異質さ」を、視覚的にも訴えてくれます。
■銃撃と異形化を使い分け、道中の探索を乗り切れ

あくまで今回プレイした範囲の話ですが、難易度ノーマルだったこともあり、探索中の戦闘はそれほど厳しいものではありませんでした。序盤なのでアノマリーの強さも抑えられているのだと思いますが、ハンドガンやマシンガンによる銃撃が効果的なので、距離と弾さえ確保できていれば問題なく対応できます。
ただし、先ほど触れた通り弾丸は有限です。使い過ぎれば、足りなくなることも十分にあり得ます。幸い、直接の補給はないものの、院内を探索すると弾丸やアイテムが見つかるため、初期のリソースのみで乗り切る必要はありません。現場判断で、使えるものはなんでも使っていきましょう。

また、弾丸を節約したいなら、異形化による近接攻撃も有効な手段です。アノマリーに近づくリスクがある分、与えるダメージも大きく、攻撃手段としても頼りになります。近接攻撃でアノマリーを倒せば、その分だけ弾丸を節約できるので、より長く戦えるというわけです。
さらに、パリィで敵の攻撃を捌くこともできます。銃撃と近接攻撃、そしてパリィを使いこなせば、より安全に戦えるでしょう。状況は過酷ですが、対応する手段はいくつかあるため、プレイヤーそれぞれの好みに合わせて戦えそうです。

ちなみに筆者は、アノマリーと遭遇したらまず引き返し、距離を取ってから銃撃。アノマリーの数が少なくなったら、接近戦を交えつつ個別撃破を狙いました。臆病、もとい慎重派な立ち回りもできますので、同じように戦いたい人もご安心を。
■限られたインベントリをどう使う?

本作のゲーム的な特徴として押さえておきたいのが、アイテムの持ち運びについてです。インベントリは「マス目単位」での管理となり、サイズが大きいものは、それだけスペースを取ります。そのため、限られたスペースに何を詰め込むのか、常に悩まされることになりそうです。
今回の試遊版では使わなかったものの、武器を強くするには強化用のアイテムが必要不可欠。そして、強化は拠点で行うため、アイテムを持ち帰らなければなりません。強化用のアイテムも当然スペースを食うため、「今必要なもの」と「後々必要なもの」、そのどちらにスペースを割くのか。状況に応じた判断が求められることでしょう。

一方で、ミッションを完全にクリアするまで持ち続けるのかといえば、そうではありません。探索中、特定の箇所で「ポータル」を開くことで、獲得したアイテムを拠点側へ移せました。
スペースのやりくりを考えながら探索する必要はありますが、必ずしも厳しいだけのバランスにはならないのかもしれません。ただし、難易度で左右される可能性もありますし、ゲームが進むほど戦いは過酷になるでしょう。油断は禁物です。
■期待と不安、試遊で見えた両面

試遊プレイを通して感じた特徴などを、ここまで要点ごとに振り返ってみました。ここからは、これらを踏まえた上で全体的な手触りについて述べたいと思います。
まず、雰囲気作りは上々でした。現実世界でも非日常感のある病院が異界化したことで、プレイ中は常に異質な恐ろしさを感じられます。ねじれた廊下など、明らかにおかしい場所もありますし、広い空間に車椅子がぽつんと置かれているだけでも妙な恐ろしさを覚えます。


公式サイトを見ると、製品版では、「重力が反転した団地」や「増殖する商店街」なども登場するようです。今回の病院ほど上手く魅せてくれるかは未知数ですが、ロケーションについては、今のところは不安よりも期待が上回っています。
キャラクターの操作についても、目立った問題は感じませんでした。戦闘中のモーションがやや固く感じたものの、ここは好みの差もある部分ですし、プレイに大きな支障があるわけでもありません。異形化スキルがもっと使えるようになり、戦闘に広がりや爽快感が加われば、アクションパートの面白さもさらに伸びていくでしょう。

ただし、やや粗削りな部分もありますし、アノマリーの種類が少なめだったことも気がかりです。単純に「数が少ないと飽きやすい」という問題もありますが、同じようなアノマリーばかりだと、次第に慣れてしまうという恐れがあります。
本作に限った話ではありませんが、恐ろしさや不気味さの大敵は「慣れ」です。どんな恐怖体験でも、同じことを繰り返されてしまうと、「怖い」よりも「またか」と感じるようになります。
人知の及ばない「異界」や「アノマリー」を相手に、理解不能でも対応しなければならない不合理さと向き合うことこそ、本作ならではの醍醐味のひとつでしょう。この魅力を最後まで味わい続けるには、刺激的な変化が要所要所で欲しいところ。そのためにも、製品版ではアノマリーが多彩であってほしいと強く願います。
■改善を目指し、まだ弓続ける続ける『アノマリス』

今回の試遊では、異質な世界と向き合うプレイ体験を、断片的ながら味わうことができました。バトルの手応えも面白さには不可欠なので、そちらにも期待したいところですが、何よりも「異質な世界の探索」をもっと楽しみたいと感じた試遊体験になりました。
製品版でどこまで広がるのかは、蓋を開けてみるまで分かりません。そのため、先ほど触れたアノマリーの種類など、気になる点があるのも確かです。とはいえ、それらを加味しても、今回遊んだことでプレイ意欲は高まりました。この世界ならではの探索を、まだまだ続けたいと素直に感じています。
もちろん、今回の試遊体験は作品全体のごく一部です。試遊版で膨らんだ期待を製品版が常に叶えてくれるとは限らないため、他の未発売作品と同様に、『アノマリス』がどちらに転がるかはまだ分かりません。
しかし、試遊版の面白さをそのままに、製品版も満足させてくれる作品が多いのも事実です。これまでアップデートを積み重ね、よりよい作品を目指してきた『アノマリス』なら、その道を辿る可能性も十分あるでしょう。

ちなみに、会場にいた関係者に話を伺ったところ、『アノマリス』のアップデート、つまり改善はまだ続けているとのことでした。発売が迫りつつあるため、大規模な変化ではないでしょうが、改善の歩みはまだまだ止まりません。
今回の試遊よりもさらに磨き上げられた『アノマリス』との出会いが、実に楽しみです。



