D3パブリッシャーから2008年3月27日に発売されたニンテンドーDS向け『VitaminX Evolution』は、PS2で発売された『VitaminX』に大幅に新要素を加えて制作された乙女ゲームです(※女性の主人公を操作して男性キャラクターとの恋愛を楽しむゲームの総称)。沢山の音声やイラストを収録する必要のあるアドベンチャーゲームを開発する上で、CRI・ミドルウェアの「救声主」や「ファイルマジック」が大きな力を発揮しました。「DEVELOPER'S TALK」では、D3パブリッシャーさんと、開発元のヒューネックスさんにお話を伺いました。
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■本日の参加者
ディレクター 岩崎大介氏(ヒューネックス)
PS2版に引き続きDS版『VitaminX Evolution』のディレクターを務める。D3・パブリッシャーの作品では『SIMPLE2000シリーズ Vol.104 THEロボットつくろうぜっ!〜激闘!ロボットファイト〜』や『DEAR My SUN!!〜ムスコ★育成★狂騒曲〜』などにも携わる。
プログラマー 五十嵐則之氏(ヒューネックス)
主にPS2版『VitaminX』に参加、DS版では技術的なサポートや最終調整に参加。
サウンドデザイナー 黒田英明氏(ヒューネックス)
DS版から参加。PS2版からDS版へのサウンド移植や音源のコンバートなどを担当。
広報 大池香里氏(ディースリー・パブリッシャー)
『VitaminX』シリーズを始めとしたディースリー・パブリッシャーの乙女ゲームを始めとした広報業務を担当。
■乙女ゲームに大事なのは女性の目線
―――まず最初に『VitaminX』というゲームの概要をお聞かせください
岩崎: はい。基本的なゲームジャンルにカテゴリ分けをするとアドベンチャーゲームです。人気の要因は、女教師となって馬鹿な生徒を育てるという設定にあると考えています。そこに「LOVE or STUDY※」という特徴的なゲームシステムや、試験という形でクイズを楽しめる要素が加わっているゲームです。
※LOVE or STUDY・・・「馬鹿な発言」をした生徒に、LOVE(スルー)をするかSTUDY(ツッコミ)をするかを選択するというもの。LOVEでは恋愛値が上がり、STUDYでは偏差値が上がる。
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LOVE(スルー)
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STUDY(ツッコミ)
いずれも下画面です
―――元々PS2版がありますが、DSで作ろうと思ったのは?
岩崎: 実は企画そのものはPS2版が発売する前にできていました。2GbitのDS専用カードを使うこともその時には決定していました。去年の6月に日本青年館で「VitaminX」のイベントがありまして、そこで『VitaminX Evolution』を発表したんです。もの凄い反響でしたね。
開発期間はトータルで1年くらいです。当社ヒューネックスのアドベンチャーゲームの場合、原画や音声、グラフィックを作っていくリソース作成期間と、それを組み立てる期間に大きく分けられます。実際に組み立てる作業は短期間で太くてみっちり作りこみます。
―――開発チームはかなり女性が多かったそうですね
岩崎: そうですね。まあ、僕も作っているのですが(笑)、通常のゲームよりも、女性の比率はかなり高くなっています。女性の感性はとても大切で、企画の核の部分に男性視点ではなくて、女性視点が入るところが重要だと思います。
キャラクター面でも、操作面でも、ゲームユーザーの視点から考えてくれるので、男性からは思いも寄らなかった指摘やアイデアというのがたくさん出てきました。
社内のチームとしては10名程度ですが、アドベンチャーゲームなので、シナリオライター、原画家、イラストレーター、色彩会社、と外注さんがたくさんいます。ヒューネックスがコアになってさまざまな方や企業と一緒に仕事を進めていくというイメージです。チームリーダーとして私がいて、何名かの女性のスタッフが企画を担当しました。
―――DS版は「移植プラスα」という形だそうですが、具体的には?
岩崎: 一番大きいプラスαの要素は、PS2版だと馬鹿な生徒6人(=B6:ビーロク)しか攻略できなかったのが、今回は先生側(=T6:ティーロク)も攻略できるようになった点です。これ以外にも、「イベグラタッチ」というイベントグラフィックをタッチするとボイスが流れるシステムが追加されています。さらに、DSなのでスタイラスで操作できるなど、インタフェース部分もかなり遊びやすく改良しています。もちろん新規シナリオやムービーも盛りだくさんです。
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―――PS2のディスクメディアからDSというロムメディアに移るということで、容量の面でもいろいろと苦労も多かったと思いますが・・・