第53回のロコレポは、スクウェア・エニックスが10月30日から配信しているニンテンドー3DSバーチャルコンソール『半熟英雄』のプレイレポートをお届けします。
原作の『半熟英雄』は、1988年に発売されたファミコン用のシミュレーションRPG。プレイヤーはアルマムーン国の王子として将軍たちに指示を与え、敵国の城を制圧して大陸の平和を取り戻すのがゲームの目的です。
■ギャグタッチの世界観で描かれる、リアルタイム制シミュレーションRPG
ギャグや自社タイトルのパロディなど、全体的にコミカルな雰囲気の世界観で描かれる本作。ゲームはプレイヤーが演劇の舞台を鑑賞するような独特のスタイルになっていて、スクウェア・エニックスのタイトルの中でも異彩な作品性を醸し出しています。
また、シミュレーションRPGとしてのゲームシステムにおいても、ワールドMAPと戦闘の両方でリアルタイム制のシステムを採用するなど、リリース時期を考えると非常に先進的なゲームシステムの作品です。
■タイミング&連打ゲーの戦闘、困ったときの「たまご」モンスター
敵軍との戦闘では両軍が衝突する瞬間にAボタンを押して(パワーゲージを消費)、攻撃を援護するシステム。戦闘はかなり激しくぶつかり合うので、実際にはボタンをほとんど連打する状態になってしまうのが常です。(ボーっと眺めていると、すぐに負ける)
戦闘に負けそうなときのお助け要素として、消費アイテムの「きりふだ」を使ったり、ストーリーのモチーフにもなっている「たまご」からモンスターを召喚して戦わせることもできます。特に「たまご」から出てくるモンスターは非常に強力なため、『ファイナルファンタジー』シリーズの召喚獣と同じかそれ以上に頼りになる存在です。
■眺めているだけでも楽しい、「月1イベント」と「月1コマンド」
1ヶ月の終わりの「月1イベント」では凶作や豊作の報告があったり、殺し屋が現れたり、将軍を雇用できるイベントなどがランダムで発生。舞台のような構成の画面で、劇を鑑賞するように楽しめるのも特徴です。将軍雇用イベントでは3人の中から1人を雇うことが可能で、目当ての将軍を引き当てたときは嬉しくなります。
また、その後の「月1コマンド」では商品から「きりふだ」を購入したり、兵士の補充や将軍の解雇も行えるなど、シミュレーションRPGとしての戦略性も意外に(?)充実しています。
■後のシミュレーションRPGに与えた影響も大きい名作。ぜひ続編を
『半熟英雄』。本作が採用している「リアルタイム制のシミュレーションRPG」というゲームシステムは当時としては斬新で、子供心に「変わった、そして楽しいゲームだな」と思ったのを覚えています。『伝説のオウガバトル』や『ドラゴンフォース』など、後の同ジャンル作品に与えた影響も大きいのではないでしょうか。キャッチーな世界観に隠れて忘れられがちですが、この点については本当に評価されるべきだと思います。
基本コミカル、そしてときにはシリアスになるシナリオもシリーズを通しての魅力で、個人的にはスクウェアのRPGの中でも外せないタイトルの1つ。できれば、スーパーファミコンとワンダースワンカラーで発売された続編の『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』、そして3DSでの新作発売もぜひお願いしたいですね。
『半熟英雄』は、好評配信中で価格は500円(税込)です。
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【ロコレポ】 by ロココ試作型
INSIDEのゲームライターが3DSとiOSを中心に色々なソフトをプレイして、その魅力を伝える連載。RPGの魅力に目覚めたのは、ファミコン版『ウィザードリィ』。好みのゲームな場合にテンション上がり過ぎるのは許して…。
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