『Ghost of Tsushima』“真のヒロイン”は誰だったのか? 境井仁のモテぶりを振り返る─命の恩人から幼なじみまで

【ネタバレ注意】1周年を迎えた『Ghost of Tsushima』。今回は、男女という枠も取り払い、真のヒロイン候補とその関係性を振り返ってみました。

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『Ghost of Tsushima』“真のヒロイン”は誰だったのか? 境井仁のモテぶりを振り返る─命の恩人から幼なじみまで
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ヒーローとヴィランに挟まれる正統派ヒロイン「志村」─想いがすれ違う展開も強し

互いに信頼を寄せ合い、“誉れ”を尊ぶ仁の生き方に大きな影響を与える──かなりのヒロイン力を見せたゆなは、例えるならば“バディ系ヒロイン”と言えるでしょう。そんな彼女に匹敵するヒロイン候補キャラのひとりが、仁の人生を長い間見つめてきた「志村」です。

仁が父を亡くしてからは息子のように接し、武士のなんたるかを示してきた志村。幼い仁に施した稽古が、対馬における戦乱の大きな助けになったことは間違いありません。その意味では、本作における仁の活躍は、志村の存在あってこそ。

また、武士が持つべき“誉れ”を導いたのも、この志村です。例え相手が無法者だろうが、「その命を奪うときも、情けと覚悟を持て」と教え、その身を持って仁が生きる規範となりました。

こうした教育は仁にとって誇らしいものとして根付き、また志村に対して尊敬の念を抱きます。蒙古を率いる宿敵「コトゥン・ハーン」と対峙した時に、「地頭である志村殿の甥だ」と高らかに告げたのは、その表れの一端でしょう。

そんな志村ですが、長きに渡ってコトゥン・ハーンに捕らえられており、仁と接する時間はゆなと比べて短め。ですが、その点がヒロイン候補として不利に働くわけではなく、むしろ“助けられ系ヒロイン”という立場を確立しているとも考えられます。

そもそも仁の目的は、志村を救い出すこと。それは、対馬を守るためでもありますが、仁にとってかけがえのない人物だからという点も外せません。コトゥン・ハーンをドラゴンに見立てるとすれば、志村は攫われた姫。そう考えれば、ヒーローとヒロインの関係にピッタリ当てはまります。

しかも志村は、コトゥン・ハーンから熱烈なアピールを受けており、複数回にかけて直接迫られました(※軍門に下れという意味で)。「お主に牢は似合わん」「我らの望みは同じ」など、心を揺さぶる殺し文句を浴びせられる姿は、ヒーローとヴィランの間に挟まれたヒロインそのものです!(※一個人による解釈です)

また仁の方も、湯に入っては志村について想いを馳せ、「生涯一の恩人。失うわけにはいかん……決して」と振り返るほど。誰に聞かせるわけでもない言葉だからこそ、それが本音なのだと伝わります。

そんな仁の想いを知ってか知らずか、志村もまた仁に重きを置き、「志村の跡継ぎにする」と明言。それは、地頭という役職の後継だけでなく、正式な親子の契りをかわすという意味でもあるのです。

コトゥン・ハーンの熱い想い(※勧誘)を押しのけ、仁からの一途な想い(※尊敬とか)に応え、自らの気持ちと真摯に向き合い、家族となる決意(※親子)を固めた志村。絵に描いたようなヒロイン(※伯父)が、ヒーローとの関係を強く望む……これが恋愛ゲームだったら、ここからエンディングまっしぐらの展開です。

ですが、そんなふたりに『Ghost of Tsushima』は更なる試練を突きつけます。不利な状況ゆえに“誉れ”を欠いて振る舞った仁に理解を示しつつも、志村は武士としてあるべき姿を改めて伝えます。

しかし、厳しい現実を潜り抜けてきた仁は、“誉れ”によってより多くの人が死ぬ道は最早選べません。「誉れは浜で死にました」と志村に告げ、それぞれの道が分かれ始めていきます。

“誉れ”を尊ぶ志村と、侍や民の命を守るために毒すら使うことを厭わなかった仁。あれほど近しい場所にいたふたりは、蒙古の襲来によって、遠く離れてしまったことを思い知らされます。

互いを想う心情は根深く、だからこそすれ違いを埋められない。助けられ系ヒロインだけでなく、悲劇系ヒロインの要素も伺える志村は、ゆなに十分対向できる存在ではないでしょうか。(※感じ方には個人差があります)



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《臥待 弦》

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