■オープンワールドと高難易度アクションの融合
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最初に結論を述べると、オープンワールドと高難易度アクションの組み合わせは、新たな刺激とプレイ感を生み出すことに成功した、意欲的な試みだったと実感しました。
もちろん、ゲームの好みは人それぞれ。限られた空間による徹底したゲームデザインを至高とし、自由度の高さを“甘さ”や“ゆるみ”と感じる方からすれば、本作が提案するゲームスタイルは合わないかもしれません。
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ですが、順当な進化のみに絞り込むのではなく、高難易度アクションに新たな可能性や魅力を見出した『エルデンリング』は、守りではなく攻めの姿勢を見せる意欲作として評価されるべき作品だと強く感じました。
高難易度アクションは、その手強さゆえに油断が出来ず、絶え間なく緊張感が襲ってきます。それが独特の魅力なのは間違いありませんが、緊張の持続に耐えきれず、クリアを断念した方もいます。ですが、本作はオープンワールドを取り入れたことで、緊張の連続ではなく、緊張と緩和の交差という体験を作り上げました。
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序盤の範囲を体験した限りでは、『エルデンリング』のフィールドは比較的安全な場所が多く、継続する緊張を強いられることはほとんどありません。敵が草むらに潜んでいたり、明らかにヤバそうな相手が闊歩していますが、予測や対処は可能。また、気づかず遭遇しても、フィールド上なら一定以上逃げ切れば敵が諦めて戻ります。
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しかも順当にゲームを進めれば、霊馬「トレント」を呼ぶ指笛を序盤に入手できます。これを使うと、霊馬に騎乗したままフィールド上の移動が可能に。移動速度が上がるので逃亡や離脱にも役立ちますし、騎乗したままのヒット&アウェイで敵を圧倒する場面も。徒歩時には手強い敵を意外とあっさり倒せることもあり、霊馬は快適な冒険に欠かせない大事なパートナーになることでしょう。
また、体力を示す「HP」や、魔術などの使用に必要な「FP」は、生存に関わる最重要のステータスと言ってもいいでしょう。そのため、回復手段のひとつ「聖杯瓶」は、プレイヤーキャラの命綱に他なりません。
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この「聖杯瓶」が使える回数は上限が決まっており、「祝福」で休息することで最大値まで戻ります。ですが、休息したら倒した敵も復活するので、探索途中の休息は仕切り直しと同様。「聖杯瓶」の使用回数を戻したい、でも敵は復活させたくない……そんな時は、フィールドを徘徊する敵の集団を倒しましょう。
本作には、敵の集団を全て倒すことで、聖杯瓶の使用回数が増えるシステムがあります。回復する瓶の種類や数は敵集団によって異なり、また上限を超えることはできませんが、休息せずに使用回数を戻せるので、長期的な探索がやりやすくなります。敵集団を倒しきる寸前に聖杯瓶を使い、HPを満タンにしておく……といった立ち回りも有効です。
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ちなみに本作では、プレイ開始直後から強敵とまみえることも可能。一例としてあげると、恐るべき「飛竜 アギール」が前触れもなく現れ、こちらの肝を冷やしてくれます。遭遇した瞬間は反射的に逃げ出しましたが、「もしかして、上手くやれば倒せるのでは?」と欲を出し、挑んでみたことがあります。
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「アギール」が非警戒状態なのを確認したら、霊馬に騎乗したまま近づき、一撃を与えたら一目散に離脱。攻撃を食らったら聖杯瓶でHPを回復し、足りなくなったら一度離れて敵集団を襲撃して聖杯瓶の使用回数を戻しつつ、再度「アギール」に立ち向かいます。
この戦い方としては、華麗とは真逆の泥くささ満点ですし、残念ながら一撃で死ぬこともありました。ですが、それでも懲りず諦めずの精神で続けたところ、数え切れない往復を繰り返した後に、序盤の段階でも「アギール」の撃破に成功。姑息な戦い方かつ効率は全く良くないので、決してお勧めはしませんが、それでも達成感は格別の味わいでした。
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拠点に頼らない聖杯瓶の使用回数増加や、霊馬を活用した立ち回りといった本作ならではの要素が、この勝利に欠かせなかったのは紛れもない事実。強敵との戦いを通し、オープンワールドと高難易度アクションの融合がもたらす新たな刺激と可能性の広がりを、この時実感しました。
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敵わないと思ったら“引き返す”という選択肢があり、長期的な戦いも可能な懐の深さも、この『エルデンリング』は併せ持ちます。聖杯瓶周りの仕様のおかげで、拠点に寄らず(=敵を復活させず)長期的な探索ができ、その恩恵で冒険の没入感も向上。しかも、緊張ばかりでなく緩和する時間もあるので、プレイにメリハリが生まれるのも嬉しいポイントです。
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オープンワールドと高難易度アクションという“食べ合わせ”は、それぞれの持ち味を活かしたまま、その融和が多様なプレイスタイルを受け止める懐の深さに繋がった──『エルデンリング』のプレイを通じて、この点を最も強く感じました。もちろんそれは、大きな喜びや興奮と共に、です。