語り手が平野さんへと戻り、最後にARライブでの取り組みについての話がスタート。ここでは2023年12月24日に配信が行われたhololive Xmas AR LIVE 『Sweet Happy Holiday』をモデルケースとして取り上げて進行していきました。


このライブは事前に収録を行なったうえでのライブとなっており、新宿住友ビルの三角広場で展示させれいるクリスマスツリーで撮影されました。
お昼の時間は通路として利用されている場所なので、利用者の少ない0時~5時のあいだで収録する必要があり、設営と撤去作業もあったので、じつは収録時間は実質2時間ほどだったといいます。もちろん収録時にトラブルが起きないよう、事前にシミュレーションやリハーサルを重ねたうえで収録にのぞんだとよしださんはいいます。

実写カメラのレンズの属性を再現できるようにしたり、床へと落ちていく影の表現、なにより現場ですぐに調整が行えるように体制を整えていました。
描画処理では、実写映像をレンズの歪曲収差を補正して、リニアな状態にするというARライブならでの処理を加えおり、リニアな状態にした実写映像にCGの構成を施し、最後のポスト処理でレンズの歪曲収差を再現しています。
落ち影の調整として、実際の照明と明るさに同期して影の濃さも変わるようになっており、Art-Netと照明コンソールで調整できるようにしています。


またエフェクトの表示位置が現場で確認しないと確定しないため、カメラワークとセットで調整が必要となるところ、照明コンソールとArt-Netを使って素早く調整することができたと、よしださんは報告しました。くわえて雪や吹雪と行ったエフェクトがARライブと相性が良く、雪や雨が実際に降っているのかと思えるほどの映像に仕上げることができたといいます。


つづいて泉さんからARライブにおける照明計画について話が及ぶと、タレントの後ろ側になる借景(背景)を活かし、クリスマス飾りの存在をいかすために低い位置に電飾や照明を設置し、最小限の仕込みで最大限の効果を狙ったと話しました。
タレントさんが動き回って、カメラも様々な角度から回り込んで撮影されるので、どの方向に回ってもきちんと背景(借景)がみえるように、周囲をぐるっと回り込むような照明などをおいています。



また影の出方についても、今回は低い位置に照明が置いてあるため、影が長く伸びていき、影が放射状に発生することを事前にシミュレーションし、実際の照明や影の出方に対応したといいます
またこのライブではスモークを焚いてスポットライトの光線をクッキリと出すという方法が取れなかったので、物を照らし出したり、陰影を配置していく感覚を大事にしました。くわえて、輝いている感触(グレア感)を装飾的に使っていくことも意識したと泉さんは話しました。



ムービングライトを地上から5.7mという位置に設置しており、床面のGOBOの表現ができ、表情をつけられるようになりました。別の打面でも、右から左への光の当て方もわかりやすく表現でき、タレント本人の陰影も同じようについているため、実在感がうまれています。


光量と色味を整えて、現実の世界となじませていく作業も重要です。陰影の強度は実際の現場に入って初めて判明するものなので、現場に入って照明卓をつかって素早く修正ができる環境となっています。
